今日もまた雲の上からパラパラパラとプロペラの回転音がひびく。
一機,二機,三機。
地下鉄に乗って大学へ急ぐ。構内の柱を背にして,薄青のシャツを着た男性が居丈高に立つ。
あの柱に,この角に,あの通りに。
増えたなあと思ったのは先週のことだったか,その感覚は薄れ,もう慣れてしまった。
イタリアから来たというアーティストがマイクに叫ぶ。
「サミットのことなんか,メディアは無視している」「未来がどうなるか,資本の側だって分かっちゃいない」
マイクの音が響く遠友学舎の上をまた一機渡っていく。
「あ,ヘリコプターよ」
子どもは空を指さして,嬉しそうに,たどたどしい口で叫んだ。
「ヘリコプターバイバーイ」
私たちは,アイステーシスなるものを問題にしなければならないとあらためて思った。