しまった

 秋の日心に参加する予定です。某先生の某WSにお誘いを受けて、お話しすることになりました。

 例年、教心と発心には参加していたのですが、日心にはどうも都合がつかずに行けずにおりました。ですので、久々です。最後に参加したのって、もしかすると母校がホストをしたときじゃないですかね。そうするとずいぶん前だなあ。

 久々なので、各種申し込みスケジュールが身にしみてないのですね。これが教心とか発心なら、「あ、そろそろ」と体が反応するのですが、日心のスケジュールはそれらとは少しずれている。

 そんなわけで、大会参加申し込み締め切りを忘れておりました。

 今週の水曜だったんですねー。慌てて、ヘルプデスクにメール書きました。

 メールは書きましたが、大丈夫なんでしょうか。これで参加できないとなると某先生や某先生に大変なご迷惑をおかけすることになってしまうので、冷や汗ものです。

 こうして人は信用を失っていくのですね。

“しまった” の続きを読む

革命いまだ進行中

 トマセロは9か月革命とのたまわったけれど、我が家の革命には、かのバスティイユ牢獄襲撃に比肩するような記念日は訪れていない。ただ、じわりじわりといろいろなことが変わりつつあるのは分かる。おそらく本家革命でもバスティイユは単なる象徴に過ぎず、変化は伏流として常にあったのだろう。それがある日を境に相転移した、と考えるべきか。

 さて我が家の革命。部屋の中にあるもの、たとえばリモコンや電話の子機などボタンがたくさんついているものは特にお気に入りだが、それをいじくっているときに脇から親にそれを取られると、「うーうー」と怒り、手足をじたばたさせる。これは、「ある」しかない世界から、「ある/ない」の二値的世界に移行したと推測される出来事である。あるいは、残像に恋焦がれるようになったわけだ。

 とともに、「隠されたもの」への憧れも出てきた。我が家ではビデオデッキ一体型テレビを使っているのだが、そのビデオスロットの蓋をこじ開けて中を手でまさぐろうとするのである。「こちら側」の世界に「あちら側」が加わったのだろう。そういえば、丸めた紙おむつを入れるゴミ箱の蓋を一生懸命たたく姿も見られる。きっと、中を見たいのだ。

 そう考えると、9か月の革命には、消失と遮蔽という出来事が関わっているのかもしれない。しかしこれら2つの性質は少し異なるようにも思われる。前者には残像への思慕が、後者には彼岸への憧憬がある。

 あっ!過去と未来か!今、彼には時間が生まれつつあるのだ。

 そう思いを新たにした我々の手元に、ビデオデッキの中という未来へ向けて立ち上がらんとする彼の連続写真が届けられた。シャッターの間の時間間隔は同じである。ゆえに、立ち上がるとは瞬間的なことであり、むしろ準備的な運動の方に時間がかけられていることが分かる。

IMG_0080_R.jpgIMG_0081_R.jpgIMG_0082_R.jpgIMG_0083_R.jpgIMG_0084_R.jpgIMG_0085_R.jpg
IMG_0086_R.jpgIMG_0087_R.jpgIMG_0088_R.jpgIMG_0089_R.jpgIMG_0090_R.jpgIMG_0091_R.jpg

繚乱

 晝の札幌は初夏の陽気であります。

 道の上から汗ばむ額に手をかざしてふと見遣ると、冬の抑圧をやぶってよろこび咲きほこる桜花。

 生ぬるい夕暮れどきは、大学構内のあちこちから、肉と煙の薫りがただよってくるころ。

 こうして考えると、風情というのは少なくとも3年ぐらいで学習できるものなのですね。

 4年目の春に思うわけです。

IMG_0121.jpg

劇的ビフォーアフター

 伊藤家ではひとつの問題が持ち上がっていました。長男、アマネくんのハイハイです。

 なんでも、すばやく、どこにでもと、3拍子の揃った好奇心で移動するのです。運送会社なら満点ですが、お父さんとお母さんは困っていました。 

IMG_0074.jpg

 台所はお母さんが立ち仕事をする場所なので、アマネくんも特に気になってのぞきに行きます。ですがそこには、危険なものがいっぱい。かといってずっとアマネくんを見ているわけにはいきません。

 そこで、この家族の問題を解決する、「匠」の登場です。

(中略)

 なんということでしょう!

 冬の間リビングルームの隅に鎮座していたストーブはいまやカバーをかけてしまわれ、ストーブのあった場所にベビーサークルが置かれました。お父さんやお母さんがベランダに出たり、トイレに行ったりして、目を離さざるをえないときには、ここがアマネくんの居場所となります。アマネくんが退屈しないように、ベビーサークルの壁には匠手作りの不思議おもちゃがはめ込まれています。 

IMG_0096a.jpg

 このベビーサークル、ジョイント部分を外せば、このようにフェンスとしても使うことができます。これで、アマネくんは台所で働くお母さんを見ることができますし、お母さんもアマネくんがハイハイで台所に出張するのを防ぐことができます。 

IMG_0103a.jpg

 こうして伊藤家に、ふたたび笑顔が戻ったのでした。

青空乳児・幼児

 いやあ、GWが過ぎて仕事に復帰した途端、めまぐるしく1週間が過ぎてしまいました。実家でちょっとは仕事を片づけられるかと思っていましたが、そんなことはまったくありません。というわけで今日も今日とて自転車操業なのです。

 そういえば実家では、妹夫婦が1歳半になる甥っ子を連れて1日遊びに来ました。父母ともども、隣町にある公園施設に子どもたちを連れて行くためです。青空が広がるよいお天気の日でした。

 以上、青空乳児・幼児でした。

初節句

 5月5日はこどもの日。端午の節句であります。

 初節句のお祝いを近所の方々や親戚からいただきましたので、お返し方々、顔見せにまわりました。

 大仕事を終えたアマネ、くたびれたのか、夜は珍しく5時間連続で寝ましたとさ。

IMG_0049.jpg

有朋自遠方来

 3日から茨城の実家に来ています。

 さすがにゴールデンウィーク、駅も空港も激混みでしたが、羽田からの高速道はガラガラでした。

 3月に来たときのアマネはひとみしりの真っ最中だったので、じいさんばあさんに抱っこされるとすぐに泣き出していましたが、今回はニッコリとしておとなしく抱かれていました。いかった。

 部屋の中をずりずりと闊歩し、あちこち触りまくるのは札幌と同じですが、目と手が普段の倍あるので安心です。ぞんぶんにずりずりさせております。最近では新技つかまり立ちを覚えましたが、まだおぼつかないので、柱の角やテーブルの角におとなが手を当てて倒れるのに備えます。

  明けて4日、この日の夜、10歳年上の飲み友だち、S氏とつくばで飲む約束を取り付けました。アマネの世話はじいさんばあさんに任せて、妻の愚痴を背に受けながら家を出ます。

 S氏とは10年前、アイルランドの片田舎ドゥーリンという村で知り合いました。ぼくはアイルランド放浪、彼は世界放浪の途中だったのですね。そこで意気投合し、日本に帰ってからも年に1~2度のペースで飲んでいました。ぼくが札幌に越し、子どもができてからの2年はまったくお会いしていなかったので、この機にと無理言ってお呼びしたのでした。

 つくばには「くいだおれ」という飲屋街があるのですが、そこで居酒屋を2軒、バーを1軒はしごしました。しゃべる話と言えば近況報告に始まり、世評から下世話な話にいたるまで。S氏はかつて雑誌編集の仕事をしていたこともあり、話の懐が実に広い。ぼくもなけなしの引き出しを開陳して応戦します。

 茨城の片田舎に来ることなどめったにないS氏、つくばに1泊して次の日は霞ヶ浦見物に行くのだそうです。「面白くもないですよ、臭いですよ」とアドバイスをしておきました。

 11時にはお開きにして、S氏をホテルに送った後、実家へはタクシーで帰りました。

Wにゅうじ

 乳児がふたりでW(ダブル)にゅうじ。

 名古屋からhouさんmouさん夫妻とその愛娘トモちゃんが札幌へやってきた。

 ぜひともアマネに会わせたいということで、カミさんに大学まで来てもらう。数日前からアマネはハナミズじゅるじゅる状態で、おまけにまぶたや口のまわりにポツポツができてきたため、午前中に小児科へと診てもらいに行った帰りである。具合のほうは、幸いどうということもなかったようだ。

 houさんと研究の打ち合わせをしているあいだ、奥さんのmouさんとトモちゃん、カミさんとアマネは、北大幼児園の一室で待機していてもらった。3か月と8か月の2人の乳児がじゅうたんの上でころころしているのはかわいらしいね。アマネはトモちゃんが気になるらしく、何度かハイハイをして近づき、手を伸ばそうとして止められていた。

 その晩、汚い我が家にご招待した。といっても準備している暇もなく、すぐそばのスーパーで総菜を買ってきてそれをテーブルに広げた程度だった。

 トモちゃんはおとなしく座布団の上で寝ながら両手をぴょこぴょこと動かす。ひきかえ、アマネは珍しいお客さんにすっかり興奮していた。ひとみしりするかと心配だったが、 houさんの手に両脇を支えられてぴょんこぴょんことジャンプをしながらご機嫌であった。

 かえってくたびれさせてしまったかもしれませんが(特にトモちゃんは心配でしたが)、乳児がふたりでとても楽しい夜でした。

 大正ブログ寄席 次回登場は青空乳児・幼児です。

houさんへの私信だな、こりゃ

 連休を利用して、名古屋のhouさんとmouさん夫妻がお嬢さん(3か月)を連れて札幌にいらした。

 この機会に、共同研究の打ち合わせを進める。方向はおおまかにかたまった、ように思う。metaではなくepiを見る、というところで落ち着く。

 打ち合わせのときには言う機会がなかったですが、どうでしょう、metaとepiの話というのは、ヴィゴツキーの発達理論からするととてもよく分かるようにも思うのですね。

 Metsalaたちのlexical restructuring theoryでは、子どもが似たような音の単語を急速にたくさん覚えるほど、記憶コストを下げるために、分節単位が自然に細かくなっていく、と想定されていました。そのようにしてphonologyが発生するのだ、と。ところがこの理論は個人の頭の中だけを問題として、いわば純粋なepiというものを想定しているように思うのです。

 一方で、レキシコンというのはソーシャルでフィジカルなものでもある。そもそも、メンタルレキシコンというのも、外的なブツとしてあるレキシコンに基づいたメタファであるわけですから。私たちは、モノとしてのレキシコン内の単語と単語が区別しやすくなるよう、歴史的に協同的に、単語のよけいなバリアントを整理してきたという経緯もあるのではないかと思うのです。要するに、一種の淘汰の過程があった、と。

 とすると、現代の子どもたちは、あらかじめ整理された単語を再整理するという作業をしている、とモデル化できるのかもしれません。ヴィゴツキーのいう二重の発達モデルからすると、MetsalaやGoswamiの考えていることは一種の主知主義であり、要は不十分なのです。

 こういう議論もアリではないでしょうか、houさん。

院生と研究会

 さて、昨日は大学院のゼミでした。今年はマスターの学生さんが2名入ってきました。今回はかれらに卒論の反省と修論に向けた構想発表をしてもらいました。

 いずれの計画も、まだぼんやりとしていて、「とにかくがんばってくれ」としか言えないような感じでした。「おもしろい」と感じている現象はあるものの、それをどうしたらいいのか分からない。徒手空拳というか。これからの大学院生活で必要なことは、いろいろな「武器」を身につけることでしょうね。それでもって集めたデータに対峙すること。

 武器というのは、要するに理論であり、方法論です。ですがマスターの段階では、まずは先に理論にどっぷりと浸かってみることをおすすめします。方法論については、修論を書いた後、隣接領域を横断できる余裕が出てきたころに勉強すると面白いと思います。

 振り返ってみると、自分はどうだったんでしょうか。

 とにかく本を読まねばと、なんか気ばかり焦って、学内でいろいろな読書会や研究会を立ち上げてはつぶしていただけのような気がします。さいわい東京近郊でさまざまな研究会が毎週のように開かれていたので、面白そうなものには臆面もなく顔を出していましたね。そのうちのいくつかは確実に今の自分の方向性を決定づけましたし、仲間と呼べるような方々も見つけることができました。いろいろな人に会ってまったく知らないことを聞くことが、ほんとに楽しかった。逆もそうですね。知らない人に自分がどういう研究をしているか話すことは、自信になります。プレゼンの基礎スキルを磨くことにもなると思いますし。

 ですから、集まりに参加するということは、もちろんそれに専心することは本末転倒なのかもしれませんが、研究を進める上で大切だと思うのですね。

 話は飛びますが、発達心理学会の分科会に認知発達理論分科会というのがあります。ぼくはここにもとてもお世話になったという実感があります。ここのよいところは、くくりが大雑把だという点です。参加する人が実際に採用しているアプローチや、具体的な研究対象や関心はバラバラなんです。それでも、実にさまざまな最新の理論を学ぶ。悪く言えば意地汚いのですが(本当に失礼だな)、よく言えば自分が現在のところ採用している理論を相対化できるという利点があります。

 たとえばここ見てください。ワクワクするでしょう。しないですか?しないでもいいです。ぼくはしたんですね、院生時代に。だから、ぼく自身はたぶんヴィゴツキアンだけど、ピアジェも読んだし、コネクショニズムも読んだし、マイクロジェネティックも読んだし、ダイナミックシステムズアプローチも読みました。身についているかどうかは分かりませんが。

 マスターのうちからふらふらするのは必ずしもいいことだとは思いません。ですが、一つのアプローチの奥底に潜っていくばかりではそのうち息苦しくなってくることもあるかと思います。そのとき、周辺から漏れてくる光明のようなものに触れてみるのもよいでしょう。

 そういう光明に触れられるような集まりを、ここ札幌で作りたいという欲望があります。まずは若い有職者で集まって、そこにとんがった院生を巻き込んでいくのがいいのかなとか、いろいろ考えてはいるのですが、どうしたらよいか。