Mr.S strikes back! 2

 一夜明け、今宵もまたS氏との飲み会。

 夕刻、南北線すすきの駅改札にて待ち合わせ。約束の時間通りに氏は現れた。

「昼間は何してたんですか」
「定山渓に行く途中に小金湯温泉というのがあるんですがね」
「ええ」
「そのそばにアイヌ民俗の資料館みたいなのがあるんですよ」
「そんなのがあるんですか」
「札幌に来るにあたって下調べしておいたんですがね、昼間は真駒内からバスに乗ってそこへ行ってきました」
「おもしろかったですか」
「ええ、ずっと館内のビデオを見ていたんです」
「なんのビデオですか」
「イヨマンテの儀式です。熊の皮をはぐところはさすがにアニメになっていましたが」
「客は入っていましたか」
「私一人でした」
「そうでしょうねえ、で、温泉には?」
「入っていません」

 話をしているうちに本日1軒目「やき鳥 金富士」に到着。北専プラザビル地下1階にある。看板によれば昭和28年創業。
ゆうに50年を越えている。ネットですすきので安く美味い酒場を調べると、ここがまっさきに挙げられるほどの有名店。ぼくは初めてなのだが、
今回S氏を迎えるにあたり並の店ではご満足いただけなかろうと意を決して足を運ぶことにした。

 木枠の引き戸が古さを物語っている。開けると右手にカウンターが8席ほど、テーブル席が3~4卓、奥には小上がりもあった模様。
2名ねと指を2本立てると、若い店員さんがカウンターを指してくれた。

 まずはビール。瓶を頼むと、赤い星がラベルに書かれたサッポロラガー(通称、赤星)が登場。まずはこれで乾杯。さて、
食べ物であるが、ここはほとんどのメニューが200円台である。串ものは3本でそのくらいの値段。安いなあ。ポテサラと卵焼きにホッケ、
串はガツにトリモツにレバ、ツブもください。

 だいぶのども潤ったところで酒を頼むことに。ここの酒は「男山」しかない。旭川のお酒である。贅沢をして、ラインナップで一番高い
「男山 御免酒」をもらう。口当たりよく、うまい。調子に乗って、コマイ、身欠きニシンも追加である。

 客の回転もはやく、気がつくとカウンターの最古参となっていた。そろそろ腰を上げよう。2人で5800円ほど。2時間ほど滞在し、
さんざん飲んで食ってこれだけだから安いのだが、気になるのは「この店で2000円以上飲むと、死ぬ」という言い伝えがあること。
気にせず次に行くことに。

 さんざん食べた後だったので、2軒目はバーに。すすきの交差点からちょっと東に歩いたところにあるビル2階、The Nikka
Bar。せっかく札幌に来たのだから、S氏にはぜひ北海道のウイスキーを飲んでいただきたいと思い、お連れした。名の表す通り、
ニッカのラインナップはさすが(値段もさすが)。ぼかあウイスキーが苦手なので、ハイボールでおつきあいである。

 雰囲気を十二分に楽しんだ後、3軒目を探す。「ラーメンサラダを食べたい」とのS氏のご要望にお応えすべく店を探すも、
なかなかここぞという所が見つからず、30分ほど寒い中をうろうろ。結局たどり着いたのが、ラーメンサラダは出てこないものの、
油そばで有名な「米風亭」。

 ここはぼくがすすきの界隈を歩くときにはたいて3軒目くらいに入る店である。ヨーロッパビールのそろえが比較的よいのが特徴。
行者ニンニク入りソーセージと油そばを頼んだ。

 そうこうしているうちに終電の時間。あえなくタイムリミットとなり、豊水すすきの駅にて別れた。

 こうしてS氏は遠くチリへと去っていったのだったが、また来年札幌を襲うことは間違いないだろう。それに備えて、
お連れする店のリストをもう少し増やしておかねばなるまい。

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