シンスケ

 日心は今日で終わりました。最終日に開かれた「ヴィゴツキー・シンポ」では司会役をおおせつかっていましたので参加してきました。それについてはまた今度書くとして、前の日の夜に行った居酒屋について。

 湯島天神の下に「シンスケ」というお店があります。居酒屋好きの間では知らぬ者のないという名店。以前、お店の前を通ったことはあったのですが、実際に入ったのは今回が初めてです。非常勤などでお世話になっているM先生をお誘いしてのささやかな飲み会。

 M先生よりもちょっと早く着いてしまいましたが、店の中をのぞくとどうも混んでいる様子。席だけでもと引き戸を開けると、ちょうどカウンターが3席空いていました。中で立ち働いていた若い人(4代目、でしょうか)に「2人ね」と言って、イスにかけます。

 まずはキリンラガーの小瓶でのどをしめらせます。と、携帯に電話が。M先生からで、15分ほど遅れるとのこと。では先に料理を頼んでおきましょう。

 壁に画鋲で留められた短冊にはおいしそうなものばかりが並んでいます。ここに来たら食べようと思っていたのが、ねぎぬたです。ぬたは、札幌ではよいものに出会ったことがありません。やはり江戸のものなのでしょう。それと、夏野菜の炊き合わせをいただきます。

 小瓶をあけたのでお酒に切り替えようかという矢先、引き戸を開けて入ってこられたのがM先生。「どうも」「お疲れ様です」と、まずはビールを一杯。キリンラガー、同じのね。

 早々に小瓶をあけたM先生とともに、お酒をいただきましょう。ここには秋田のお酒、両関しかありません。ただ、純米、吟醸など選べますし、冷や、常温、燗のいずれでもお願いできます。カウンターの中の壁に作り付けられた棚には、お酒が入れられた丸っこい形のお銚子がずらりと並べられています。お燗でと言えば、ご主人がその棚から1本取り出して燗つけ器にすっと入れるようです。われわれは常温でいただきましょう。酒は人肌です。

 お料理がなくなりました。追加で、戻り鰹のたたき、衣かつぎ、マグロのぬたをいただきます。あ、マグロぬたはなくなっちゃったの?では山かけで。

 学会のこと、研究のことなど話すうちにお酒がどんどんと進みます。「同じの」と言えば、奥の棚からスッと出てくる。おかげでペースが早くなります。

 本格的に飲むために、このわたをいただいてみました。海鼠の腸のしおからですが、実は初めてです。おお、これはうまい。お酒にぴったりですねえ。

 気がつくと他のお客さんは帰られた様子、お店の縄のれんもしまわれていました。結構長居したようです。ごちそうさま、と言って店を出ます。

 酒屋から始めて、居酒屋になり4代目。伝統の美学が守られている、噂通りのいい居酒屋でした。また来ますね。

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