卒論指導を担当している学部4年生を引き連れて、札幌以外の場所で卒論検討会を行っている。昨年は函館へ行った。今年は、
大学院のOG(?)、Kさんが勤めている名寄短期大学にて検討会を行うこととした。検討会会場や打ち上げのセッティングなど、
すべてKさんにお任せしてしまった。どうもありがとう。
名寄は旭川のさらに北にある。汽車で向かうのもいいが、今回は車という秘密兵器がある。現地に着いたら、
公共の交通機関はあてになるはずもない。高速を使って車で行くことにした。
卒論を書くTくん、いっしょについてきてもらうことになった院生のHくんとともに、野郎3人で愛車キャパ号に乗り込み、
道央道を一路北へ。
空は高く、秋の気配である。ただ、南から来て抜けていった台風が置きみやげの雨雲が北の方に見える。
高速道の上をすいすいとトンボが飛んでいた。そのトンボを時速100kmで走るフロントガラスがプチプチとつぶしていく。うへえ。
札幌を出て2時間半ほど、道央道の終点となる士別でおりて昼食。さらにそこから30分ほどで名寄の街に到着。
着いたはいいが、短大の場所が分からない。
「あれじゃないですか」「いや、水道局だ」「これは」「高校です」
なにしろ広い土地を存分に使えるお国柄、何でも大きくて大学に見えてしまう。結局、直前に通り過ぎた建物がそうだと判明。
市役所かと思った。
名寄短大は駅から車で5分ほどのところに町外れにあるこぢんまりとした建物。車から降りるとKさんが迎えてくれた。
Kさんの研究室に3人でずかずかと乗り込み、さっそくTくんの検討会を開始。3人も先生がいるようでさぞや疲れただろう、Tくん。
これを励みにがんばってくれたまえ。
名寄には遊ぶところがないそうで、短大生は休みだというのに大学に来ていた。「北大生が来てるよ」とKさんが言うと、「見たい!」
とわらわらと廊下に出てきた。あたしたちは珍獣か。
夕方過ぎて小腹も減った。検討会を切り上げ、宿へ。駅前の「ニュー冨士屋ホテル」というビジネスホテルで、
ここには和室があるというので予約した。1部屋3人で12800円。商人宿を(具体的にはつげ義春の『リアリズムの宿』あたりを)
想像していたのだがこれがまたこざっぱりときれいなホテルでびっくり。
夕食は、Kさんご推薦の、駅前通の居酒屋「卓庵」にて。大学院を出て、名寄で子育て真っ最中のIさんがかけつけてくれた。
とにかくいろいろと注文し、そのどれもがおいしかったのでよくは覚えていないのだが、とりわけ蕎麦がうまかった。あまりのうまさに、
そばサラダ→もりそば→各自ざるそば1枚と、蕎麦ばかり食べたほどであった。細いのだけど、しっかりとこしがあり、
なおかつのどごしがすばらしくよい。さすが、隣に蕎麦の一大産地幌加内をかかえるだけのことはある。みなさん、名寄に行ったら蕎麦ですよ。
まったく人通りのなくなった駅前通を歩き、二次会に入ったお店はジャズバー「take5」。いかにもな名前である。
がっしりとした梁が天井に見える店内には心地よいジャズが流れる。さてとメニューを見ると、酒のそろえはちょっとという感じ。
ここはお通しのボリュームがすごいらしいとKさんから聞いたのだが、果たしてその通り。乾き物が大皿に山盛り、そのほかサラダ、卵焼き、
シューマイ揚げ、枝豆というオードブル。さらにはマスターのサービスでチャーハン大盛り。ここは何屋さんなのだ?
ふくれた腹をかかえて宿へ。テレビをつけると、阪神が9連勝していつの間にか首位に立っていた。
一夜明けて次の日、前夜満足に風呂に入っていない我々一行は、「朝風呂へ行こう」と近くの温泉へドライブに行くことにした。
最寄りの温泉施設は朝10時にならないと営業を始めないのだという。今は朝8時。なんということ。
仕方ないのでなるべく遠くの温泉に入りに行き、道中で時間をつぶすことにした。結局、美深町のびふか温泉に入ることに。
もう朝風呂という感じではないが、とりあえずは満足。
昼にふたたびKさんと待ち合わせ、おすすめのそば屋に連れて行ってくれるというので向かった先は、旧風連町の「雪の里」。
ここの蕎麦はゆうべの居酒屋のものとは違って、少し太めの十割蕎麦。十割だとぽそぽそとした田舎蕎麦を想像するが、さにあらず。
しっかりと歯ごたえの残った、これまたのどごしのよい蕎麦である。もう名寄最高。蕎麦好きにはこたえられない。
名寄には、スキー場はもちろんのこと、一般の人でもカーリングができる施設があるそうだ。安く泊まれるコテージもあるそうで、
冬には(3月頃)カーリングをしながら読書する合宿をすることを勝手に決定。読むのは”The Cambridge handbook
of sociocultural psychology”の予定。参加者募集中。いっしょにうまい蕎麦をたらふく食べましょう。