【研究】論文を書きました

家族内会話を組織化する幼児や大人の相互行為に関する論文を書きました。

伊藤 崇 (2015). 幼児による家族内会話への傍参与の協同的達成 認知科学,22,138-150.

しばらくすればJ-Stageにてダウンロードできるようになると思います。抜き刷りもありますので,欲しい方はご連絡を。

なお,本論文のイラストは,イラストレーターのかんざきかりん様の筆によるものです。ここに感謝申し上げます。

研究の方向を見定める

データなんていくらでも取ろうと思えば取れるわけで,大事なことはそれでもってどちらに行くか,だ。

方向を見定める作業に10年以上かかっているのだが,そろそろ1つの方向性がまとまってきた。キーワードは,「子どもによる環境作り」である。

一方で,「大人による大人のための環境作り」もまた同時並行で進めている。

その一つが,現在もっぱら携わっている研究で,コミュニケーションを可視化する装置を学校の先生向けにカスタマイズする作業である。

先日の研究会では政策提言に食い込むのかどうか,という問いかけがなされた。大事なのはキャッチフレーズではなかろうか,と思う。ぼくならばこのツールは「もう1本のペン,もう1冊のノート」とでも呼ぶだろう。

「新しいペン,新しいノート」と呼ばないのは,今もこれからも授業記録の基本はペンとノートだという発想に基づく。先生が自分の目で見たこと,耳で聞いたことを主観をたっぷりとまじえて書き続けることが大事だ。いまカスタマイズしている作業は,先生のそうした主観に分析の結果を近づけることが中心となる。だから先生は自信を持って主観を研ぎすましてほしいのである。

そうなってはいけないのは,機械の分析結果に引きずられて先生が主観を曇らせることである。いってみれば,検査の結果に悪いところがないため,痛い痛いと叫ぶ患者を放り出す医者のようなものだ。先生がそうなってはいけない。まず人としての関係性において患者の痛みの尊重があって,それを和らげる手段としての検査でなければならない。