長崎紀行その6~丸山徘徊編

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 平戸から帰ってきた翌日の夕方は、かねてより計画していたのだが、わたし一人で長崎市街の飲み屋をめぐらせてもらうことにした。

 昼食をとった後、少し横になり、夜に向けて鋭気を養う。たかが酒を飲むのに鋭気も何もあったもんじゃないのだが、まあそこはそれ。

 4時過ぎに実家を出て、電停赤迫までてくてくと歩く。熱を帯びた西日に焼かれて体から水分がぬけていく。これでこそ最初の一杯がうまいというもの。

 赤迫から正覚寺下行きの車両に30分ほど揺られ、思案橋で降りる。さあ、どこに行こうか。

 まずは、気になっていた一軒、一口餃子で有名な「雲龍亭本店」へ。思案橋横丁の入り口近くにあるので、場所は分かりやすい。

 がらがらと扉を開けるとLの字型のカウンターにおじさんが1人、テーブル席には家族連れが1組。家族連れはもう帰ろうとしていたところ。カウンターにおもむろに座ると同時に、餃子1人前と生ビールをお願いする。生はサッポロだそうだ。のぞむところ。

 供された生ビールをのどに流し込む。しみこむ。そこへ小振りの餃子が10個、無造作に皿に盛られて出てきた。小皿に専用のタレを入れる。そこに好みで真っ赤な柚子胡椒をつけてもよい。まずはタレのみ。一口なのでゆっくり味わう間もなく飲み込んでしまう感じ。今度はよく噛んでみるものの、皮の中から出てくる脂が変に臭う。うーん、好みが分かれるところか。食べつけると病みつきになるのだろうか。

 次に向かうは、浜の町アーケードから細い路地を入ったところにある、おでんの「はくしか」。中洲の「はくしか」はここの支店である。

 入ると、店の中央にコの字型のカウンター、壁に沿ってテーブル席が5~6つほど。コの字の奥まったところにおでんの浮かぶ舟。カウンターの中には着物にかっぽう着、日本髪に結った年配の女性が立ち、フロアをもう一人の同様の格好をした女性が受け持っていた。

 どうも口開けの様子。そりゃあそうだよ、今はまだ5時半。カウンターの入り口に近い端に座り、まずは瓶ビール。壁に掛かったホワイトボードを見て、白和えも。おでんは、里芋、ギョウザ(また!)、それに自家製はくしか揚げ。芋とギョウザはまだ味がしみていないそうで、ではと、たまごをもらう。

 常連らしきおじさんが1人、入ってきた。ちらりとわたしの方を見やりながらコの字の反対端に座る。女性陣と打ち解けた感じで賑やかに会話が始まる。こちらも、札幌から来たことなど話す。頼んでおいた芋とギョウザを平らげる。昨年おじゃました「桃若」といい、長崎にはおでんの名店がそこここにありそう。ごちそうさまでした。

 次は、浜屋の裏にある大衆割烹「案楽子(あらこ)」。年配のご夫婦と、なにやら玄人風のカップル(?)の間に空いていたカウンターの一席に通される。ここでは最初から焼酎をもらう。「お湯割りで」「麦?芋?」「麦で」。長崎では麦焼酎のシェアがなかなか大きいらしく、見た感じではあるが、飲み屋にキープされているボトルの半分が黒霧島、残り半分が壱岐の麦焼酎。

 カウンターの目の前にあるガラスケースには、アジ、サバ等々の魚。魚にまじって、はじっこにネギ巻きが山と積まれている。細ネギ(わけぎである。九州ではこれを普通の「ネギ」と呼び、根深ネギなどを「太ネギ」と言うらしい)を湯がいて、白い部分に青いところをくるくるとまきつけたものだ。熊本に行った時には「一文字グルグル」とか呼んでいたと思う。懐かしかったので頼むと、酢味噌が出てきた。口の中で噛むとキュッキュと心地よい。

 ネギ巻きの後ろにはなにやらふわふわした白いものが。「なんですか」「鯨のオバです」。いわゆる、さらしくじらである。長崎、特に、昨日訪れた平戸の方は昔から鯨漁で有名であったため、今でも長崎では鯨を食わせる店は多い。ここはぜひひとつと、オバをもらう。ネギ巻きの酢味噌で食べてみる。口の中でぷりぷりとしてまた乙なもの。

 最後に刺身盛り合わせをもらう。厚く切られた身はプリプリ。おいしいなあ。

 店を出ると、夕陽はとうの昔に沈んでいた。

 銅座通りを冷やかしながらふらふらと。目についた、「雲龍亭籠町店」についつい。さっき食べたではないか。本店との味比べである。

 壁のメニューを見ると、本店よりも50円ばかり高いのが気になる。目と鼻の先なのだが、何が違うのだろうか。ここではまずは焼酎お湯割り、それに「キモテキ」(レバーのソテー)を。キモテキうまい。勢いをつけて、餃子も1人前もらおう。うん、ここのはさほど脂が臭くない。が、やっぱり餃子が小さくて物足りない。後から店に入ってきたおじさんは、テーブルに着く前に「餃子3人前」とオーダー。ここではそれくらいの量を食べなければ満足できないということだろう。

 店のある船大工町から正覚寺のある小高い丘はびっちりと建物で埋まっている。その間隙を縫う路地をぶらぶらと登る。ほどよいところで折り返し、丸山町へ。古い建物が並ぶ情緒のある通り。ここは江戸の昔、花街のあったあたり。今でもその名残はそこかしこに残っている。さあ、そろそろ締めにかかろう。

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 再び思案橋横丁へ。さきほどの「はくしか」で聞いていた、「昔ながらのちゃんとしたちゃんぽんを食わせる」という「康楽(かんろ)」にふらふらと入る。長崎らしく、ちゃんぽんで締めようと思ったのだ。黄色い、太い麺をぞろぞろとすすりながらテレビにぼうっと眺め入る。

 酔い覚ましに、誰もいない中華街を抜け、出島まで歩く。港からの風が心地よい。

長崎紀行その5~平戸編

 ハウステンボスで遊び終えた一行は、一路北へ。平戸へ向かう。そうそう、車は実家のお義父さんから借りたワーゲン。絶対にぶつけないように慎重の上に慎重を重ねる。

 数日前に歩いた気がする佐世保駅前を通り過ぎ、ひたすら田舎道を走る。併走する鉄道はすでにJRから松浦鉄道に変わっている。この路線にあるたびら平戸口駅は日本最西端の駅として知られる、が、そこには行かない。

 ガソリンスタンドのおじさんから「あと30分ひたすらまっすぐ」と聞いてから本当に30分、平戸への入り口、平戸大橋の料金所にやっと到着。ハウステンボスを出てからここまで2時間弱。

 平戸は島である。唯一の道である橋を渡るには普通車で100円かかる。真っ赤に塗られた橋の下には海と島。夕陽に照らされて美しく輝く。

 渡り終えてすぐに平戸の街がある。街の入り口にある、平戸脇川ホテルが今晩の宿。通された部屋の窓からは港。左手の小高い丘の上には平戸城の天守閣が見える。

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 部屋で夕食のあと、温泉につかりバタンキュー。

 朝、早めに動き出す。まずは広々とした草原が広がるという川内(かわち)峠へ向かう。

 うねうねとした山道を抜けると、確かに草原が広がる丘に出た。眼下では海が島を囲み、九十九島もはるかに見える。島の浜辺に目をやれば、海の水が妙に明るい。

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 明るい色をしていたのは千里ヶ浜海水浴場。峠からそこへ降りてゆくと、黄色い砂地に透明な水の打ち寄せる浜辺。むちゃくちゃきれい。 きれいきれいとは聞いていた(と言うか、聞いていたために来てみたかった)が、ここまでとは。

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 さいわいこの日はそれほど寒くなかったので、アマネとふたりで靴を脱ぎ、水の中へ。遠浅なので、ずんずんと沖まで歩いていくことができる。足下の水の中をよく見ると、ちょこんと盛り上がった砂の山があちこちにある。山の頂上にはぽこんと穴が空いている。何だろうと思って手で山の下の砂ごとさらってみると、中から出てきたのは小さな貝殻に入ったヤドカリだった。よく見ると穴に潜っていないのもゴロゴロといる。砂の色と同化して見分けづらかったが、こんな波打ち際にも、目をこらすと小さな魚が群れをなして泳いでいる。

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 こんなに美しい海ははじめて。海と言えば波の荒い太平洋の海水浴場しか知らなかったので、正直なところあまり海には魅力を感じてはいなかったが、ここにはしばらくいたかった。アマネも「まだ遊ぶ」と言って、引きはがすのが大変だったが、実のところわたしが一番楽しんでいたかもしれない。

 島の反対側にある根獅子(ねしこ)の浜へも。こちらもずいぶんと遠浅だ。外洋に面しているため千里ヶ浜よりも波があり、砂浜に洗濯板のような波の跡がのこされている。写真だけ見ればどこぞの南の島のようだ。

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 海パンを準備していたわけではなかったので、アマネのパンツを脱がせて送り出す。すっかり波遊びが気に入り、波が来るごとにきゃっきゃと笑っていた。

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 昼食を食べるため、平戸の街に戻る。小さな商店街の、定食も出す喫茶店で食事を済ます。商店街の通り沿いには「三浦按針終焉の地」の石碑が無造作に置かれていた。

 ことほど左様に、平戸と言えば、日本史の教科書に名前が載るような歴史的人物の縁の地である。見て回ろうと思えばそういった場所も観光できたのだが、まあアマネはひとつも面白くなかろうということで、高い所に。街を見下ろす小高い山に建つ平戸城へ。天守閣からはゆうべのホテルがよく見えた。

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 名物という川内かまぼこをおみやげに買う。帰りは佐世保から高速を通り、2時間半ほどで実家に帰宅。

長崎紀行その4~ハウステンボス編

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 さんざ降る雨があがって真っ青な空が戻ってきた。

 5~6日にかけて、ハウステンボスと平戸に遠出。まずは初日の出来事を。わたしたち家族に義母を加えた4人で出かける。このメンバーでは、ハウステンボス初体験なのは、わたしとアマネ。

 ハウステンボスまでは、途中まで高速を使って、長崎から車で1時間半ほど。山あいの一般道をぬけると、唐突に派手な建物が目に入る。

 入り口のゲートをくぐる。いきなりのテディベアが出迎え。最初に入ることになる建物にはどでかいテディベアが鎮座ましましていた。

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 施設内を張り巡らされた運河を船に乗って移動。途中見かけた風車は、足下に咲く花とあいまってさすがに美しい。

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 下船した場所に立つ、オランダに実際にあるという時計台をモデルにした展望台「ドムトールン」にエレベーターで登る。素朴に高い。

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 ここには別荘の建ち並ぶ一角もあり、それぞれの家屋の面する運河にはクルーザーやらヨットやら船がもやってある。金を持ち、車も家も手に入れると、どうも人は船に手を伸ばすようだ。

 ドムトールン下のレストランで食事をとる。アマネは人の分までギョウザを食べる。ギョウザ食いである。

 メインの入り口から最も遠い最奥にあるのが、美しい庭を擁するパレスハウステンボス。ちょうどバラが盛りであった。

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 普通の日であれば、施設内をバスやらタクシーやらセグウェイ(!)やらで回れるらしいのだが、なにしろGWのまっただなかとあって、人通りが多いために「運休」なのだそうだ。車道と歩道の境がないためなのだろうが、そのせいでずっと歩き通し。

 再び運河を船で下る。アミューズメント系の施設の建ち並ぶ一角、ニュースタッドへ。ここでお義母さんとはお別れ。

 ニュースタッドのすみっこに、本当にちっぽけな遊園地(のようなもの)がある。おさるの電車やら、くるくる回るバスの乗り物やら、おもちゃのようなものだが、子どもたちはきゃあきゃあ言って乗っている。アマネも電車を見ると目の色を変える方なので案の定乗るそうだ。

 ニュースタッドにはほかにもいろんなアトラクションがあるようだが、どうも何かが「へぼい」。どちらかといえば場末感すら漂う。オランダ風浅草花やしきと言えば感じは伝わるだろうか。

 それでも子どもたちは喜んでおり、大人はそれなりに満足している。帰りしな、風車の前でパチリ。

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 日の下で長らく遊んでいたため、アマネがひどい日焼けをしたらしい。その晩泊まった宿で、火ぶくれしたまぶたやら首筋やらが痛がゆいらしく、なかなか寝られず煩悶していた。日焼け止めはぬったのだが、油断した。

長崎紀行その3

 家内の実家に落ち着いた初日はあいにくの小雨。

 アマネのひいおばあちゃんが昼食においしい魚を食べさせてくださるというので近くの食堂へ。生簀の中にイカやらヒラメやら。ハマチの刺身が分厚くてうまい。一切れ食べるごとに口が疲れる刺身というのもたいしたものである。魚の種類と質は確実に北海道を上回る。

 その足で長崎市内の「あぐりの丘」へ。羊を見に行く。その間ぼくは隣接する温泉で一休み。

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 雨はやまない。アマネは昼寝せず、狂ったようにはしゃぎまわる。

 次の日、本格的に降り出す。

 長崎市街へ。近くの電停、赤迫から路面電車に揺られて思案橋まで。

 浜の町アーケードの途切れたところにある「ツル茶ん」に入る。長崎の名物、トルコライスを食べるため。なんでもこの喫茶店がトルコライス発祥の地らしい。トルコライスとは、1つの皿にスパゲティとピラフが並んで盛り付けられ、その上にトンカツなどが乗り、さらにデミグラスソース的なものがかかった料理である。なぜトルコなのかはたぶん調べれば分かる。

 出てきた。結構なボリューム。味は想定の範囲内。昔ながらの喫茶店のメニューをいっぺんに食べられるというお得感はあろう。

 アーケードを通り抜けて出島へ。江戸時代の出島の建物を再現しており、観光客がやたらと歩いている。オランダ商館長の邸宅が復元されていて、内部の様子を見る事ができる。おもしろい。

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出島に入る門にはちょんまげさんが。記念にパチリ。

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 長崎駅では、鉄道のイベント。車掌さんの服を着て、ブルートレイン「さくら」のヘッドマークと一緒に撮影するコーナー。おサルの電車に乗るコーナー。いずれも子ども達がはしゃいでいた。もちろんアマネも。

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長崎紀行その2

 朝から快晴。

 博多から特急みどり号で佐世保へ。途中、有田の陶器市に行く一団に出くわし、列車内は乗車率140%を計上。

 佐世保に到着。

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 まずは腹ごしらえ。佐世保は最近、ハンバーガーの街として売り出しているらしく、やなせたかしによるキャラクターがあちこちにある。キャラクター看板が出迎える一軒、Lucky'sへ。駅でもらったパンフレットによれば、ここは米軍関係者御用達だそうだ。

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 私たちはその前に別の店に行っていたのだが、その店の前には行列ができており入るのを断念した。ハンバーガー人気侮りがたしである。

 テイクアウトにして駅前の港で食べた。レギュラーサイズが大人の男の手の平ほどもある。ベーコンバーガーは標準的にうまかった。

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 駅前から出るバスでパールシーリゾートへ。九十九島を船でめぐるクルージング。船に乗り込み出航。

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 九十九島と言うものの、実際には200以上はあるらしい。何を「島」と認定するかという問題だが、満潮時に顔を出していて、陸の植物が生えていることが定義のようだ。水はエメラルドグリーン。磯を見ると海の水が透明で美しい。

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 船が寄港すると、義父母が迎えに来てくれていた。アマネはサプライズであったらしく、むちゃくちゃ興奮し、帰りの車中ではケタケタ笑い通しであった。

長崎紀行その1

 GWを利用して、家内の長崎の実家に帰省。

 新千歳空港へ。インフルの話題がとびかっているせいか、マスクをつけてキョドキョドとあたりをうかがっている人の姿がぽつぽつ。

 まずは福岡に飛び、そこで1泊。投宿したのは博多祇園にあるドーミーインという新しいビジネスホテル。建物はきれいだし温泉があるのがいい。客層としてどうも女性を意識しているような感じ。共同浴場なのだが、女湯に入るのに暗証番号が要るらしい。

 アマネが寝てからこっそりと飲みに行く。いつもは天神に飲みに行くのだが、今回は宿から近い中洲に繰り出す。「はくしか」という、長崎に本店のあるおでんやさん。華美な喧騒から少し離れた落ち着いたお店。ただ、長崎出身だという店長がやたら陽気。「これをどうぞ」と、頼んでいない小鉢をくれる。「なんですか」「ほうれん草。ちゃちゃちゃちゃっちゃちゃーん」「ああ、ポパイねえ」

 シメは宿の目の前にある長浜ラーメン屋。「ラーメン」「固さは?」「えと、ふつう」「はいよ」。地元の人は、バリカタとか言うんだろうけど、よく分からないので適当に答える。店の壁に博多華丸の色紙が貼ってあった。

 続きはまた。

ホッキョクグマとキッドランド

 市内にある円山動物園に併設されたキッドランドが冬期の休業を終えてオープンするというので行ってきました。

 円山動物園と言えばこのところの話題はホッキョクグマの双子の赤ちゃん。妻はなにより赤ちゃんを観に行くと言い、アマネは「まず遊園地」と言い張ります。

 で、ここは親の意見を容れて最初にホッキョクグマを観に行ったのですが、

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 寝てました。

 その後はオープンしたてのキッドランドで存分に乗り物を堪能し、子ども動物園でヤギと戯れて帰ってきました。

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知多でメルポン

 もうしばらく経ちましたが、今週の日月と、愛知県は知多半島で研究会をしてきましたので、そのことを書きます。

 メルロ=ポンティの『意識と言語の獲得』(みすず書房)を輪読しました。ソルボンヌでの講義を学生がノートにとったものを編集した本です。

 意識にせよ、言語にせよ、西欧の哲学においては、あたかも「ふってわいたもの」のように扱う伝統が一方にあり、そちらが主流だった時代が長かったわけです。

 それを、「ありもの」の世界のなかの出来事として記述することが可能なのか、可能だとすればどのようにしてか。これがメルロ=ポンティの考えたかったことなのでしょう。

 彼が頻繁に用いる概念に「スティル」というのがあります。英語で言うとスタイルなので「文体」「様式」とか訳したくなりますが、もう少し一般的に捉えた方がいい。要するに、なにがしかの関係です。文体というのは単語単独ではありえず、それの並べ方によって生まれるものですし、様式も然り。

 意識や言語は、メルロ=ポンティの考え方を察するに、ありものの世界のなかでのスティルのありようにつけられた名なのでしょう。なかなかなじめない発想ですが、彼はさらに、言語の獲得を説明する際には、身体の動かし方の変化(あるいは習慣化)として記述しようとします。つまり、各部位の関係の変化というわけです。

 意識の説明の仕方もやはり変わっています。身体をふたたび例にとれば、ある仕方で身体を動かすことができてはじめて、そこに身体が現れてきます。身体がまずあって、それを中枢が意識し、運動せよという命令をするという図式ではなく、運動できて初めて身体が現れるとするわけです。意識、言いかえれば自分自身についての自覚のようなものは、動いたり、習慣として身につけている言語を発することによってはじめて現れるとするのが、メルロ=ポンティの考え方なのだと理解しました。

 この方向で研究を突き進める自信はありませんが、おさえておきたい発想であることは間違いありません。

 ちょうど、細見和之の『ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」を読む』を読んでいて、ベンヤミンの言語論をうーうー言いながら考えていたところでしたが、彼とメルロ=ポンティとを対比させると、言語について面白い発想が浮かんできました。このことについては、時間があれば何かの形で論考したいと思います。できるかどうか分かりませんが。

 そうそう、今回宿泊した知多の民宿は料理が大変すばらしくて、とても満足でした。宿泊費も安かったですし。コーディネートしてくださったMさんはじめ、参加者の皆さんいろいろありがとうございました。

正月休み終了

 昨年実家へ発ったときには大雪に見舞われていた札幌も、新年明けてしばらくは暖かかったようで、置いておいた自動車の周りの雪がシャーベット状になっていた。

 長くとれた正月休みも終わり、昨日実家から札幌に戻ってきた。

 あちらは年末年始好天であった。子どもたちは庭でイヌのようにはね回って遊んでいた。やはり子どもの相手には子どもが一番なのだろう。

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 ぼくは書き残した原稿が1本あったので、資料とPCを持ち込み、子どもたちの「遊んで」攻撃を避けながら正月二日にようやく書き上げてメール。

 なんだか年々「お正月」感がなくなっているような気がする。ずっと昔は、ザッピングをしても同じ映像が映っていることに感動しながら「ゆく年くる年」をながめ、遠くから聞こえる除夜の鐘を聞いて眠りに落ちていたように思う。今では酒をかっくらい、酔っぱらって12時前に意識をなくす。

 それでもなんとか正月気分を味わおうと3日に一家総出で鹿島神宮へ。参道から奥の院まで人でごったがえしていた。鹿島神宮といえば鹿なのである。アマネは飼われている鹿にエサ(ニンジン)をやっていた。

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 4日、実家から浦安に移動。家族3人でディズニーランドに行くため。デゼニランドではなく、ディズニーランドである。大学1年の時に高校の友人と来て以来だから15年ぶりか。

 冬休みの家族連れでランド内は激烈に混んでいた。アトラクションはどれも1時間や2時間待ち。比較的すぐに乗れそうなメリーゴーランドやダンボがくるくる空を飛ぶものにアマネを乗せる。その間、ぼくは「プーさんのハニーハント」に並んで待っていることに。ちょうど新書を持ってきていたので読みながら並ぶ。合流し、1時間半ほどで中に入ることができた。

 ちょうど午後のパレードを見ることができた。ディズニー映画のキャラクターがどっかんどっかん出てくるもの。アマネはお気に入りのバズ・ライトイヤー(トイ・ストーリー)が登場するとさかんに手を振っていた。パレードのオオトリはもちろんミッキー。座って見ていた目の前で踊ってくれたのでそれはラッキーであったろう。

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 そんなこんなで札幌に戻ってきたのである。

 明けてすぐ、卒論発表会。3日間かけて行われる。うちのゼミは最終日なのでまだ余裕がある。今日は発表練習をおこなった。まあなんとかなるだろう。

キドキド

 地下鉄東札幌駅そばに先月オープンしたショッピングモール、イーアス札幌に行ってきました。オープン直後に様子を見に行ってみると、案の定激混みでしたので、ほとぼりが冷めるまで待っていたのです。

 しかし最近よく聞きますね、この手の大型ショッピング施設。イーアス札幌から車で5分ほどのところには、すでに安定した集客力を持つアリオがありますし、北広島にもインターヴィレッジというのができています。そんでもって、どこにでもユニクロが入ってる。ちゃっかりしたもんですな。

 さて、雪深くなるこれからの季節、軽装で子どもを遊ばせることはいよいよ難しくなります。ちょっと調子が悪ければ、一日中うちの中に引きこもることも稀ではない。そんなときはインドアの遊び場が助かります。

 札幌は、インドアの遊び場もけっこう充実しています。無料の場所としては、市の子育て支援センターがあります。意外なところでは札幌ドームの中にあるキッズパークは試合が開催されていなければ無料で利用することができます(ただし駐車場は有料)。有料の施設だと、新札幌のサンピアザにファンタジーキッズリゾートというのがあります。

 今回家族でイーアスに行った目当ては、ボーネルンドの経営する有料のインドアプレイルーム、 Kid-O-Kid (キドキド)でした。選択肢が一つ増えたのも嬉しいですし、なにより家から近い(車で10分程度)のがいいです。

 朝10時過ぎに行くと、すでにキドキドの前には親子連れの行列ができていました。中で子どもたちが遊ぶ様子をアマネに見せましたが、 あまり食指が動かない模様。しかたなくぐるりとショッピングモール内を見て回りました。テナントの数はアリオに及びませんが、全体にインテリアのおしゃれさを売っている感じがします(経営がダイワハウスだからでしょうかね)。

 しばらくすると「遊ぶ遊ぶ」と言い出したので、ぼくと二人でキドキドに潜入。

 ビヨビヨと飛び跳ねるマットとか、中に入れるチューブのような体を使って遊ぶものには目もくれず、まっすぐにごっこ遊びコーナーへ。 おもちゃのキッチンやリビング、衣装はもちろんのこと、食料品の並ぶ棚や会計をするレジまであります。

 お次はボールプールへダイブ。ボールの海の中をざばざばとかき分けて進むのが楽しそう。プール中央にはジムもあり、子どもたちがよじ登ったり降りたりして遊んでいます。

 おもしろいのは、砂場。室内ですが、砂場があるのです。遊ぶ際は備え付けのゴム長を履いて入ります。スコップ、バケツなども完備。また、砂はほどよく湿っており、山を作ったり団子を作ったりすることもできます。外の公園はすでに雪に覆われており、砂場で遊ぶのは久しぶりなので、アマネは夢中になってバケツに砂を入れておりました。

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 1時間の滞在、親子2人でちょうど1000円(割引券使用後)でした。大人もけっこう楽しく遊べる施設で、これから人気が出るんじゃないでしょうか。というか、すでに大人気で芋洗い状態の遊具もありました。

 惜しむらくは、トイレが併設されていないこと。いったん出て、ショッピングモール内のトイレを使うことになります。これだけが本当に惜しい。