グロテスク・リアリズム

グロテスク・リアリズムとは,民衆の〈笑いの文化〉のイメージ・システムのこと。

物質的・肉体的原理が,肯定的原理,普遍的で全民衆的なものとして把握される。宇宙的,社会的,肉体的要素は分割できない生きた総体,それは陽気な,愛想のいいもの。

ゆえに「孤立して自分の中に閉じこもる一切の動きと対立する」(p.24)し,「抽象化された観念性とも対立し大地と肉から解放された独立した意義なるものを僭称する立場を一切認めない」(ibid)。

システムを共有するのは「ブルジョワ的エゴイスティックな個人」ではなく,「民衆」。

このシステムの主要な特質は,格下げや下落,つまり,「高位のもの,精神的,理想的,抽象的なものをすべて物質的・肉体的次元へと移行させる」(p.25)ことにある。

メモは以上。なお上記文中の引用はすべて,以下の文献による。

ミハイール・バフチーン 川端香男里(訳) 1980 フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化 せりか書房

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