ガトキン全力投球

 例年並みなのだそうだが、札幌はすでに雪が積もっている。去年よりも冬の訪れが早く、そして寒い印象。去年が暖かすぎたのだな。

 連休初日、札幌の北の外れにあるリゾート施設ガトーキングダムに行くことに。共済の割引券があったので。学生に聞いたら、
「ガトキン」と略すらしい。

 ガトキンに行くのはいいが、車が雪に埋もれている。そこで、生まれて初めて雪かきをした。たいした量でもないのだろうが、
腰と腕に堪える。20分ほどでとりあえず車の周りの雪だけどけるが、汗びっしょりである。

 札幌市内を南北に割る創成川に沿って北上。空には晴れ間も見え、道路の雪がぐずぐずに融けてきた。
こうなると泥混じりの雪を前や横の車がはねていくのが窓にかかって視界が悪くなる。

 40分ほどで到着。ガトキンのホテルが川の畔に見えてきた。目的地はホテルではなく、
併設された温水プールと浴場施設から成るフェアリー・フォンテーヌ。

 受付をすませて水着に着替え、温水プールに飛び込む。アマネは腕に浮き輪を装着してプカプカ。水泳教室で鍛えられているだけあって、
水自体に慣れているし、なにより楽しそう。足をヒコヒコと動かしてなんとか前進しようとしている。

 屋外と屋内の2つのプールがあるのだが、11月からの冬期間では屋外プールは閉鎖。楽しみが半減するわけで、
そのせいか祝日にもかかわらず客の数は少ない。おかげでこちらはゆうゆうと泳ぐことができたわけだが。

 1時間ほど水につかって、昼前に風呂へ。プール利用者とロッカーが共通なので、水着をポイと脱いでそのまま浴場に行くことができる。
露天風呂は温泉をひいているようで楽しみだったのだが、調整中で入ることができず残念。檜風呂に体を横たえて芯まで温まる。

 併設のフードコート(ここもガラガラ)で腹ごしらえをして、帰宅の途へ。水の中で全力で泳いだアマネは、
道すがら母親に抱かれて寝入ってしまった。1時半に寝ついて、放っておいたら起きたのが5時頃。体を動かしてよっぽどくたびれたのだろうか。

冬の備え

 天気予報ではここ札幌は明日から雪のようであります。いよいよ冬に備えた準備をしなければなりませんなあ。そうそう、
我が家ではすでにストーブが10月からフル稼働であります。

 去年は冬靴に防水スプレーをかけるくらいで雪対策完了だったのですが、今年はなにしろ夢のマイカーがございますよ。
こいつを冬のあいだ使える状態にするにはいろいろと準備をしておかねばなりません。

 今日は朝から夢のマイカーを買った中古車屋に行ってタイヤの履き替えをしてもらってきました。いっしょに、
冬用のワイパーにも交換です。

 その足でホームセンターへ。ブースターケーブル、牽引ロープ、窓にひっついた雪をかき取る棒っこ、スコップ、手袋、解氷スプレー、
ウォッシャー液、雪に埋まったときにタイヤの下に敷くやつをまとめて買ってきました。後のものはともかく、
最初の2つは夏でも必要ですからね。

 カミさんは自転車を自転車屋に預けてきました。雪が降っているあいだは乗る機会は皆無ですから、春までの預かりサービス(有料)
をしてくれる自転車屋があるんですね。

 さあ来るなら来い。

船で行く東京ビッグサイトの旅

 関東近辺の高校生や保護者、高校関係者向けの、北海道大学大学説明会が東京ビッグサイトで開催されました。北大単独での説明会は初めてだそうです。大学本部の入試課担当の方はもとより、各学部から説明担当の教員が参加しました。ぼくは所属の学部を説明する担当です。

 会場となるビッグサイトはお台場にあります。ぼくが宿泊した浅草からお台場まで、隅田川を下っていく水上バスなるものが出ているのですねえ。気がつかなかったのですが、投宿したホテルの目と鼻の先に水上バス乗り場があって、朝の散歩の時にお台場まで行けることを知ったのです。

 これは乗らない手はないでしょう。片道50分、料金にして1520円で、電車で行くより贅沢と言えますが、東京を川から眺めるのもまた経験です。

 お台場まで直通で下る船は「ヒミコ」といいます。かの松本零士先生がデザインされたというその外見は、松本零士マンガ的な女性的曲線が特徴。観光客が次々乗船していく中、スーツにネクタイ姿の場違いな男がひとりカバンを提げて乗り込みます。

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 隅田川といえば橋です。吾妻橋、駒形橋、蔵前橋、永代橋、清洲橋といった名だたる橋の下をくぐりぬけていきます。かつて船を通すのに開閉していたことで有名な勝鬨橋は川の最下流にあるのですね。これを過ぎると、東京湾岸が見えてきます。レインボーブリッジを過ぎたころ、フジテレビ社屋の独特な姿が目に入ってきました。ここまで50分、お台場に到着です。

 ゆりかもめに乗って着いた東京ビッグサイト。来るのは初めてです。ここといえば、その筋の人には「聖地」として知られているようで、館内の自販機限定販売という「聖地の珈琲」なるものを発見。ついついゲットいたしましたとさ。

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 仕事の方は省略しますが、ふたを開けてみるとトータルで500名ほどの来場者があったそうです。事前予約200強ということを考えると、全体としては成功の部類に入ると思います。北大単独で500は呼べるということが分かったわけで、今後もこのようなイベントが開催され続けることは間違いないでしょう。ただ、学部間で大きく差があったことも事実で、うちの学部だけで見ると、ちょっとどうかなというところはあったのですが、詳しくは書きません。いずれにせよ、準備に携わった大学本部のスタッフ、それと某社の方々、お疲れ様でした。

浅草クローリング

 ぼくの所属する大学が東京で説明会を開くのに参加するため、2日から3日にかけて出張してきました。本番は3日なのですが、さすがに日帰りは体がもたないので1泊2日の旅程。

 さて、どこに泊まろうかと思案した末、もっとも落ち着く町、浅草に宿を取ることにしました。ときたらクローリングしない手はないですね。ネットで下調べをして、いざ出発です。

 羽田空港から成田行きの京急に乗り、都営浅草線の浅草で下車。地上に出てすぐのホテルカワセに投宿。吾妻橋のたもと、神谷バーや松屋のある交差点にほど近く、よいロケーションです。さあ、荷物を置いて町に繰り出しましょう。

 夜7時ともなれば仲見世はほとんどシャッターを閉め、昼間の人混みはどこへやら、のんびり歩くことができます。この時間帯に歩くのが好きなんですよねえ。

 同じく人の絶えた伝法院通りから公会堂をちょっと過ぎると、WINSへ向かう横道の両側にずらりと飲み屋が並んでいます。どこも同じように、道にテーブルとイスを出し、赤提灯を掲げ、大鍋にぐつぐつと煮込んだ煮込みをウリにしています。そうした並びからちょっと離れて、ちょうどWINSの真裏に「正ちゃん」はあります。

 識者によれば、ここの煮込みは別格なのだとか。確かめてみたくなり、1軒目はここにしましょう。「いいですか」と、店の外に置かれた煮込みの鍋と格闘するねじり鉢巻きのおやじさんに尋ねると、「いいよー」の返事。先客のうしろを失礼して、カウンターに座ります。生ビールと、煮込みをもらいます。

 煮込みの中身は、牛すじ、こんにゃく、など(など、の中身が分からない)。よそと比べたわけではないのでよく分からないのですが、この甘辛さは確かにクセになります。カウンター正面になぎら健壱の写真と色紙が貼ってあるのも、いかにも。とりあえず次があるので、ここはこれにて。

 六区からひさご通りをぬけると言問通りに出ます。道を渡って隅田川方面へ向かうと、道ばたに柳がゆれる柳通りを中心に、料亭や小料理屋が軒をつらねる一帯があります。このあたりも雰囲気があって好きなのですが、来るなら夜しかないですね。昼間来ても何もない。

 界隈をぶらぶらと流していると、「さんぎょう会館」なる建物を発見しました。「産業」にあらず、「三業」です。このあたり、この町の奥深さを感じさせられます。隣には「見番」も。やっぱりあるところにはあるんだなあ。ここから芸妓さんが料亭へ派遣されてゆくのでしょうか。

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 さて目当ての一軒は浅草寺病院のちょうど道向かいの小路を入ったところにある「ぬる燗」。カウンター7席ほど、小上がりが3卓と小さい店で、寡黙なご主人と割烹着姿も艶やかな奥様が切り盛りされています。ご主人は理想の居酒屋を目指しているようで、料理はもちろん、お酒のそろえや酒器にもこだわっているのが見て取れます。

 エビスの黒を小瓶で、それから炙り〆鯖、柿の黒和え(白和えに練り胡麻をあえたもの)、莫久来(ばくらい、ホヤとこのわたをあえたもの)をお願いします。お通しは蕪をコンソメスープで炊いたもの、寒い中を歩いてきたのでこれは嬉しい。そこに黒ビールを流し込むとちょうどよい。店の作りなど眺めていると〆鯖がきました。あぶらがのって美味しいですねえ。

 これにはお酒をつけてもらいましょう。そろえが良すぎて迷うのですが、ここは天寶一を。ご主人のこだわりなのでしょうが、ずんぐりとしたとっくりを、お湯の沸いた燗つけ器に入れて温めてくれます。「はい、どうぞ」あくまで寡黙なご主人が差し出してくれたとっくりには木地の出たはかまがあてられ、そしてまた朝顔型の猪口がよいですね。これで飲むと、飲む姿が何倍も美しくなるのです。物が姿を制約することがあるんですよ。

 腰を据えて飲みたい気持ちをおさえ、この辺にしておきましょう。値段もそんなに高くないので、1~2人で来るならおすすめのお店です。

 言問通りを浅草寺の方に渡り、ひさご通り方面へ向かった途中に、スタンディングバーBooというお店がありました。今夜最後のお酒を洋酒でしめたかったので、中に入ります。カウンターの中には女性が。バックカウンターに立っていた瓶が目に入ったので、ジェムソンをロックでもらいましょう。お通しに白菜の漬け物が出てきたのは驚きましたが、ウィスキー飲むのに張っていた肩がこれでゆるみました。いいもんですねえ。

 締めはラーメン(よく食うなあ)。千束通り商店街の入り口付近にある「菜苑」にて。ここは純レバ丼が有名なのですが、ご飯という気にはなれず、タンメンをもらいます。

 ライトアップされた浅草寺の境内をぶらぶらと。会社帰りのみなさんやカップルが三々五々と提灯の明かりの中を彷徨うのを横目で眺めやりつつ、満ち足りた腹をさすりながら弁天山へ向かいます。

 山門の横を馬車通りの方へ抜ける途中に弁天山はあるのですが、この石垣の上に添田唖蝉坊・添田さつき親子の筆塚があります。日中でも特に観光客が来るわけでもなく、向かいにはラブホテルが建つような、ひっそりとしたところなのですが、浅草に来るとぼくは必ずこの筆塚を見ていくことにしています。

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 ああ、明日仕事さえなければなあ。静かに更けていく浅草の夜を背中に、とぼとぼと宿に戻るのでした。

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