【PMF】7月22日(水)、23日(木)

 しばらく間が空いてしまったが、PMFリハーサルに行ってきた。

 スケジュールももう終わりに近づいている。各国から指導を受けに集まってきた人たち(アカデミー・メンバーと呼ばれる)が、その成果をコンサートという形で発表する「PMFオーケストラ演奏会」が25日に迫っている。

 25日の公演で指揮をするのは、マイケル・ティルソン・トーマス。曲目はティルソン・トーマスの作曲による『シンフォニック・ブラスのためのストリート・ソング』と、マーラーの交響曲第5番。同じ演目で、大阪・東京でも演奏するらしい。22日、23日とも、私が聴いた時間帯はすべてマーラーのリハに費やされていた。

 芸術の森アートホール内にあるアリーナがリハの場。オープンリハーサル参加者は2階席から眺めることになる。すでに25日の公演の前売りが完売しているからか、参加者の数は20人弱とそこそこ多い印象。

 さて、リハの様子である。

 ティルソン・トーマス氏の指示の入れ方が、まず気になった。とても細かいという印象。ちょっと演奏してはすぐに止めて、指示をする。だから同じフレーズを何度も聞くことになる。しかも同じ部分を繰り返す。1、2度ですむこともあれば、4~5回も重ねることも。止めるやりかたはさまざま。タクトをもっていない左手を高く上げて手の平をひらひらとさせたり、両腕を広げてみたり、ただ単に振るのをやめたり。

 指示の仕方もおもしろい。曲想をイメージした言葉を、指示するパートの演奏するフレーズにのせて実際に歌ってみることがしばしば見られた。言葉によってイメージさせる時も具体的。たとえば、「野犬のように」と言いながら「ぶるぶるぶる」と首を左右に振ってみる。

 振っているときのアクションが大きい。バイオリンに向かって立ち、そのまま小刻みに飛び跳ねる。

 一方の演奏者側では、とてもおもしろいことが起きていた。演奏している最中や、指揮者が指示を出している最中に、演奏者の脇にするすると歩み寄って傍らに立ち、譜面と演奏者を交互に見ながらなにやら話しかける人がいる。1人ではなく、延べでは8人ほどそのような行動をとっていた。おそらくは、メンバーに指導をつけた講師だろう。演奏中は、オケと向き合うようにイスの並べられた客席側に、講師陣が座ったり立ったりしてその様子を眺めている。手には楽譜がある。ルイス・ビアヴァの姿も。

 つきっきりの指導に熱心なのは、ホルン、コントラバス、トロンボーン、トランペット、パーカッションを担当した講師。休憩時間にもメンバーを集めて話しかけていた。また、バイオリン、ホルン、コントラバスの講師はリハの最中にいっしょに演奏もしていた。

 つまりメンバーのなかには、リハの最中、少なくとも2人の指導者から指示を受けていた者がいたことになる。指揮者と、パートの講師。かれらがマラ5の解釈についてあらかじめ議論しているとか、コンセンサスの得られた指導をそれぞれが別々に行っているわけというわけではないだろう。推測でしかないが、おそらくは、指揮者の解釈を講師が解釈し、そのための技術的なアドバイスをおこなっていたのではないかと思う。(本人たちに聞けばいいのだがそれはちょっとできない)

 教育的な音楽フェスティバルならではのリハーサル風景とは何か、と言われればこれがそうなのかもしれない。

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