PMFオーケストラはリハーサルの場所を本番が行われるコンサートホールKitaraに移した。
朝10時からのリハの見学に参加。Kitaraに来るのは実ははじめて。以前、聞きたいコンサートがあって、チケットまで手に入れていたのだが、仕事の都合でキャンセルしたことがある。ようやく、噂のパイプオルガンを拝むことができた。
ホール客席のライトが落とされ、ステージだけが照らされる。メンバーはめいめい、音を出している。黒いジャケットに黒いジーンズをはいた短髪の男性がステージの下に立ち左手をすっと上げると、音がやんだ。オーボエがAの音を出し、まずはブラスのチューニング。続いて、弦のチューニング。
左手袖より、指揮のマイケル・ティルソン・トーマス氏が入ってくる。スタッフから、指揮台にイスを置くかどうか尋ねられて、いったんは断ったようだが、結局は置いた。
今日もマーラーの5番の練習。
指揮者というのはいったい何を直しているのだろうか。かれらの頭のなかには、自分なりの完璧な音楽が鳴り響いているのだろうか。それと照らし合わせて、今鳴っている音の善し悪しを判断しているのだろうか。おそらくはそうなのだろう。
理想の音をつくるためにはどんなことでもするようだ。第一バイオリンに迫力がないと、体をそちらに向けて、足をドンガドンガと踏みならす。弦を思い切り甘ったるく歌わせたいと思えば、上半身を腰から曲げて左右にくねらせる。
対する演奏者の方だが、まだ、まとまっていない感じ。ホルンやトランペット、オーボエなどのソロパートはとてもうまい。弦はというと、曲のイメージを十分に具体化しきれていないように感じる。今日は1度だけだったが、テンポを通常よりもゆっくりにした練習が見られた。第一バイオリン、第二バイオリン、ビオラの順で、同じメロディをタイミングをずらしながら演奏する個所。そのズレをそろえるためだろうと解釈。
それにしても、Kitaraのシートは危険だ。すべての楽章を通して演奏している最中、座り心地がよくてすっかり眠ってしまった。不覚である。