先日,卒業生と飲んだときのこと。夕方5時からすすきので飲み始め,夜10時に3軒目へ移動。とある事情でタクシーで札幌駅へ。
当初目指していた北大南門そばのお店がラストオーダー過ぎて入れず。同行のIくんが「じゃああそこで」と誘ってくれたのが
「umi」
なるお店。え,こんなところにこんな店が?札幌にお詳しい人ならこの驚きは分かると思う。
古い旅館を改装したとかで,遺された梁や柱に確かに年代を感じる。なかなかだったが,最近の店の造りは,
テーブルの照明が妙に暗かったり,メニューの名前がやたら長かったり,靴を脱いで個室に押し込められたりと,あまり気に入らない。
このところ,北口にそんな新しい飲み屋がぽこぽことできていて,妙に激戦区になりつつある。
南の方が飽和状態になってきたということなのかな。大学に近いのでそれはそれで嬉しいことではある。
確かに,北12条から札幌駅までの間ってお店の選択肢がそれほどない空白地帯だったんだよね。18条の方へ北上するか,
駅回りをぐるぐるするしかない。大通り~すすきのまで行ってしまえば選び放題なんだけど。
ぼくが大学と12条駅近辺で行くとしたら,「我ん坊」(2年ぶりだねと言われた),「鳥源」
(美唄風焼き鳥が食べられる数少ない名店),「松」(最近とんとごぶさた)である。ちょっと離れるが「かんろ」(最近ごぶさた)も良いし,
駅まで行ってしまえば「味百仙」(日本酒のそろえがすばらしい)が良い。
これらのお店はどこも10年以上この地でがんばってきた老舗である。最近のお店も新しくていいけど,やはり落ち着くのは古いお店だ。
これからもがんばっていただきたい。
ところで,札幌駅に注目が集まり,静かな激戦区になりつつある今,ぼくが注目しているのはお隣の駅,桑園である。
なにしろここは,中央市場が近く,おまけに札幌競馬場も近い。市場と競馬場があって,いい飲み屋がないはずがない。いや,
実際にあるのだ。教えないけど。
特筆すべきは,この駅の立地である。大学の敷地から歩いて3分ほど。なのになぜみな札幌駅の方へ飲みに行くかというと,
どでかい農場をつっきっていかねばならないからだ。
だけど,道外からのお客さんにとってはこのことは条件さえそろえば悪いことではないように思う。
たとえば文系の学部で研究会を開き,夕刻頃お開きとなったと想像しよう。学部を西に出てまっすぐ行くと,あのポプラ並木がある。
その並木脇をぬけて,西の山に沈む夕日を眺めながら一面の麦畑の中を歩くのだ。土の香りと葉ずれの音を楽しみながら農場を抜ける。
道路を渡るとすぐに駅に着く。あとは好きな店に入ればよい。街の真ん中で北海道の雄大さをほんの少し味わえるのである。最近やっていないが,
4年くらい前はこんな感じでよく桑園に行っていた。
夜が更けると真っ暗で用水にはまるおそれがあるし,雨が降るとぬかるんで靴が汚れるし,雪なんか降れば遭難するだけなので,
このコースがベストなのは5~9月のよく晴れた日,夕方6~7時頃である。