長崎紀行その5~平戸編

 ハウステンボスで遊び終えた一行は、一路北へ。平戸へ向かう。そうそう、車は実家のお義父さんから借りたワーゲン。絶対にぶつけないように慎重の上に慎重を重ねる。

 数日前に歩いた気がする佐世保駅前を通り過ぎ、ひたすら田舎道を走る。併走する鉄道はすでにJRから松浦鉄道に変わっている。この路線にあるたびら平戸口駅は日本最西端の駅として知られる、が、そこには行かない。

 ガソリンスタンドのおじさんから「あと30分ひたすらまっすぐ」と聞いてから本当に30分、平戸への入り口、平戸大橋の料金所にやっと到着。ハウステンボスを出てからここまで2時間弱。

 平戸は島である。唯一の道である橋を渡るには普通車で100円かかる。真っ赤に塗られた橋の下には海と島。夕陽に照らされて美しく輝く。

 渡り終えてすぐに平戸の街がある。街の入り口にある、平戸脇川ホテルが今晩の宿。通された部屋の窓からは港。左手の小高い丘の上には平戸城の天守閣が見える。

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 部屋で夕食のあと、温泉につかりバタンキュー。

 朝、早めに動き出す。まずは広々とした草原が広がるという川内(かわち)峠へ向かう。

 うねうねとした山道を抜けると、確かに草原が広がる丘に出た。眼下では海が島を囲み、九十九島もはるかに見える。島の浜辺に目をやれば、海の水が妙に明るい。

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 明るい色をしていたのは千里ヶ浜海水浴場。峠からそこへ降りてゆくと、黄色い砂地に透明な水の打ち寄せる浜辺。むちゃくちゃきれい。 きれいきれいとは聞いていた(と言うか、聞いていたために来てみたかった)が、ここまでとは。

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 さいわいこの日はそれほど寒くなかったので、アマネとふたりで靴を脱ぎ、水の中へ。遠浅なので、ずんずんと沖まで歩いていくことができる。足下の水の中をよく見ると、ちょこんと盛り上がった砂の山があちこちにある。山の頂上にはぽこんと穴が空いている。何だろうと思って手で山の下の砂ごとさらってみると、中から出てきたのは小さな貝殻に入ったヤドカリだった。よく見ると穴に潜っていないのもゴロゴロといる。砂の色と同化して見分けづらかったが、こんな波打ち際にも、目をこらすと小さな魚が群れをなして泳いでいる。

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 こんなに美しい海ははじめて。海と言えば波の荒い太平洋の海水浴場しか知らなかったので、正直なところあまり海には魅力を感じてはいなかったが、ここにはしばらくいたかった。アマネも「まだ遊ぶ」と言って、引きはがすのが大変だったが、実のところわたしが一番楽しんでいたかもしれない。

 島の反対側にある根獅子(ねしこ)の浜へも。こちらもずいぶんと遠浅だ。外洋に面しているため千里ヶ浜よりも波があり、砂浜に洗濯板のような波の跡がのこされている。写真だけ見ればどこぞの南の島のようだ。

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 海パンを準備していたわけではなかったので、アマネのパンツを脱がせて送り出す。すっかり波遊びが気に入り、波が来るごとにきゃっきゃと笑っていた。

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 昼食を食べるため、平戸の街に戻る。小さな商店街の、定食も出す喫茶店で食事を済ます。商店街の通り沿いには「三浦按針終焉の地」の石碑が無造作に置かれていた。

 ことほど左様に、平戸と言えば、日本史の教科書に名前が載るような歴史的人物の縁の地である。見て回ろうと思えばそういった場所も観光できたのだが、まあアマネはひとつも面白くなかろうということで、高い所に。街を見下ろす小高い山に建つ平戸城へ。天守閣からはゆうべのホテルがよく見えた。

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 名物という川内かまぼこをおみやげに買う。帰りは佐世保から高速を通り、2時間半ほどで実家に帰宅。

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