Youtubeで学ぶ心理学概論(2)―認知発達編

次は認知発達編。ぼくの場合は,教科書をなぞってPiagetの発達論を主軸として,追加的になるべく新しめの知見を紹介するという授業構成にしている。

共鳴動作について。生後10分の新生児の顔の前で,大人が舌を出すと新生児も口をもごもごとさせる。

共鳴動作がおサルさんでも起こるかどうかを確かめた実験。確かに人間が口をぱくぱくさせると,おサルさんも口をさかんにもごもごしているように見える。この実験はFerrari P.F., Visalberghi E., Paukner A., Fogassi L., Ruggiero A., Suomi S.J. (2006). Neonatal imitation in rhesus macaques. PLoS Biology, 4(9): e302.にまとめられているようだ。PDFも公開されてる。

物の永続性について。赤ちゃんの目の前にあったオモチャが隠されると,赤ちゃんはすぐにそっぽを向く。

物の永続性と関連して,A-not-Bエラーについて。物の隠し場所を変えても,赤ちゃんは以前隠された場所を探してしまう。永続性に関する実験結果については解釈が本当に難しいようだ。

ピアジェの言う自己中心性について。いわゆる三つ山課題を使って,他者の視点から説明が可能かどうかを問う。

ピアジェの発達段階論で言う「前操作期」の典型的反応を3種類の保存課題で確かめる。1つ目の課題は水面の高さが変わっても液量は操作前後で等しいかどうかを問うもの。2つ目の課題は並べられた幅が変わってもコインの枚数は操作前後で等しいかどうかを問うもの。3つ目は…なんだろうね。量と数の区別ができているかどうか,ということを確認する課題?ちなみに学生に見せると一番いい反応が返ってくるのがこの課題。「こうして彼女は”大人は卑怯だ”ということを学んでいくのですね」と言うとうける。

ピアジェの発達段階論で言う「具体的操作期」と「形式的操作期」の反応の仕方の違いについて。現実世界ではあり得ない前提から演繹的に結論を導くことができるかどうかを問う。映像では「羽根でガラスをたたくとガラスが割れます」「太郎君は羽根でガラスをたたきました」「ガラスはどうなりましたか」と聞いていく。

大学生にとって,乳幼児に触れる機会というのはそうない。そのような場合,乳幼児の発達過程について説明する際に,ただ単に言葉を並べるよりは,映像で具体的な姿を見せてあげると反応がよい。ともすると「赤ちゃんは癒される」とか「子供はかわいい」とかいった,のんびりとした感想しか返ってこないかもしれないが,それでもイメージを残してやることが大切なのかなと思う。

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