Mr.S strikes back!

 酒友S氏が1年の時を経てふたたび東京より札幌に上陸を果たした。来札の知らせはすでに1ヶ月以上前から聞いていたゆえ、
相応に迎えるべく算段を重ねた末、二晩に分けて「札幌郊外で飲む」「すすきので飲む」をテーマに据えることに。

 初日はJR白石駅前からスタート。駅前の焼鳥屋「龍美」を集合場所に指定しておいた。
非常勤を終えた足でそのまま店に入るとS氏の姿。「どうも」「ええ」と少ない言葉を掛け合いカウンターにつく。
ビール瓶の中身を注ぎあい乾杯。

 これは印象にすぎないのだが、どうも北海道の焼き鳥にはコショウをかける店が多いように思う。塩で焼いてもらうように頼むと、
必ず仕上げにコショウをかけてよこすのである。内地ではあまり見かけないだけに、北海道焼き鳥の特徴と思いこんでいるのだが、はて。
事の真偽はともかくとして、この手の焼き鳥をまずは味わっていただこうとS氏をお連れしたのである。串を3種類、
野菜焼きを2種類ほど平らげたあたりで腰を上げた。

 次なる店は地下鉄南郷通7丁目駅から歩いて5分ほど、本郷通り商店街の中にある居酒屋「武蔵」。白石駅からタクシーで乗りつけた。
さきほどの「龍美」には何回か入ったことがあって勝手は知っていたのだが、ここ「武蔵」は初めてである。
ウェブで調べたら海鮮が美味く酒を飲ませる店とあったので選んだ。

 いつものことながら、初めての店のドアを開けるときは緊張する。しかし今日はS氏が後ろに控えているので心強い。
ガチャッとドアを押すと「いらっしゃい」の声。店は7割程度の入りか。よい雰囲気である。おすすめの書かれた黒板からアンキモを、
それと刺身2人前盛りあわせとナマコ酢をもらう。

 S氏と話をしているあいだに、まずはアンキモ。「こんな箸触りのいいアンキモは初めてだ」とS氏が激賞。ナマコもうまい、
刺身もいい魚を使っているようだ。これは信頼がおけそう。S氏はすでに酒に入ったが、ぼくは一休みにウーロン茶などを。すると「はあ?
何を飲んでいるんですか。そんな子に育てた覚えはありません」とS氏から教育的指導を受ける。
魚がなにより美味いのでここに根を下ろすか迷ったが、1時間強で店を出た。

 3軒目は特に決めておらず。商店街のなかにたたずむ、エクステリアのきれいな店を発見したので入ってみることに。店内に先客は0、
マスターが手渡してくれたメニューには値段がないときた。うひー、時価か。
S氏と2人してビクビクとビール2杯とアスパラバター炒めを口に放り込んですぐに退散(実際にはお通し含めて2500円くらいで済んだ)。

 4軒目に我が家のそばにある雰囲気のいいバーへお連れしようとタクシーに。ところが店の前まで行くと閉まっていた。うーん、
と仕方なく平岸駅まで歩き、手近にあったジャズバーに入った。男性二人がカウンターに入り、客は1人。常連のよう。
父親息子の親子で経営されているらしく、きさくに迎えてくれた。

 5軒目はジャズバーから道を隔てた反対側にある、若者向けのカフェバー。

「これだけ飲んでるんですけどね」と、S氏。
「ええ」
「ちっとも酔っぱらわないんですよ」
「なんででしょう」
「寒いところと暖かいところを行ったり来たりしているからですかね」
「そうですかね」
「なんだか充実感がないですね」
「そんなもんですかね」

 冬のはしご酒にもまた問題がありそうである。

 明日に続く。

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