062-赤ちゃんの不思議

開一夫 2011 赤ちゃんの不思議 岩波書店

発達心理学では,無力で無能な赤ちゃんという枠組みから,能動的で有能な赤ちゃんという枠組みへシフトして久しい。

そのような枠組みのシフトは,巧妙に工夫された数々の実験によってもたらされたものである。

ともすると私たちは,そうした実験の結果のみを知ろうとし,そこから考えを広げていってしまう。しかし著者は,結果とともに方法にも同じくらい重点を置いて読者の意識を向けようとする。本書はこの点でユニークである。赤ちゃんの認知能力を調べる実験方法はいろいろある。本書20ページには9つの手続きや指標が紹介されている。そこにも掲載されている選好注視法や馴化-脱馴化法は,先の枠組みシフトを牽引したいくつもの研究で用いられたものである。

結果を盲信するのではなく,それを疑うという態度は科学リテラシーの基礎にあるべきもので,その疑いを形にするためには方法が最も重要である。その意味で,赤ちゃん研究の方法について事細かに紹介し,同時にそれらの方法についても批判を加える本書は読者にとって大事な視点を提供してくれる。

著者は,これらの手続きで採用されるロジックの巧妙さを評価しつつ,同時に,その結果には実験者がどうしても解釈をしなければならない部分があることを指摘する。それをふまえ,脳活動のイメージングに活路の一つが見出される。要は,赤ちゃんのふるまいの源を脳に仮定し,それを直接的にのぞくという方法である。研究者の関心が,赤ちゃんの脳に向かう流れはもう止められないだろう。しかし,そうなるととたんに,実験の方法が一般的な読者の手には届かない場所へ行ってしまう。

このことは,不幸にも,研究結果の盲信につながってしまうのではないか。杞憂かもしれないが,一家に一台脳波計なんてことはありえない以上,普通の家庭では先行研究の追試などできないのだから,読者としては相矛盾する結果が出たときに「どっちを信じればいいの?」という水準で悩んでしまうかもしれない。

個人的には,選好注視法や馴化-脱馴化法などで用いられる行動指標で赤ちゃんの心理を調べる方向性をもう少し探っていった方がよいのではと思っている。この手続きの利点は,「誰でもできる」というところである。

開先生はいみじくも「日曜ピアジェ」というキャッチフレーズを提唱しておられる。ぼくはこのフレーズはとてもいいと思う。一週間のうち,せめて日曜くらい,ピアジェにでもなったように,赤ちゃんとじっくりと向き合う。眺めるだけでなくいろいろとはたらきかけ,赤ちゃんの中で起きていることを推測する。基本はここにあるのであって,まだまだ新しい発見も出て来るのではないか。ぼくはそう思っている。

先週末の出来事

6月も半ばを過ぎて外遊びが楽しい時期になってきました。この機を逃してはもったいないので,週末はあちこちに出かけてます。

土曜は,京極に行ってきました。ふきだし公園で水を汲むのも目的の一つでしたが,今回は札幌から走った途中の道ばたにある,ずっと気になっていたうどん屋に入ることを最大の目的としました。「野々傘(ののさん)」と言うのですが,前を通るたびに店の前の駐車場が車でいっぱいで,そんなに人気ならばと行く気になったわけです。

11時オープンなのでそれに合わせてたどり着くとすでに店の中はいっぱいでした。お店の方に名前を告げてあらかじめ食べるものを注文しておきます。携帯の番号を伝えておけば,席が空いたときに連絡をしてくれますので外で待っていても大丈夫。

待つこと30分ほど,ようやく座敷に。季節ものということでアスパラ天をのせた冷やしうどんをいただきました。まあなかなかおいしかったです。公園で水を汲んで帰りました。

明けて日曜,朝からいい天気なので,簡易テントと弁当をもって野幌森林公園まで行ってきました。ここは初めてです。

まずは,遠くからでもよく見える,例のあの塔に登ってみました。

P1070938.jpg ←例のあの塔(百年記念塔というのが正式名らしい)

そのまま,開拓の村にでも行こうかと思ったのですが,何を思ったかアマネが森の中を歩くと言いだし,遊歩道に分け入ることに。人工林と原生林の入り交じった中に細い歩道が造られています。30分ほどわさわさと歩くと,開けた場所に出ました。そこに簡易テントを置いて,一休み。

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平坦な道だったとはいえ,30分も大人にひっついて歩いていられるようになったのが父親としては嬉しいもの。

その日の夜は,家内の誕生日ということで,近所にあるイタリア料理屋「TATSUMI」で夕食を楽しみました。

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ここは,料理の味がいいのはもちろんのこと,子連れでも気兼ねなく入れるようにいろいろと工夫してくださっているところです。小さな子どもがいるご家族には絶対のおすすめ。

保育環境のアンビエント・サウンド

日本の保育所や幼稚園はうるさい。もう慣れてしまった人間からすればなんてことはないのだが,初めて足を踏み入れた人間からすると相当うるさい環境である。入園したばかりの子どもはまずこの「うるささ」に慣れなければならないのだろう。

ということからすると,保育所や幼稚園を「音」という観点で記述すること,そこにおける子どもの行動を,特有の音環境に「ニッチ」を発見し利用する過程として記述することはおもしろいのではないか。

多数の人間が集まって音を出し合っている環境を,「社会知覚的エコロジー」という視点で見てみよう。英語で言うと"socio-perceptive ecology"。教育社会学者F.Ericksonが学校教室を「社会認知的エコロジー(socio-cognitive ecology)」と呼んだのにならってである。「認知」ではなく「知覚」という語を入れたのは,人と環境との接面において起こる出来事を生態学的アプローチに依拠して記述したいから。要するにギブソン流に行く,という宣言である。

音とは,とどのつまり空気の振動だ。人は空気という媒質の振動に囲まれている。ギブソンにならえば,「包囲音波」(ambient sound)とでも言おうか。たとえれば,音の波が常に全身に打ち寄せている。無生物と異なるのは,打ち寄せ方を人自身が決められる点である。

人にとっての包囲音波には人工的なものも含まれる。最も身近なのが人の出す言語音声だろう。それ以外にも人は多様な音をまき散らしている。まき散らされ方は環境の構造を特定する。たとえば,視覚障害者が地下通路を歩くときなど,音の反射の仕方などで壁との距離が知覚できるという(伊藤精英先生の研究による)。音のまき散らし方を人は伝承してきた。その意味で文化的なものでもある。マリー・シェーファーはそのあたりを汲んで,サウンドスケープと言ったのである。

はじめに戻ろう。保育所や幼稚園は独特なサウンドスケープである。幼児はそうした環境に特定的な包囲音波においてどのように身を置き,自らそこで新たな音波を作り出すのだろうか。

保育所や幼稚園でよく見られる活動に,同じ言葉を複数人で一斉に言うものがある。かつて自分は「一斉発話」とか「同時発話」とか呼んだものである。例えば,朝の集会や食事前のごあいさつとして,あるいは合唱として,子どもたちは声を重ね合う。これによって,家庭などではあまり起こらない,独特な包囲音波が作られる。

どの辺が独特かというと,園で普通に会話しようとすると,うるさいなかで話さなければならないので,背景となる通奏音から自分の声を際だたせる行為が必要なのだが,一斉発話では反対に自分の声を他者の声に重ね合わせ,まぎれこませる必要がある。この点で一斉発話は独特なのである。

他者と声を重ねることを,協調的にタイミングを同期させた身体運動として見れば,それは発達初期から見られる人間の基礎的な能力である。一斉発話を単なるタイミング協調過程として記述してもダメだろう。子どもたちは自身のもつ基礎的な能力を用い,特定の環境で,どのような目標を目ざして,どのような行為を行うのかを記述することが重要である。というのも,能力そのものの発達を記述してもしょうがないから。能力とその環境はカップリングして発達しているはずだから。

これは日本の保育所・幼稚園に共通してみられるような環境であり,そこでの行為はあちこちで反復される可能性がある。だから1カ所の保育所・幼稚園を観察すれば,それで十分である。例えば,ある子どもの一斉発話における発声行為パターンはそうした環境であれば誰もが発見可能なニッチに基づいたものである可能性が高い。

という方向性で一斉発話研究を改めて見直し,書き直す。

保育と美学

無藤・堀越(2008)は,保育実践の質的な分析をおこなう上での視点として,美学の概念を導入した。イギリスの批評家テリー・イーグルトンの『美のイデオロギー』に依拠しながら,美的なもののもつ可能性を次のように整理する。

美的なものは人間に感覚的な方向づけをもたらす。その方向づけには2つの側面がある。一つは,自律的な行為者として内面的な統一感がもたらされる。もう一つは,他者との一体感が感覚的にもたらされる。

後者は重要で,これによって,言語など概念的な媒介をぬきにして他者との合意を形成することができる。これは,特殊な個人がそのまま普遍的な公共的存在に同化することを意味する。したがって,「~しなければならない」という法や「~であるはず」という法則は,強制によってではなく,むしろ喜びを通して内面に形成される。

言語的な媒介ぬきの一体感の感得というと,乳児期の自他関係を思い起こす。無藤・堀越の論は,幼児期におけるそうした出来事の分析を可能にする視座を与えてくれる点で,面白い。


無藤隆・堀越紀香 (2008). 保育を質的にとらえる 無藤隆・麻生武(編) 質的心理学講座1 育ちと学びの生成 東京大学出版会. pp.45-77.

ISCAR-ASIA & DEE共同企画WS

ヘルシンキ大学からユーリア・エンゲストローム先生をお迎えする下記のワークショップに参加します。

定員があるそうですから,お早めのお申し込みがよろしいかと思います。


ISCAR-ASIA & DEE 共同企画ワークショップ
後援:日本教育心理学会

『ワークショップ:状況活動研究の最前線』

<日にち>
2011年7月27日(水)、28日(木)

<場所>
大正大学 巣鴨キャンパス
最寄駅 都営三田線 西巣鴨駅 徒歩1分
http://www.tais.ac.jp/other/access_map/access_map.html

<参加費>
無料

<定員>
27日 85名
28日 120名

<お申込み先>
7月16日(土)までに、『下記のアドレスまで』お申込み下さい。
DEE事務局 香川秀太 design_education_environmentアットyahoo.co.jp ※アットを@にご修正ください。
※件名に、1)27日か、28日、どちらに参加予定か、或いは両日か、ご明記ください。また、本文に、2)参加者のご氏名、3)ご所属先を記載してください。
※このアドレスは、今回のワークショップの申し込みに限り、使用いたします。他の要件で利用しないでください。
※定員に到達し次第、締め切らせていただきます。 7月16日の申し込み締め切り日より前に、定員に到達いたしましたら、DEEの下記のHPにて、告知させていただきます。
DEEのHP
http://sigdee.net/

■■7月27日(水)■■

教室 7号館6階 766教室
※正門入ってまっすぐ奥までお進みください。正門を背中に右奥にある、ガラス張りの新しい灰色の建物です。

①【13時~15時】「野火的活動:今後の状況活動研究の焦点」
企画:ISCAR Asia
登壇者:上野直樹(東京都市大学)、ユーリアエンゲストローム(ヘルシンキ大学)、茂呂雄二(筑波大学)、杉万俊夫(京都大学)

②【15時15分~16時45分】「学校空間の社会的構造」
企画:伊藤崇(北海道大)
登壇者:伊藤崇,川俣智路(北海道大),佐藤昭宏(北海道大)

■■7月28日(木)■■

教室 1号館2階 大会議室
※正門入ってすぐ右の黄土色の建物です。

①【12時半~14時30分】「越境的な組織改革・コミュニティデザインの試み:企業、医療、教育の実践から」
企画・司会:DEE
話題提供:前半:内橋洋美((株)ユナイテッドシネマ),吉村ひとみ(マツダ病院),諏訪晃一(大阪大学)
後半:村澤和多里(札幌学院大学),岡部大介(東京都市大学)・石田喜美(常盤大学)・加藤文俊(慶應義塾大学)・木村健世(アーティスト)
コメント:高木光太郎(青山学院大学)

②【14時45分~16時15分】「対話可能性を拡張する教育実践」
企画・司会:田島充士
話題提供:アナリサ・サンニノ(ヘルシンキ大学),宮崎清孝(早稲田大学),田島充士(高知工科大学)
コメント:岡花祈一郎(福岡女学院大学)

③【16時30分~18時】「越境概念の再検討:コミュニティ間の“境界”をいかにとらえるか」
企画・司会:DEE
話題提供:有元典文(横浜国立大学),青山征彦(駿河台大学),香川秀太(大正大学)
コメント:上野直樹(東京都市大学),伊藤崇(北海道大学)

【イベント】ISCAR-ASIA & DEE共同企画WSに参加します

ヘルシンキ大学からユーリア・エンゲストローム先生をお迎えする下記のワークショップに参加します。

定員があるそうですから,お早めのお申し込みがよろしいかと思います。


ISCAR-ASIA & DEE 共同企画ワークショップ
後援:日本教育心理学会

『ワークショップ:状況活動研究の最前線』

<日にち>
2011年7月27日(水)、28日(木)

<場所>
大正大学 巣鴨キャンパス
最寄駅 都営三田線 西巣鴨駅 徒歩1分
http://www.tais.ac.jp/other/access_map/access_map.html

<参加費>
無料

<定員>
27日 85名
28日 120名

<お申込み先>
7月16日(土)までに、『下記のアドレスまで』お申込み下さい。
DEE事務局 香川秀太 design_education_environmentアットyahoo.co.jp ※アットを@にご修正ください。
※件名に、1)27日か、28日、どちらに参加予定か、或いは両日か、ご明記ください。また、本文に、2)参加者のご氏名、3)ご所属先を記載してください。
※このアドレスは、今回のワークショップの申し込みに限り、使用いたします。他の要件で利用しないでください。
※定員に到達し次第、締め切らせていただきます。 7月16日の申し込み締め切り日より前に、定員に到達いたしましたら、DEEの下記のHPにて、告知させていただきます。
DEEのHP
http://sigdee.net/

■■7月27日(水)■■

教室 7号館6階 766教室
※正門入ってまっすぐ奥までお進みください。正門を背中に右奥にある、ガラス張りの新しい灰色の建物です。

①【13時~15時】「野火的活動:今後の状況活動研究の焦点」
企画:ISCAR Asia
登壇者:上野直樹(東京都市大学)、ユーリアエンゲストローム(ヘルシンキ大学)、茂呂雄二(筑波大学)、杉万俊夫(京都大学)

②【15時15分~16時45分】「学校空間の社会的構造」
企画:伊藤崇(北海道大)
登壇者:伊藤崇,川俣智路(北海道大),佐藤昭宏(北海道大)

■■7月28日(木)■■

教室 1号館2階 大会議室
※正門入ってすぐ右の黄土色の建物です。

①【12時半~14時30分】「越境的な組織改革・コミュニティデザインの試み:企業、医療、教育の実践から」
企画・司会:DEE
話題提供:前半:内橋洋美((株)ユナイテッドシネマ),吉村ひとみ(マツダ病院),諏訪晃一(大阪大学)
後半:村澤和多里(札幌学院大学),岡部大介(東京都市大学)・石田喜美(常盤大学)・加藤文俊(慶應義塾大学)・木村健世(アーティスト)
コメント:高木光太郎(青山学院大学)

②【14時45分~16時15分】「対話可能性を拡張する教育実践」
企画・司会:田島充士
話題提供:アナリサ・サンニノ(ヘルシンキ大学),宮崎清孝(早稲田大学),田島充士(高知工科大学)
コメント:岡花祈一郎(福岡女学院大学)

③【16時30分~18時】「越境概念の再検討:コミュニティ間の“境界”をいかにとらえるか」
企画・司会:DEE
話題提供:有元典文(横浜国立大学),青山征彦(駿河台大学),香川秀太(大正大学)
コメント:上野直樹(東京都市大学),伊藤崇(北海道大学)

複式学級の数は減っている

複式学級数.jpg

複式学級に興味が出てきて,とりあえず文科省の統計をごそごそと調べている。

平成15(2003)年からの学校基本調査がウェブから拾えたので,全国の小学校における学級数と複式学級のそれぞれの総計について,昨年度までの年次変化を視覚化してみた(ただし,公立校に限定)。

上に示したのがそのグラフ。左側の軸が単式,複式,特別支援ぜんぶ含む学級総数を,右側の軸がその中の複式学級数を示す。すでにこういうグラフは誰かが作っているかもしれないが,まあ自分の勉強のために。

パッと見て分かるのは,学級数は08年まで増加し,そこをピークにじわじわ減少してるのに対し,複式学級数は一貫して減少していること。

グラフには出していないが,学級数が増加しているのは特別支援学級の増加によるもの(03年:21,342→10年:30,329)で,単式学級数はほとんど横ばいか近年は微減。その中で複式学級が着実に減っているのはどういう意味があるのか。

こういう話って,自分が知らなかっただけで,教育学者の間では有名なのかな?日本で一番複式学級に詳しい人って誰なんだろう?

今年の教心

7月末に札幌で日本教育心理学会が開かれます。

もちろん私も参加しますが,やたら出突っ張りです。おまけにスタッフもやります。「飲み屋マップ」でも作ってお配りしましょうかね。

ようやく日程が出そろったようですので,宣伝します。ご用とお急ぎでない方はどうぞ足をお運びください。


■ポスター発表

P4-35 一斉授業において児童は発話をどのように聞いているのか(4)
 伊藤崇・関根和生(北海道大学大学院教育学研究院・日本学術振興会/国立情報学研究所)
 日程:7月25日(月)9:30~12:00

■自主企画

24-J-12 7 月24 日(日) 19:00~21:00 1010 会議室
心理学研究・教育における理論の役割を考える
 企画・司会者:松本博雄(香川大学)・大久保智生(香川大学)
 話題提供者:陳省仁(光塩学園女子短期大学)・伊藤 崇(北海道大学)・加藤弘通(静岡大学)
 ファシリテーター:川田 学(北海道大学)

26-J-05 7 月26 日(火) 16:00~18:00 730 研修室
実践のアンサンブルをどう読み解くか:状況論・活動理論の実際(1)
 企画者:青山征彦(駿河台大学)・香川秀太(大正大学)
 話題提供者:青山征彦(駿河台大学)・伊藤 崇(北海道大学)・新原将義(横浜国立大学)・有元典文(横浜国立大学)・森下 覚(大分大学)
 司会・指定討論者:香川秀太(大正大学)

26-J-21 7 月26 日(火) 19:00~21:00 特別会議室
教室での身体的なコミュニケーションからとらえる学び
 企画・話題提供・司会者:伊藤 崇(北海道大学大学院教育学研究院)
 企画・話題提供者:関根和生(日本学術振興会/国立情報学研究所)
 指定討論者:福田信一(札幌市立幌北小学校)

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ステッドラーのテキストサーファーゲル

人間,追い詰められると目の前の仕事から逃避してしまうものである.

この1週間はとある論文の直しにかかりきりだった.結局,査読してくださった方の要求に応えよう応えようとしているうちに,まるで別物の論文になってしまったのである.

ちょっと書いては休み休みしていると,その間に別のことをしたくなる.これがまた,暇のあるときだとまったくしたくならないから不思議だ.たとえば,部屋の掃除やら,ネットでの買い物やらである.

今回の論文はそうとう煮詰まっていたので,おかげで研究室がだいぶ片付いた.片付けをする暇があれば書けよなと自分でも思うが,それでも少しでもディスプレイから離れていたくなるのである.

衝動買いもひどかった.楽天に出店している「京都文具屋」がひいきなのだが(買ったものを送ってくれるときの包装や一言メッセージに気遣いを感じるのである),そこで見て買ってしまったのが掲題のStaedtlerのテキストサーファーゲル.要は,蛍光ペンである.

それが今日届いた.さっそく試し書きをする.書き心地がなんとも不思議.よくすべるクレヨンのよう.ウリの,「裏写りしない」は確かにそうだった.水性の蛍光ペンだとどうしても薄い紙に書くと裏写りするのだけど,これだとそんな心配はご無用.よい買い物をした.

ついでに買ったのがこちら.

DELFONICS Rollbahn【ロルバーン】10thアニバーサリーコットンバッグ

DELFONICS Quitterie【キトリ】シリーズ 通帳ケース