共同注意ゲーム

 非常勤で担当している授業が月曜の1限という学生としては非常に頭の鈍る時間帯で開講されている。なので、授業者としては、学生の集中力を高めるためになんらかの方策を練らねばならない。

 今週は「共同注意」をトピックとして扱ったので、その名もずばり「共同注意ゲーム」というのを考えてやってみた。そうしたら案外盛り上がったのでここに紹介する次第。たいしたもんじゃないですが。

【共同注意ゲーム】

概要
 2人の参加者のうち一人が周囲の何に視線を向けているのか、もう一人が当てるゲーム。
 「共同注意」は発達心理学においてひとつのジャンルを形成しているトピックである。学生にとっても身近な経験だと思っていたが、実は案外そうではないかもしれないと思い、あえてやってもらうことにした。なおここでの「共同注意」とは、2人以上の人間が同じひとつの対象に注意を向けている状態を指す。

時間
 長くもできるがあっさりと切り上げるのがコツだろう。大学生であれば1分あればルールを説明できる。長くやってもあきるので4分くらいで終えるのがいいだろう。

準備
 複数のターゲット(参加者が視線を向けるもの)をあらかじめ用意する。何でもよいが、今回は動物の絵を黒板に10枚横に並べて貼った。

手順
(1)参加者同士でペアを作ってもらい、一方が「見る役」、もう一方が「当てる役」になる。
(2)ゲームの仕切り役(今回は教員)の合図で、「見る役」は顔をいったん伏せる。
(3)仕切り役の合図で「見る役」が顔を上げて、複数のターゲットのうちいずれかを注視する。しゃべる、ジェスチャーをするなどは一切できない。
(4)「当てる役」は「見る役」がどのターゲットを見ているのか、何らかの方法で推測する。
(5)仕切り役の「せーの」の合図で、ペアが同時に見ているターゲットを宣言する。
(6)ペアの声がそろえば共同注意ができていたとして成功。別のターゲット名を宣言した場合は共同注意ができていなかったとして失敗。

仕切り役のコツ
(1)ターゲットははじめは少ない方がよい。今回は10枚並べたが、なかなか成功しなかった。3枚くらいから徐々に増やした方がよいかもしれない。
(2)ターゲットは何でもよいが、たとえば数字とかでは味気ないので、かわいいイラストなどがいいと思う。
(3)どうしても難しそうなら、「見る役」は注視に加えて「指さし」をやってもよいことにする。共同注意におけるポインティングの役割についても知ることができる。

やってみた伊藤の感想
 他人が何を見ているのか当てることは案外難しい。逆にいえば、当たるととても嬉しい。現に、ある男子学生ペアは共同注意に成功したことが分かると「いえーい」とハイタッチをしていた。

一日大野睦仁先生

 土曜日は、伊達に行っていた。加藤恭子先生たちによる、教師の力量を高めるための自主サークル「れら」主催の研修会に参加するため。加藤先生には昨年からずっとお世話になっていて、今回もお声をかけてもらった。

 今回は、札幌の小学校で教鞭を執られている大野睦仁先生のお話を一日たっぷりうかがうという企画。

 きらきらひかる@WEB(大野先生個人サイト)

 午前中は、先生の得意とされているPA(プロジェクト・アドベンチャー)の技法の体験、それと新学年が始まった時期に教師が心得ておくことについて。

 午後は先生が特に力を入れておられる「いのちの授業」について。実際に授業で用いた絵本や映像を使って。最後は参加者全員で今日一日の自分の学びについて振り返るワールドカフェ式のセッション。

 よく個別の経験によって形成してきた教師の潜在的な技能を「引き出し」にたとえるが、このように一人の教師の「引き出し」を開け広げて中身を大勢で眺めるという機会はそうないのではないか。そういう意味で得がたい勉強をさせていただき大野先生加藤先生はじめ関係されていた先生方に深く感謝する次第です。

 勉強の醍醐味は「分かるようになること」ではなく「ますます分からなくなること」だとはよく言われることだが、一日大野先生のお話を聞いて疑問が次々わいてきた。当日はなかなか言語化できずもやもやしていたが、一日おいてようやく形になってきた。

 Q-Uってそんなにすごいのだろうかとか、「学級」っていったい何のために必要なシステムなんだろうとか、「いのち」と言う理由はなんなのかとか。

 その日の夜、駅近くの焼鳥屋で開かれた懇親会にずうずうしくも顔を出したが汽車の時間もあって中座した。大野先生にはお互い同じ市内なので近いうちにお話しさせてくださいと告げて失礼した。

落ち着いた4月

 例年よりもなんだか薄ら寒い気候の続く4月。気候と反比例してぼくの心の内は例年になくほっこりしている。

 先週挙行した心理学系の教員による新任の先生の歓迎会でも「明るくなったね」と言われた。

 自分の人生だ。楽しく生きられたらそれでいいじゃないか。

 そう、たとえ火曜の演習の受講者が結局ゼロだと判明したとしても楽しく生きよう。これで非常勤含めて前期のノルマは「ふたコマ」だ。

 その時間帯を使って、さんちゃんというチベットからの留学生と札幌の調査をするのだ。学内の若手奨励金にも応募して、チベットの幼児が置かれている状況について現地調査もしてみたい。

 まだ桜はほころびもしないが、学部のサイトには一足早く花が咲いた。気持ちだけでなく体も早いところあたたかくなりたいものである。

ポジティブに行こう

 1限から実習。初回なので読めない人数を過去の経験から推測してその分レジュメを刷ってでかける。

 教室の前にはチベットからの研究生。ぼくが受け入れ教員なので呼んでおいたのであるが、「教室に誰もいません」と不安そう。

 部屋に入りしばらく待っていると学生さんが1人。そしてそのまま2人だけでとりあえず始める。

 しかし、いろいろ話を聞くと、どうも研究生1人だけになりそう。誰も受講者がいないというのはこれまでにない経験で、さすがにがくっと来た。

 誰も来ないなら来ないで、研究生の勉強のために、実習の時間帯を利用して、市内の保育園・幼稚園を見学しに一緒に回ることをたくらむ。ポジティブに行こう。

 研究室に戻ると、投稿していた論文の審査結果が。ちょこちょこと修正すればよさそう。

 さらに翻訳会社からメール。小学生の保護者の方に渡す調査の案内と同意書を英訳してもらっておいた。保護者の中に日本語が読めない方がいるため。本当はそれぞれの国の言葉で書いたものを揃えておければよいのだが、そこまでの余裕がない。

 研究もゆっくりとだけど進んでいるような気がする。ともかくポジティブに考えていこう。

非常勤ふたたび

 この4月から非常勤を始めた。北翔大というところで、「乳幼児心理学」を担当する。

 一昨年まで非常勤でお世話になっていた札幌学院大とはお向かいさんなので大学に行き着くことは容易い。でも、構内や建物の内部のことはさっぱり。

 非常勤講師室から目的の教室まで、迷路のように入り組んだ廊下を突き進む。

 講義には20名ほどの学生が来てくれた。どこから来ているのか尋ねると、だいたいは札幌や江別に住んでいるものの、石狩や苫小牧といった人も。2時間くらいかけて来るそうだ。

 今日は初日なので、だいたいのスケジュールと履修上の注意を一通り話しておしまいにする。ほんとうはプロジェクタを使いたかったものの、教室のどこに何があるのかさっぱり分からない状態だったので、黒板を使ってやった。去年1年、小学校の授業を見続けていたので、黒板に丁寧な字を書くことを自分でもやってみたかったことは確かだ。

異動の季節

 どの業界でも3、4月は異動の季節。例年、ぼくの身辺では異動は少なかったのだが、今年は大きな動きがいくつもあった。

 出て行かれる方、新しく来られる方。研究室の目の前で引っ越しの段ボールが運び出され、持ち込まれていく。

 今日はチベットからの留学生が来てくれた。荷物が大きかったので南新川の宿舎まで車で運んだ。

 今週末から新学期。今年度は激しく動き回ろうと思う。

電子ジャーナルリモートアクセスサービス

 自分の備忘的に。

 北大図書館が電子ジャーナルのリモートアクセスサービスを4月1日より運用開始。

 北大附属図書館

 利用可能なのは北大構成員のみ。自宅や出先からいつでも文献をダウンロードできる。利用可能なデータベースは以下のとおり。

JDreamII
化学書資料館
ABSEES (American Bibliography of Slavic & Eastern European Studies)
ASFA (Aquatic Sciences and Fisheries Abstracts)
Biological Abstracts
Book Review Digest
Calcium and Calcified Tissue Abstracts
Ceramic Abstracts / World Ceramics Abstracts
CINAHL
Current Contents Connect
Derwent Innovations Index
EconLit
Humanities Abstracts
Index to Foreign Legal Periodicals
INSPEC
International Political Science Abstracts
Journal Citation Reports
Medline on Ovid
MLA Directory of Periodicals
MLA International Bibliography
Oxford English Dictionary
Oxford Reference Online
ProQuest Dissertations & Theses
PsycINFO
Reaxys
Sociological Abstracts
Web of Science

 リモートアクセスページからソースを引っ張ってきて並べたのだが、ソースを眺めるとCiNiiも将来的に共用予定と思われるが果たして。