科研と打ち合わせと野球

 昨日は朝から研究室にこもってパチパチとキーボードをたたいていた。科研の申請書を書いていたのである。

 本来であればその前の日が(大学の事務での)締め切りだったのだが、電話で頼み込んで1日のばしてもらっていたのである。
まったくもってよい教師ではない。

 なんとか体裁を整えて2部印刷し、1部ずつクリップで留めて提出。電子申請になって楽になったのはこの点だ。数年前は、確か、
両面で印刷し、端をのり付けして、角に色を塗ったものを7部くらい提出しなければならなかった。電子申請になり、そういう作業はすべて「あちら」
でしてもらえることになったそうである。

 提出したのもつかの間、全学の授業へ。英語をぱあぱあと読む。

 研究室にとんぼ返りし、Kくんと研究の相談。状況的学習論第2世代をうそぶくからには、いったい何を発信する必要があるのか。
やはり実例をもっている人は強いと思う。Kくんにはそういう体験に裏付けられた議論を展開していってもらいたい。

 打ち合わせを終えて、そのまま2人で打ち上げ。久々に13条の「しょうた」へ。そういえば昼飯を食っていなかったことに気付く。

 Kくんがタクシーに乗ったのを見届けてから、地下鉄で平岸へ。「もつ一」。黒ホッピー、厚揚げ、小袋刺しをルーティンのように注文。

「日ハムどうだったの」、とぼく。
「負けちゃった、完敗」、とおかみさん。

「何対何」「キュウゼロ、ヒット3本じゃどうしようもないよ」「向こうは打つからねえ」「セリーグはどっちかな」
「中日じゃないですかね、巨人は中日と相性が悪いし」

 カウンター越しに野球の話。野球をよく見るようになって、何がよかったかというと、こうして居酒屋で話すネタができたこと。
天井を見ると、「誠」「賢」と勘亭流で書かれた旗が。札幌の居酒屋で、日ハムの悪口は言わない方がよろしい。

お疲れさま

 阪神タイガースの2008年シーズンの戦いが終わった。

 今一歩勝ちきれない、いかにも阪神らしい終わり方だったのではないか。

 ペナントレースで巨人に抜かれたときから、ぼくのなかではもう気が抜けて応援に身が入らなくなっていた。だから、
CSはなんだか余興のようなものとして見ていた。

 それでも、昨日の試合に勝てば勝ったで「日本一」を目指して欲しいとも思い直した。

 選手やスタッフの皆さんはよくがんばったよ、お疲れさま。

 そして岡田監督、5年間お疲れさまでした。

困ったときの円山動物園

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 10月とは思えないほど暖かく晴れ渡った日曜、円山動物園に行ってきました。思いついたらいつでも行ける、年間パスポートがあると公園代わりに利用できるのでお得です。どこに行くか困ったときには、とりあえずマルドウです。

 とはいえ、目当ては動物ではなく、園内の遊園地キッドランドです。アマネはご多分に漏れず、乗り物が大好きであります。汽車ぽっぽ的なものがあれば何でも飛びつくので、今日はここで一日つぶそうという魂胆。

 まだ3歳なので、あまり激しい乗り物は乗れないので、どうしてもコーヒーカップとかメリーゴーランドとか、おとなしい感じのものが中心となります。それでも豆汽車「弁慶号」には2回ほど乗りました。

 しかし彼が今回はまったのは、キッドランドの誇るアトラクションではなく、その隅に設置されていた、 100円でもあもあ動く数々の遊具の方でした。ほら、ありますでしょう。デパートの屋上なんかに。あれです。

 中でも、8の字型に動く2両編成の小型電車にえらくはまりました。隙あらば乗ろうとするのです。これだけで500円くらいつぎ込みました。甘いですねえ。

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 その他、消防車だの、ヘリコプターだの、アイスクリーム屋さんのワゴンだの、小さなメリーゴーランドだの。ぐるぐる、ゆらゆら、もあもあとたっぷりと楽しんできました。

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 普段、他所でこうした乗り物を見かけても、乗りたいとは言わないんですけどねえ。大型のアトラクションを見て「乗り欲」が出てきたんでしょうか。将来は乗りテツにでもなるんでしょうかね。

 そうそう、円山動物園の中に、今年の夏から新しくネイチャーカフェ・アースというカフェができたので、そこで昼食を取りました。

 園内で食事ができるお店は、これまでにもいくつもありました。ただ、まあ、なんというか、海の家的な感じで、場末の侘びしさを味わうにはいいのですが、いかんせん若い人向けではなかったのです。そこにできたこのカフェはそういう意味では斬新であります。カフェの中にキッズスペースやキッズテーブルがあるのが、子ども連れにはありがたいです。メニューもそこそこおいしい。アマネは野菜スープをひとカップぺろりと食べてしまいました。

 キッドランドは11月3日でいったん閉鎖され、来年の春にまたオープンします。いよいよ冬ごもりですね。そういえば雪虫が飛んでましたよ。

日本質的心理学会第5回大会記念シンポジウム「アートな学び」

 本年度の質的心理学会大会は筑波大学にて開催されます。大会にて、掲題のようなシンポジウムが開催されます。詳しくは以下をご参照ください。

 日本質的心理学会第5回大会(明和電機代表取締役社長の講演とシンポ) (筑波大学サイト)

 日本質的心理学会第5回大会オフィシャルサイト

 不肖私はそのシンポジウムにて司会を務めるのですが、それはおいておくとして、スペシャルゲストに、アートユニット「明和電機」の代表取締役社長、土佐信道氏が来られてご講演されます。

 明和電機オフィシャルサイト

「たけしの誰でもピカソ」「デジタル・スタジアム」などアート系のテレビ番組によくご出演されるのでご存じの方も多いかと思います。

 土佐氏は本業の作品製作・発表のかたわら、近年、子どもや一般の方を対象としたアート・ワークショップを精力的に開催されています。それとの関連で、同じくアート活動を通して心理のご研究をされているお二方を交えながら議論していく予定です。

 質的心理学会会員の方も、そうでない方も、ご都合がつけばぜひお越しください。ちなみに私は非会員です。

決戦の金曜日

 まあ「決戦」というほど大袈裟なものではないが。

 金曜の午前中、12時ちょっと過ぎまで、札幌の隣にある江別市というところで非常勤で講義をする。前期と後期で同じ時間帯を指定した。

 前期は、非常勤が終わるとのんびりと車を走らせ、途中にある中華屋でマンガを読みながらメシを食い、それから大学へ戻っていればよかった。

 後期は1時から学部2年生対象の演習があるのでそれができない。それどころか、1時に間に合うように移動することすらままならない。

 昨年度、教務に希望開講時間を指定するときにうっかりしていた私が悪かった。

 ともかく、1時には戻れないので15分遅めて始めることにしている。

 演習は、子どもに見せるための劇作りワークショップ。学生がグループを作り、自主的に進めてもらう。学生が相談しているその脇で、ちょろりと外に出て買ってきたあんパンとコーヒーを胃に流し込む。

 演習が終わったと思ったら、教授会がある。月に1~2度なので苦にならないと言えばそうだが、それでも3時間くらい座りっぱなしはきつい。しかも今日は議事録に署名しなければならなかったので、きちんと自分でメモをとっていなければならない。

 終えて研究室に戻ると、PCの前に座ってメールを数本書いて、ご帰宅。

「息つく暇もない」というのはこういうことかと、週に1度の多忙な日を堪能している。

教育心理学会にて

 先週末に東京学芸大学にて開催された日本教育心理学会に参加した。

 初日の午前中は、名古屋短大の松本博雄さんとともに行っている研究のポスター発表。

 伊藤崇・松本博雄 (2008). 音韻意識の形成過程の多様性を探る試み
(3) 日本教育心理学会第50回総会論文集 p.10.

 在籍責任時間中に3人の方にいらしていただき、議論することができた。おいでくださった方に感謝申し上げます。

「この先どうしようか」と2人で悩んでいたところだったのだが、関心を持ってくださるかたがいて勇気づけられた。
もう少し話を広げてやってみようということになった。

 翌日は午前中のみ、2つのシンポジウムをかけもちして聞きに行く。ひとつは、ある小学校で行われた算数の授業を題材に、
教育心理学者が分析したり語り合ったりするもの。もう一つは、教育実践を記録していくことの意味についてのシンポ。いずれも、
授業中の相互作用を分析した研究について最近あまりフォローできていなかったので、情報を収集するために参加した。

 一度は退会しようかと思っていた教育心理学会だが、ここにきて実はホームグラウンドなのではないかと思うようになってきた。
もう少し、教育という問題に心理学から何ができるかを考えてみたい。

感動のバー

 教育心理学会に参加するために東京に来ています。

 んでも、学会の話は後。飲み屋の話をしましょう。

 東京に着いた日、共同研究者のMさんとその初代学生さんのEさんとで、新宿南口にある秋田居酒屋で飲みました。おでんが大変おいしゅうございました。帰りに「10のつく日ですから」ということで生米を1人2合(ぐらい)ずつもらって帰りましたが、人妻Eさんにすべて差し上げました。

 次の日、国分寺まではるばる行き、学会に参加しました。Mさんとの共同研究の発表には大勢の方がいらしてくださいました。ありがとうございました。ちょっと元気がでてきました。

 11日の夜は時間があったのですが、どなたも誘ってくれなかったので、一人で新宿界隈を探索することにしました。ちなみに、学会で飲みに誘われることはまったくないのです。これは私の人格の問題ですね。飲んでいても暗く黙ってるだけですから。

 一軒目は歌舞伎町のまっただなかにあって奇跡的に安い居酒屋「やきとり番番」。カウンターのみの焼鳥屋ですが、5時に入っても席の半分くらいは埋まっているくらいの人気店です。煮込み豆腐、ガツ刺しなどを注文して、さんざん飲んで食って2600円くらい。ごちそうさまでした。

 2軒目は、ホテルに戻った後でふらふらしてふらりと何の気なしに入ったバー、「ドンキホーテ」。6時に足を踏み入れると、まだ準備中といった感じで冷たくあしらわれましたが、「こういう店ほどいいのだ」と思い踏みとどまりました。

 ジントニックを飲み一息つき、マスターに話しかけました。マスターは長らく歌舞伎町でお店を構えて入らしたのですが、例の家事騒ぎやヤクザ騒動で嫌気がさして静かなあたりに居抜きでお店を移されたとのこと。

 2人目のお客さんが入ってくるに及び、ここはいい店だと確信するに至りました。あまり詳しいことは言えませんが。久しぶりに、バーで酒を飲んで感動しました。バーで「大政小政」の話なんかすることはないですよねえ。

 3軒目は適当に入った焼鳥屋で。

 4軒目。ここもよかった。新宿5丁目の沖縄料理屋「宜野座」。カウンターで飲んでいると、突如後ろの座席でモーアシビが始まってしまいました。

 ずっと演奏者を見ながら酒を飲んでいると「あんたもやってみるかい」と女将さんに三線を弾くよう誘われ、とりあえずは開放弦の弾き方だけ覚えました。

 新宿歌舞伎町なんかで飲んではいけませんねえ。飲むなら外れの方ですよ。

イグノーベル賞のニュース

 今年度のノーベル物理学賞、同化学賞受賞者が先日発表され、日本の研究者が受賞したというので科学界がにわかに盛り上がっている。

 盛り上がっているのは受賞された先生方が学んだり教鞭を執られたりしていた大学も同様。

 化学賞を受賞された下村脩先生の母校、長崎大学は、旧帝大以外の地方大学初の受賞者輩出ということで大喜びの様子。名古屋大などは、物理学賞の小林誠・益川敏英両先生がOBであり、かつ下村先生が助教授としてかつて所属されていたということで、さぞやお祭り騒ぎかと思いきやそうでもない。数年前にも野依先生がいらしたので、もう慣れてしまったのだろうか。

 さて、北大はどうかというと、このニュースが大学トップに掲載されていた。見ると10月9日付のニュースである。

「あれ、イグノーベル賞の受賞自体はもっと前に発表されていたような」と思い調べてみると、授賞式は10月2日にあったようだ。

 それから1週間たってからのニュース掲載。なんか妙なタイミング。中垣俊之先生の受賞が本当に栄誉なことだと考えているのならば、すぐにニュースとして掲載すればいいものを。もちろん、受賞対象の論文はNature掲載のものだし、粘菌の知性なんて、心理学的にもものすごく面白いご研究だと僭越ながら思う。むしろもっと評価されていい。

今年の卒論あと少し

 今年は4人の4年生の卒論とつきあっている。

 締め切りは12月18日。あと2か月ちょいだ。後期も始まって、ぼちぼち目の色が変わってきたかな諸君。

 Aくんのテーマは、テレビ番組に挿入される笑い声が視聴者にもたらす効果。視聴者のタイプごとに効果を比較するという実験を計画中。大学院に行きたいと画策しているようで、頼もしい。

 Bさんは、大学演劇サークルのフィールドワーク。大きな公演に向けて活動する5ヶ月間を徹底的に追いかけさせている。自分としては一番楽しみなのがこの研究。劇の登場人物のパーソナリティを、劇団員や演出家たちがそれぞれにイメージとしてふくらませ、それをもとにして協議を通して生み出していくプロセスが見られたら、それはとても面白いことだ。データを使わせてもらいたいくらい。

 Cさんの研究は、父親の育児参加について、実際に子育て中の父親に対してインタビューするというもの。月の休みが2~3日という超多忙な父親であっても、その育児参加の仕方に対して妻がいだく満足度はさほど低くない、というのが意外で面白い。「9人分書き起こしをしたら右手が痛くなりましたよー」と言っていたが、それくらいやって初めて達成感も得られようというもの。心理学は体力なのだ。

 Dさんはぐずぐずしていたものの、先日の話し合いでようやく方向性が見えてきた。友人関係の時間的な変遷について。たとえば小学校で築いた友人関係のうち、中学校に行っても残るつながりと、切れるつながりがある。中学校から高校へ、高校から大学へ、大学から社会人へという移行のプロセスをたどるなかで、友人関係はダイナミックに変わっていく。この変遷過程を、卒業アルバムを見ながらインタビューで聞き出す。なんでこの友人とは高校時分に切れたのか、その友人とは中学校時代どういうつきあい方をしていたのか。遡及的に考えてみようと提案した。

 今年の方々は、多少ほったらかしてもそれなりに書いてきてくれそうなので助かる。ぼくはちょっとつきあって考えてあげるだけだ。

 毎年、道内のどこかで合宿するようにしていたが、今年はなんだかぼくの方が忙しく、みんなの予定も合わなさそうなので、やめた。決起集会では釧路に行こう!と言っていたのだけど。その代わり中間報告会を開催することを決定。