行き着く先の居酒屋

札幌を訪れた方を食事にお連れする際にはご案内できないものの、個人的にはいちばん落ちつく店というのがある。

このところ毎週訪れているのは、札幌の飲んべえならば誰もが知っている老舗「第三モッキリセンター」である。

早番で入っているおねえさんに、もう顔を覚えていただいた。それくらい通っている。

瓶ビールを一本、それに枝豆と何か(だいたい、サバ煮か串カツ)。それを空けたら燗酒に何か(だいたい、生揚げか身欠きニシン)。それでだいたい1500円前後である。

早い時間に行くと、常連とおぼしき年配男性やカップルがぽつぽつとそれぞれのスタイルで飲んでいる。それを眺めやり、聞くともなしに話を聞いていると十分に楽しい。

6時過ぎに入るとカウンターはぎっしりで(札幌には珍しい、コの字カウンターである)、4人掛けテーブルで相席もしばしばである。

何かうまい名物があるわけではない。ウインナーはシャウエッセン、餃子は紀文と堂々と品札に書いてある。ビールはアサヒとヱビス、酒は白鹿(正確にはもう少し種類がある)。昨今の銘酒居酒屋や料理自慢の飲み屋とはまったく一線を画している。

だが、この年になるまでいろんな飲み屋を経験した身からすると、もうここでいい、いや、ここがいい、と思わせるたたずまいがこの第三モッキリセンターにはあるのである。

2017年をふりかえる

2017年もあと残りわずかである。

ブログに記事をアップすることもほとんどなく、過ぎ去ってしまった。

もちろん、何もしていなかったわけではなく、本業はきちんとこなしていたつもりである。

今年1年ずっと肩にのしかかっていたのは、本の原稿であった。とある出版社より、入門書の執筆のご依頼を受け、それをしこしこと書き続けていたのである。

昨年の5月に計画がスタートし、その後私の筆がさまざまな理由で遅々として進まず、今年1月になってようやく軌道に乗り始めた。

ほぼ1ヶ月で1章(8~10ページ)のペースで脱稿し、先日ようやく全14章書き終えた(それでも当初は全15章の予定だったのを、力不足で1章削ったのである)。

というわけで、今年の重大事件は執筆完了という話であるのだが、それでは面白くないので今年1年で印象深かった出来事を7つ挙げてみる。

7位 平取町の方々と仲良くなる
 大学の国際交流イベントの関連でここ数年平取町のアイヌの方々と交流を続けている。今年は同僚の先生といっしょにプライベートでも訪れていろいろとお話をさせていただいた。

6位 アマネ歯を抜く
 夏休みに入ってすぐ、公園で遊んでいたアマネが遊具に顔をぶつけ、上の前歯を歯茎に陥没させるという事件が起きた。ひどく陥没していたため、けっきょくそれらの歯を抜いて、もういちど埋め直すという手術をした。結構な大騒動であった。

5位 ゼミ始まる
 言語発達論なる海のものとも山のものともつかぬゼミを始めてみて、ぼちぼちと人は来ている。特に後期は、ヴィゴツキー『思考と言語』を読むよ、そうとう難しいよ、と言っておいたにもかかわらず、6人の2年生が来た。古典を読むのは若いうちがよい。

4位 海外出張続く
 大学の国際交流イベントの関連で、今年の9月にタイのチュラロンコン大学とロシアのサハリン国立大学を立て続けに訪問した。なかば学生の引率のような形であったのだが、ノルマがさほど大きくない出張だったので、それぞれの地の事情や大学の様子を拝見できてとても意義深い出張だった。

3位 とある小学校での調査続く
 国内のとある小学校での調査を継続的に行っている。今年は3回の調査を実施し、特にそのうち1回は、子どもたちが合宿に行くのについていった。ビデオカメラをもってシャドウイングするのは久々だったので要領を思い出すのに苦労した。

2位 東京での監禁続く
 共同研究者の先生からのお誘いで、このところしばしば東京にてデータ討議や執筆のための缶詰になる。それを「監禁」と呼ぶ。監禁の後は飲み屋に繰り出すのだが、おかげで銀座のお店に詳しくなった。

1位 いろいろ書く
 というわけで、自分としては1冊の本を書き上げたというのが一番大きかった。

来年はぼちぼちアカデミックな場所に赴いてアウトプットをしていく予定である。