卒論打ち上げ

 1月に発表会が終わり、卒論生はもはや卒業式を待つだけのご身分となった。誠にうらやましい限りである。

 そういう人々に「真正のおっさんの飲み方」を教えるべく、打ち上げに行く。

 場所は、札幌駅南口ホテルグレイスリーの地下にあるおでん屋「かつや」。一度は行ってみたいと思っていた店である。

 3人で入店すると、口開け間もない店にはテーブルに1組、カウンターに1組とまばら。おでんの浮かぶ舟の真ん前に座ることができた。

 まずはビールで乾杯。その後は好きなタネを好きなだけ食べてもらう。自分は、タチに豆腐にフキ。タチとフキはまず北海道ならではのものだろう。ダシは薄味。カラシが強烈につんと来る。

 3人でむさぼるように食べる。2皿目、3皿目と平らげる。飲むというより、食う方が先である。

 練り物、種物も食べなければと、ロールキャベツにがんもを頼む。ロールキャベツはキャベツがメインで上品なつくり。

 酒はおかみさんがパックから片口に注ぎかえ、それを急須(?)に注いでガスで焼き燗をつける。ガスで焼かれた急須(?)の肌をおかみさんが直接触れて中の温かさを確かめていた。

 学生2人はシメでご飯も食べた。味噌汁、漬け物、明太子、黒豆がつく。うまそうだったが、酒飲みのメンツにかけて酒を飲んで我慢する。

 1人は法人に就職、もう1人は東大の院に進む。それぞれがんばって欲しい。

どうする教育心理学実験

 2時間続きの教育心理学実験、1カ月ぶりの授業のため感覚つかめず、大量に作業を残してあえなくタイムアップ。とある保育園の3、4歳児にピアジェの保存課題をやってもらうのだが、とりあえず教示の仕方だけでも確定させることはできたのでよしとするか。

 先方との打ち合わせも不十分。学生の授業実態も把握しておらず、スケジュール調整に難儀している。調整の難しさを予見できなかった自分のミス。けっこう困っている。

 保存課題を説明するのにYouTubeにあがっている下のような動画を用いているのだが、「最後はかわいそうな実験です。子どもはこうして大人はずるいということを知っていくのですね」と言うと必ずウケる。

よい思い出になれば

 土日のセンター試験は大過なく終わり…というわけにもいかなかったようだ。

 ぼくの担当は初日のリスニングの監督補助という比較的責任の小さな役どころのみだったので、昼過ぎに大学に出かけていって、リスニングが終わればそのまま試験関連の仕事も終了であった。

 使い終わったICレコーダを箱に入れて本部に運び込むと、別室で監督をしていた同じ学部の先生がそそくさと部屋を出て行くのにすれ違った。

「どうしたの」
「再開テスト」

 ふと見ると、部屋の隅の机の上に赤いランプがずっと点滅し続けているプレイヤーが置いてあった。故障のようである。受験生にとっても災難だ。

 明けて次の日は朝からこれでもかと言うほどの大雪。JRは止まり(北海道で列車が止まるなんていうのは相当な量の雪である)、おかげで試験開始が1時間ほど繰り下げられたらしい。

 受験生たちはこの2日間にかけているわけで、こうした天災に見舞われることほど本人としては腹立たしいことはないだろう。願わくは数年後、あんなこともあったねえとよい思い出になってくれれば。

「読み聞かせ」についての特別授業

 現在担当している授業に「基礎演習II」というのがありますが、今年はそこで「読み聞かせ」について検討しています。「読み聞かせ」に関心を持っている2年生が8名と3年生が3名の計11名が、論文を読んだり、実際に子どもたちに読み聞かせをしたり、インタビューに出かけたりしています。

 演習の正規の開講期間は今月末までなのですが、今年は特別に延長して、来月2月に特別講義を開きたいと考えています。

 講師には、上士幌町立上士幌中学校の石川晋先生にお願いをすることができました。私などはどうしても研究の領域上、読み聞かせは赤ちゃんや幼児、あるいは小学生向けのものという頭があるのですが、先生は中学校で読み聞かせの実践をされておられるそうです。中学校という場と読み聞かせという実践がどう結びついているのか、ぜひうかがってみたいです。

 当日は、幼児向けの読み聞かせを実際に行ったり、演習のメンバーによる研究発表をしたりと、盛りだくさんのプログラムにしたいと考えています。メンバーには苦労をかけますが、楽しい時間になればいいなと思います。

 日時は2月26日(金)、だいたいお昼過ぎ頃からを予定しています。場所は未定ですが、教育学部棟かその辺りになると思います。どなたでもご参加いただけるような会にしたいと思います。参加費は無料です。ご関心のある方はtito + edu.hokudai.ac.jpまでご連絡ください(+を@に変えてください)。

サイトリニューアル

 と言っても、このサイトではない。

 ぼくの所属する組織のサイトである。

 北海道大学大学院教育学研究院/教育学院/教育学部

 サイトの管理を担当するようになって4年目になるが、ここ2年くらい、抜本的なリニューアルをしようしようと思いながらもできずにいた。

 去年から今年にかけて条件がとんとんと整ったので、思い切ってリニューアルとそれにかかる予算増額を提案したのが春で、認められたのが6月のこと。そこからなんだかんだあり、業者さんとは秋口から具体的な作業について打ち合わせが始まったのだった。それから2か月。クリスマスにようやく完成し、公開の運びとなった。

 1年かかるものなのだね。

 今回のリニューアルの目玉は、CMS化したこと。とにかく管理しやすくしたのである。これによって、教員一人ひとりが、自分のプロフィール紹介ページの内容を、いつでも好きな時に、ブラウザ上で変更することができる。

 年内に片がついて本当によかった。リニューアルに携わっていただいた方々にあらためてお礼申し上げます。

—以下12/26追記—
 WinXP、IE8で上記サイトを見たところデザインが崩れて見えるというご指摘をいただきました。
 どうもきれいに見えないといった不具合のある方にお願いなのですが、ご自身の閲覧環境と不具合の状況(できればスクリーンをキャプチャした画像があれば助かります)をお知らせくださいますでしょうか。対応をしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

クリスマスおたのしみ会

 先日の日曜に、北大幼児園のクリスマスおたのしみ会がありましたので、アマネといっしょに行ってきました。

 いつもは観客席でニコニコしながら観ているだけでしたが、今年は学生と一緒にぼくの出番もあります。こうして幼児園でクリスマス会を開くのも最後ということで、先生方が出番を作ってくださったのでした。

 演し物はすべて学生さんにおまかせ。まずは3年生が、水の入ったグラスをならべて音階になるようにしたもので「ゆきやこんこ」と「クリスマス」を演奏。そのあとで2年生とぼくが入って「赤鼻のトナカイ」を合唱という手はずです。

 開会し、すぐにぼくたちの出番。グラス演奏はまず成功。次の合唱は声がいまいち出なくて不完全燃焼気味。やっぱり練習をもう少ししておくべきだったか。

 あとの時間はひたすらお客さんになり、子どもたちの劇を観ていました。

 今回は幼児園での最後のクリスマス会とあって、ここ6年くらいの卒園生も遊びに来ていました。突然乱入した謎のサンタクロースが子どもたちみんなにプレゼントを配ってお開き。

 その夜はクリスマス会で合唱したメンバーも含めて、基礎演習参加者での忘年会。久々に学生さんと混じって飲むと案外楽しいもの。やっぱりなんかイベントに一緒になって参加すると一体感が出るような気がします。

読み聞かせに悩もう

 学部の授業で基礎演習というのがあります。2年生が3年生の力を借りながら、各ゼミで扱っているテーマについて調べるというものです。

 ぼくは発達心理学の基礎演習を担当しているのですが、今年は「読み聞かせ」をテーマにしています。グループに分かれ、読み聞かせに関する問題について半年かけて調べることを課題にさせています。

 こちらが強制する要件として、大学の外で読み聞かせに携わる人やグループにインタビューすること、読み聞かせについての英語論文を読むことをお願いしました。インタビューについてはわりかし抵抗ないみたいですが、英語論文についてはむちゃくちゃ嫌な顔をされました。こういうときのための中高の英語教育じゃないのか?と思うのですがね。

 それはさておき、もうひとつの要件として、毎週1人、幼児園の子どもたちの前で自分が選んできた絵本を読み聞かせるという課題を課しています。こちらは率先してやってくれます。幼児園の子どもたち10数名がゴザに座り、その前でイスに座って読んでもらいます。演習に参加する他の学生はその間ゴザの脇に座って、本を見る子どもたちの様子を観察します。

 はじめて絵本を就学前児に読み聞かせるという人がほとんどの中、学生はそれなりに練習をして臨んでくれています。たった1冊、5~10分程度のものですが、読み終えたらみな口々に「緊張したー」と言ってほっとした顔をします。

 言い出しっぺの責任で、最初の読み聞かせはぼくが行いました。ちなみに読んだのは「がらがらどん」。毎日自分の息子に読み聞かせをしているのだから楽なもんだろうと思ってましたが、甘かったです。たくさんの子どもに対して絵本を開いて見せて読み上げるというのは思ったよりもコツが必要です。

 学生が読み聞かせを終えた後、他の学生と一緒に振り返るのですが、「あれはああだ」「これはどうだ」と、けっこういろいろな論点が出てきます。本の持ち方一つとっても、片手で持った方がよいのか、両手で持った方がよいのか、みなで真剣に悩みます。絵だけで文章のないページがあったらどうしたらよいのか?子どもには分からなさそうな難しい言葉が出てきたら説明した方がよいのか?絵のなかで注目して欲しい個所を指さしたりしてもよいのか?

 こうした疑問に、ぼくは答える知識はありません。学生さんには、インタビューや論文や観察した事実を根拠として自分なりにとりあえずの解答を出してもらうようにしています。何かを根拠として語ること、それがとても大事なことなのであり、この基礎演習ではそうしたクセをつけてもらいたいと思っています。

リンゴ狩り

 幼児園の子どもたちや先生方と、北大農場で作っているリンゴをいただきに行ってきました。なんでも、農場のご厚意で、リンゴの木1本まるまる自由に実を取ってよいのだそうです。

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 品種は「きたかみ」。今年は雨続きの日照不足で実はさほど大きくならなかったそうですが、花はたくさん咲いたために数はたくさんつけたそうです。

 手の届くところについている実をあらかた採り終わると、子どもたちは脚立にのぼって木の上の方についている実に手を伸ばし始めます。

 大人も必死になって採った結果、凄い量のリンゴをもらうことができました。運ぶために台車に段ボールを積んできていたのですが、満杯になってしまいました。

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 子どもたちはリュックに詰められるだけ詰め、重たいようと言いながらもリンゴを背負ってニコニコと歩いて帰りました。

北大セミナーin函館

 北大では年に数回、道内各地の高校で、大学教員による模擬授業と相談会を開催しています。北大セミナーと呼ばれ、おかげさまでご好評をいただいているようです。

 日曜日、市立函館高校にて開かれた北大セミナーに、学部担当として行ってきました。

 市立函館高校は、数年前に2つの高校が合併してできたまだ新しい学校のようです。五稜郭公園のすぐそばにあり、緑豊かでとても広々とした、気持ちのよいところでした。

 学部担当として2回に分けて講義を行います。自分の専門だけについて話をすれば簡単なのでしょうが、あくまでも教育学に関して考えてもらう必要があります。そこで、「教室をre-designする」と題し、カリキュラムとそれを実現する環境との関係について考えてもらうことにしました。

 最初の講義には14人、2番目の講義には4人の高校生が来てくれました。

 アイスブレイクが長引いてしまい(ありがち)、途中時間がなくなったりもしましたが、感想を読むととりあえずみなさん満足してくれたようでなによりです。

10分でわかる心理学?

 今日明日と大学のオープンキャンパス。ただし、本学部は1日のみの開催となる。学部長挨拶から学部説明、質問コーナーという流れを午前午後と繰り返す。

 午前中は180人近く、午後は100人近くが集まってくれた。例年にない盛況。大学全体で力を入れているイベントなので、おそらくは全体的な参加者数が増えているからだろう。

 本学部には、教育基礎論系、教育社会科学系、健康体育学系、教育心理学系の4つのコースがある。ぼくの出番は、10分間で心理学系を説明すること。

 ざっとゼミについて説明した後、なぜ教育学部に心理学研究者がいるのかについて話す。このテーマ、深く詳しくつっこむとなかなかややこしい話なのである。が、おおざっぱにはしょって、次のように説明した。

 心理学の目的は、『人間とは何か』という哲学的な問いと、『どうしたらよりよく生きられるのか』という実践的な問いの、両方に答えること。真善美で言えば真と善だ。

 教育学部の心理学は、哲学的な問いに答えるなかで見つかった研究結果に基づいて、教育という実践をよりよくおこなっていくための方法を探している。

 例を考えてみよう。次の映像を見て欲しい。これは心理学の実験に基づいてつくられた、イギリスのCMだ。白い服を着たチームと、黒い服を着たチームの2つがある。今からチームごとにバスケットボールをパスし合うので、白い服を着たチームが何回パスをしたか、数えてみよう。数えた後で、もう一度、今度はぼんやりと映像を眺めてみよう。最初に見たときには気づかなかった、何かが見えなかっただろうか?

 

 この実験は、数を数える能力を測定しているわけじゃない。人間が「注意を向ける能力」の限界を調べている。つまり、あることに注意を向けていると、他のことに注意を払えなくなるという限界だ。

 正常な人間は、周囲の出来事を正確に知覚し、認識し、判断しているというふうに思われている。しかしそういう人間像は誤りで、ちょっとしたことで知覚や認識があやふやになってしまう。人間とはそういう存在なんだ。これが哲学的な問いに対する答えのひとつ。

 そしてこうした答えから、次のような実践的な答えが出てくる。例えば交通安全教育。歩行者やサイクリストは、自動車の運転手からは自分の姿がよく見えていると考えている。だから車道にはみだしても、相手がよけてくれるだろうと思ってしまう。だけど、さきほどの実験映像から考えると、ちょっとしたことで運転手の知覚から歩行者や自転車の姿が消えてしまうことがありうる。ケータイで話していると、あるいは、カーステレオのCDを入れ替えていると、注意がそちらにいってしまって、車外の出来事に気づかなくなってしまう。見えているのに、見えなくなってしまう。

 だから、運転するときには運転だけに専念しなければならないし、道を歩いたり自転車で走ったりするときには「自分は見えているはず」と思ってはいけない。

 教育学部の心理学においては、このように哲学的な問いと実践的な問いがからみあっている。

 ここまでまとまっていたわけではないが、まあこんなことを話した。映像は一発芸みたいなものだが、高校生にはよく受ける。
 
 ちなみに、この映像には元ネタがある。論文は、Becklen, R., & Cervone, D. (1983). Selective looking and the noticing of unexpected events. Memory & Cognition, 11, 601 – 608.