大学説明会に思う

 今月1日、3日と、大阪と東京へ出張してきました。北大単独開催による大学説明会に説明要員として駆り出されたためです。

 大阪は300人、東京は600人をそれぞれ越える方々がご参集くださいました。半分は高校生、半分は保護者、わずかに大学生、
社会人、教師といった構成。特に保護者の方が本当に多いと思います。まあ、それだけ子どもにかける期待も高いということなのでしょう。

 私が高校の頃にも、こういった催しはあったのでしょうが、まるで気がつかなかったです。進路について深く考えていなかった、
というのもあったかもしれません。行くなら実家の近所、学ぶなら人間のこと、ということで単純に決まったように思います。

 個人的な経験を一般化することはできませんが、説明会にいらっしゃる方々のお話を聞くだに、
一般に高校生というのは進路を深く考えないものなのかもしれません。

 北大の場合、特にその立地条件に惹かれる高校生が多いようですね。つまり、「北海道に住んでみたい」ということです。
北の大地への憧れいまだやまず。その上で、「自分は文系(あるいは理系)だけど、一番入りやすい学部はどこですか」といった尋ね方をされるわけです。

 そうした場合、立場上、「学部に入ってから勉強してみたいことで選んだ方がよいのでは」と返答するわけです。実際に、
「入ってはみたが、こんなことを勉強したいのではなかった」と言って他大学に移る、
あるいは大学に来なくなるといったケースも考えられるわけで。

 ただまあ、勉強したいことがもう決まっているというのもまた、ちょっと考えものではあります。結局、
すでに視野が狭くなってしまっているわけです。関心のなかった領域の事柄にも触れることを通して、
広い視野から一つの問題を総合的に考える力を養うことが総合大学の一つの教育方針なのですが、それをはじめから拒否してしまう可能性がある。
教える側としたら、これではいかんのです。

 結局のところ、どんな高校生に来て欲しいのか、よく分かりません。個人的には、大学に入った後も、
自ら貪欲にさまざまなことを吸収していこうとする素質があればそれでいいかなと思います。その上で、「これだ!」
と勉強したいことが定まってくればよし。結局勉強したいことはありませんでした、ならそれでもよし。ただ、入試では、吸収力ではなく、
記憶力と表現力からしかその人の素質を見ることができないのが残念。

 今は無知であるものの、将来にわたって知的好奇心を発揮できることを、どのように評価すればよいのでしょうか。

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