良い店は住宅街にあり

居酒屋についてここに書くのは久しぶりです。

仕事場からの帰り道,ふと,気になるお店がありました。

場所は,繁華街からだいぶ離れた,住宅街にたたずむマンションの1階。店先には「凱陣」と書かれたコモに包まれた樽が置いてあり,麻ののれんのかかった入り口脇にとっくりとおちょこのかわいらしい絵の入った看板。

早い時間に入ると,口開けのようでした。

6席ほどのカウンターと小上がりの小さなお店。奥の棚には酒器がいろいろと置かれています。

板場には髪を短く刈った若いご主人がひとり。「こちらは居酒屋さん?」「そうです,どうぞ」

入り口から入って一番手前のカウンター席に。目の前には,本日のメニュー,飲み物,それに日本酒がそれぞれ書かれた紙が置かれています。

メニューを見ますと,どれもお手頃な価格。それでいて,創意あふれる料理名が並んでいます。どれもおいしそうでしたが,キャベツ生姜酢漬け,福井の鯖のへしこ,万願寺とうがらし焼き浸しをお願いしました。

まずは一口サイズのビールでのどをしめらせます。このサイズがあるということは,すぐに酒にうつってもらいたい,というねらいでしょう。望むところです。

お通しは揚げた穴子と茄子の煮浸し。夏らしさがいいですね。

すぐにキャベツが来ました。パリパリとした食感が残してあるところをみると浅漬けでしょうね。生姜酢がとてもおいしい。

鯖のへしこは少し炙って,短冊切りにされた大根といっしょに出てきました。へしこは糠漬けですね。一口食べて,うまみが口の中いっぱいに広がります。思わずご主人に「これはおいしい,本当においしい」と二回言ってしまいました。

ここで日本酒にきりかえます。カウンターが次第にお客さんで混み合い始めてきたのですが,ご主人一人で相手をしている状況なので,手を煩わせないようにしないと。ちょうど隣の方が悦凱陣を頼まれたので,同じのをこちらにも。

お酒は大きめのそばちょこのような器に入って出していただきました。

最後にとうがらしの焼き浸し。削り節とネギ,おろし生姜がのせられて出てきました。とうがらしにかけられた出し醤油がいい味です。

ここ最近はいかにも大衆酒場といったお店ばかりで楽しんでいましたが,久々に力の入った若い居酒屋に出会えました。自宅からは歩いて10分程度。帰り道なのでこれからも寄ることになるでしょう。堪能しました。