高校へ出張講義

 市内にある北海学園札幌高校より,2,3年生向けに出張講義の依頼があり,同僚の宮盛先生と一緒にでかけることにした。

 こういう場合,普通は1人で講義するのだが,相談をして今回は2人で話してみよう,ということにした。教育学部で学んだり研究したりしていることは,1人の教員の専門範囲を超え出ている。そうした多面性を2人の教員がそれぞれ専門分野について話すことで実感してもらえたらという期待を込めてのことだった。

 お題は「分かることと学ぶこと」。ぼくは分かることを担当。ピアジェの話をする。宮盛先生は学ぶことを担当。ブルデューの話をする。

 高校に到着して講義をするためにおうかがいした部屋は,校舎の隅にあった。物理室として使われているらしいが,こじんまりとした階段教室である。生徒が腰掛けるイスがまた古めかしく,木製のベンチのような感じ。

 おうかがいしたところでは,大正時代にこの高校が創立して以来の教室だそうだ。なんとすばらしい。市内の高校で,ここまで古い建物が遺っているのは稀ではないか。

 スケジュールでは3年生と2年生にそれぞれ50分ずつ同じことを話すことになっていた。2人なのでだいたい20分ずつ,最後に質疑応答を入れる。

 生徒さんはメモをとるよう指示されていたようで,一生懸命なにやらプリントに書き込んでいた。3年生はどこか斜に構えて大人びた感じ,2年生は好奇心旺盛という印象。

 質疑応答の際に「夢は何でしたか,それはどうなりましたか」という質問を受けた。ぼくは「小さい頃はマンガ家になりたかったですが,挫折しました。次の夢は本屋でした。本に囲まれて暮らしたかったんです。それは今実現しています」と答えた。

 さてこのイベント,高校が進路指導の一環として企画をされ,道内様々な大学から教員を招待していたらしい。教育大函館校から,大学院時代の先輩がたまたまいらしていて,話しかけた。大学院時代とぜんぜん変わっておらず,安心(?)した。

 ご担当された高校の先生方,いろいろお世話になりました。ありがとうございました。

教育学を考える会・発達関連研究会

 今日は忙しかった。同じ日に2つの「会」。どちらも出番あり。

「教育学を考える会(仮)」は,若手有志の教員が集まって,自分たちの関心について放談するものとして企画した。専門科目を受け始めたばかりの学部2年生に教育学の全体像のようなものを提示したいという趣旨である。

 2年生全員にチラシを配って来てくれたのは4人(うち1人研究生)。3人くらいかなと予想していたのでまあこんなものかと。

 肝心な中身。4人それぞれの学問領域(心理学,社会学,教育福祉,教育学)とその中での自分の関心,それが社会とどのような接点をもつのかといったことについて。普段接している同僚ではあるものの,あまり知ることのない過去を知ることができて新鮮。聞き入る。

 その後,学生さんの発言を受けて4人で適当に雑談。いちおう司会的なことをしていたので,「学校」をお題として放り込んでみたらそこそこつながったのではないか。ここでいかに「教育学」にとどまってその場で議論できるかが大事。教育について本当に適当に話すだけなら居酒屋のおじさんでもできる。「学」として教育を語ろうと努力している姿に気づいてくれたらいいなと思う。

 夕方からは北海道の発達研究者が集まる会に参加。前回指名されたので発表者を相務めた。

 内容は今年の発心で発表したもの。小学校の授業データ。研究会用に頭とおしりに文脈を付け足してみた。

 コメントをいただく。すべて前向きにとらえたい。反復して現れて授業の進行や個人の評価に寄与するであろう特徴的なインタラクションのパターンを見つけ出していく方向性があるなとコメントを聞いていて考えた。

 打ち上げはエルプラザ下の「高田屋」で。発表者特権でごちそうしていただく。みなさまありがとうございました。

梅とか桜とか

 先週からようやく札幌にも花の便りが届きました。

 こちらは春が一気にやってくるので,梅と桜が同時に咲くという現象が起こります。関東であれば観梅が終わってから花見というのが常識なのですが,札幌ではそれらを同時に楽しめます。

 札幌の梅の名所として有名な平岡公園。土曜日にでかけたら凄い人出でした。名物の梅ソフトを食べて早々に帰りました。

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 日曜日は桜の名所として有名な円山公園…ではなくて円山動物園。といっても遊園地で豪遊するお決まりのパターンですが。せっかくなので,赤ちゃんが生まれたアザラシ舎の前の桜の木の下で持参したお弁当を食べました。

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 もうそろそろ札幌の桜は終わりでしょうね。梅はもうしばらく楽しめるかもしれません。

ただ観客に徹すること

 学部2年生が参加する演習。文献を読んできてそれに対する疑問を各自提示してもらう。

 ただ疑問を表明するだけでは「言いがかり」である。単なる言いがかりにならないためには具体的な証拠が必要だ。その証拠は自分たちで探してこなければならない。立証責任はこちらに移ったのだ。

 そのことを理解してもらうために,前の週で文献に対する疑問を言語の形にしてもらったうえで,今週はその疑問を支えるための具体的なデータとして,ネット上の動画を素材に各自発表してもらった。

 論点は「公共の場でのケータイ使用が第三者をイライラさせるのはなぜか」。

 それについて学生はいろいろな動画を探してきてくれた。

 基本はみなYoutubeから拾ってくる。なかなかぼくでは探しきれない動画が続々紹介されて,ぼくはもうただ観客になってしまった。『恋空』を見せてくれた者がいたが,これなんかぼくには思いもつかない素材だ。

 ユニークなところでは,ラーメンズのDVDをもってきてくれた者。あと,自分たちで動画を作った者。後者は自作自演なので,厳密には主張を支える証拠としてはうまくないが,工夫と熱意は買いたい。

 全員に大きなポストイットを渡して,発表者の発表に評価をつけてもらった。それを発表者にフィードバック。聞いている人を眠らせないための工夫でもあるが,ぼくがコメントをするよりも発表者にとってはずっと嬉しいのではないかと思ってやってもらった。

 何人かを審査員にまきこんで,発表者の中から本日のベストを選んだ。2チーム3人が受賞。賞品は,クリスマスちっくなクリップ。なくてもどうということもないが,もらえればほんのわずか嬉しいというくらいのものがおそらくはこういう場合の賞品によいだろうと。

 演習が終わってから,「おもしろかった」と言ってくれる学生がいて,大変に嬉しい。ぼくはひたすら観客に徹していたのでとても楽だったけど。

 学生同士で学び合い,最終的には「ゼミで発表すること」を身につけてもらいたい。それがこの演習の目標である。

福江島紀行

 連休を利用して長崎に行ってきました。昨年行った平戸の海が楽しかったので、今年も海で遊んでみようと、めったに行くことのない五島は福江島へ。

 福江島へは長崎港からジェットフォイルに乗って1時間ちょっと。幸い波はたっておらず、心地よく揺られているといくつもの島影が見えてきます。

 港に降り立ち、まずは初日の宿へ。旅館「富久屋」ではアマネが宿のおばちゃんお姉様方に熱烈歓迎されていました。子どもが来ると言うので、お風呂には水鉄砲を、部屋には車のおもちゃを用意しておいてくれました。帰りがけにはお菓子もわんさかくれました。

 五島に来たからには魚介を堪能しなければなりません。楽しみにしていた夕食には、刺身、カマス塩焼き、ウニ、サザエなどなど。刺身の身が締まっていておいしい。夜は町に繰り出そうかと思っていましたが、夕食のあまりのボリュームに断念。

 あけて2日目、今日は一日島をぐるりと回る予定。レンタカーを借りてまずは島の西側をめざします。なんでも自称日本一美しいとかいう高浜海水浴場へ。

 車で走ってみると、案外に広い島です。1時間ほどかけて海水浴場に到着。さすがに砂浜には誰もいません。ここの海も水が大変にきれい。ただ少し波が出ていたのと、平戸のような遠浅ではないため、波打ち際で波と追いかけっこをしたり、足下の砂が波にさらわれていく感触を愉しんだりしたくらい。浜に流れ込む山からの小川の水が温かかったのでそこに足をつけて長いこと遊んでいました。

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 大瀬崎灯台の立つ絶壁を眺めてから再び町に戻り、2日目の宿「上乃屋」へ。

 夕食後、アマネが寝たのを見計らって、夜の町へ。飲み屋街は、商店街のアーケードを一筋奥に入ったところにありました。その一番外れにある「ふくろう」に入ってみます。

 明るい店内にはカウンターと小上がりが数卓。そのカウンターには先客のご夫婦が1組。その隣に座らせてもらい、生ビールを。カウンターの目の前には大鉢に入った総菜が並んでいます。夕食はとってきたので、軽くアジの酢漬けをもらいます。ふくよかなおかみさんが「魚が好きならこれはどう?」とすすめてくれたのは、干したキビナゴを甘辛く炊いたもの。こうなったら焼酎ですね。お湯割りをもらいます。

 こうして夜は更けて次の日。とうとう島を出る日です。車で向かったのは、鬼岳(おにだけ)。斜面すべてが芝で覆われたこの山はかつての火山だったそうです。やっとの思いで登り切ると、周りの海や島が一望できます。

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 堪能した一行は、午後の便で再び船上の人に。こうして2日間の島暮らしは終わりました。

 さて後日、札幌に戻ってきたときにとある居酒屋で五島の話をすると、かつてトライアスロンをしていたというご主人がうらやましそうにしていました。なんでも福江島はトライアスロンを島上げて応援しているのだそうで、確かに車で走っているとやたらとローディーが目につきました。