週末にかけて東京へ出張。今年度の科研の打ち合わせで、方針を確認する。
帰りの飛行機まで時間がたっぷりとあったので、かねてより来てみたかった、明大の米澤嘉博記念図書館へ。ちょうどいま、「吾妻ひでお展」が開催されている。これが目当て。
明大の建物が林立する一角のビルをまるまる使った図書館。1階が展示室、2階以上が閲覧室と書庫。吾妻ひでお展は展示室の一角を使った展示。そのほかにも、常設とおぼしき、米澤嘉博のコレクションの一部がケースに入っているのを見ることができる。これを見るだけでも面白い。
さて吾妻ひでお展。米澤氏はかつて吾妻ひでおを論じるときには「阿島俊」名義を用いていたほどのファン。吾妻ひでおもまた、作品の中に米澤氏をモデルとしたキャラクターを登場させており(そのキャラの出ている作品の原画も展示されていた)、単なるファンと作家といったありきたりな関係ではなかったものと思う。
展示では、初期から現在までのすべての単行本が横一列に並べられ、その下にテーマごとの作品や原画、小説の表紙などめずらしい仕事の数々が一堂に会していた。話には聞いていたものの今となっては「実物」を手に入れることのできないものが多く、眼福である。
ベーホの「ふるむまかおめら」、クルムヘトロジャンの「へろ」。初めて見た。装丁の違いによる版がいくつかあったことも初めて知る。
「不条理日記」の解題は、「吾妻ひでお大全集」をベースにしていると思うが、元ネタに訳者の違いによるいくつかのバージョンがある場合すべて網羅してあってよりマニアックになっていた。
これほどの規模の(といっても、ビルのワンフロアのさらにその一角、なのだけど)吾妻ひでおの展覧会は、おそらく、これが最初で最後であろう。ちょっとでも気になる人は絶対に行くべし。