サバティカルの成果 その1

2019年10月より1年の間、研究に専念することを本務校よりお許しいただき、筑波大学の高木智世先生のもと、子どもの会話分析について一から学び直しております。

2019年度後期を終えて2020年度前期も引き続きお世話になろうとしていたさなか、ご承知のようにCOVID-19の国内外の流行により、北海道から東京近辺への移動が本務校から止められてしまい、筑波大にうかがうことがしばらくの間できなくなりました。

そのようなわけで、9月末までのサバティカルで行えるのは、家と研究室を往復してなるべく人に会わずにできることに限られます。幸い高木先生のゼミは遠隔で開催される運びとなり、距離的なハンデはまったくなくなりました。また、筑波大学で購入されているリソース(検索システム、オンラインジャーナルなど)も遠隔で利用可能です。半年はおとなしく過ごし、後期からの講義準備と何本かの論文執筆にあてようと思います。

アウトプットにも力を注いでおります。成果の一つとして、2冊目の単著が、2020年5月に出版されます。共立出版にて現在進行中のシリーズ「越境する認知科学」の1冊。書影と目次と概要が共立出版のサイトに出ていましたのでご紹介します。

越境する認知科学シリーズ第4巻 大人につきあう子どもたち:子育てへの文化歴史的アプローチ

この本を仕上げることができたのはサバティカルの大きな成果でしょう。それまでは講義や校務の合間を利用して2019年以前から執筆を続けていたものですが、空いた時間で一気に仕上げることができました。私の執筆スタイル(あるいは認知スタイル)として、100頁を超える原稿に向かうと書いているうちに全体として何を述べたいのか分からなくなってくるというものがあることに気付きました。要するにワーキングメモリが小さいのです。なので、時間をかけて書いていると一貫性がなくなってしまいます。集中して書いたり見直したりする時間が取れたおかげでなんとか書き上げることができました。

現在、もう1冊、翻訳本を仕上げている最中です。こちらはもう5年くらいぼちぼちと作業していたのですが、ようやくまとまった時間ができたので集中して完成させることができました。進展があり次第またお知らせします。