ドーナツ

 今年(今年度、ではなく)最後の非常勤。

 クリスマスも近いし、札幌駅のミスドでドーナツを買って行く。学生といっしょに食べながら講義をするため。人数が少ないからできる芸当である。本日は3名だった。ドーナツがあるぞと言うと、3人とも諸手を挙げて喜んでいた。

 先週の講義で性同一性障害について話題を振ってみたのだけど、学生からそのことについて、ちょっと考えさせられる話を聞いた。

 そのあとつらつら考えたことがあった。思うに、性の同一性のありかたはそう単純ではない。

 ここに、身体的には男性である人がいるとしよう。その人が身体的性に違和感をもつとして、「性指向として男性を指向すること」と「身体的性としての男性を嫌悪すること」は違うと思う。もう少し簡単に言うと、「女性になりたいと考えること」と「自分が男性ではないと考えること」は同じではない。同じではないかと思われるかもしれないが、そうではない。

 このことは、ジェンダーあるいはセクシュアリティが3種類あった場合に明らかになる。男性ではない場合、女性と第三の性のどちらかを選択することとなる。すると、女性になりたいことは、選択肢のひとつに過ぎないことが分かる。ジェンダーあるいはセクシュアリティが2種類しかない場合には、男性でない場合は女性になるしかないから、女性になりたい願望と男性性の否定とを同じことと考えて不都合がないというだけの話なのである。

 ここでは、3種類あるいはそれ以上あるものが「ジェンダー」であることが、ひとつのポイントとなるかもしれない。

 てなことをつらつら考えながら帰途についた。

サビスィ

 えー、いずこの大学でも後期の講義が始まったようで。

 前期に引き続いて、とある大学で非常勤の講義を受け持った。半期で終わる内容を前後期2度繰り返しで行う。なので講義内容やレジュメを新しく準備する必要もなく、余裕で初日を迎えた。

 履修登録はすでに前期に済んでいて、聞いたところでは受講者は5人ということだった。ちなみに前期は12人だった。教室をキャパ40人程度の小教室に代えてもらった。

 教室に向かうと、1人の男子学生が所在なげに立っていた。予鈴が鳴っても新しい学生は来ない。

 受講者、1名。

 彼と差し向かいで、パワーポイントで準備しておいたオリエンテーションを行う。プロジェクタなど必要ない。ノートPCの画面を2人でのぞき込んで話をした。これではまるでサラリーマンの営業活動である。

 この大学では、受講者が5人に満たないと閉講(と言うのか?)となる。ぼくもこの仕事を失う。どうやら彼にとってこの講義は必修だったらしいのだが、それでも閉講となる可能性がある。来週までに教務課が開講するかどうかを決定するという。

 なんだかサビスィね。

 帰りがけ、彼が「なんだが学生相談みたいですね」と言った。一対一だったからね。新しいかもしれない。学生相談式講義。学生の悩みそのものをリアルタイムで講義のネタとしてフィードバックするの。