打ち合わせ+ぽち研

 中部国際空港から名鉄を乗り継ぎ、有松の駅を降りた瞬間。

「あ、だめだ」

 とあきらめてしまった。何をか。ジーンズとスニーカーをはくことを、である。それくらい名古屋は暑かった。

 幸い、駅の目の前にスーパーがあったので、そこで短パンとサンダルを買ってはきかえた。こういうときの行動は素早いのである。

 スーパーの出口で女の子が配っていたうちわでパタパタと顔をあおぎながら駅前ロータリーにぼうっと立っていると、ジムニーに乗ってMさん夫妻が颯爽と登場。これからMさんの勤める大学で、共同研究の打ち合わせをするので、迎えに来てくださったのだった。

 昼食は駅から少し離れた「寿限無茶屋」。冷やしうどんに味噌(もちろん、八丁味噌のたれ)をかけた定食を食す。美味なり。

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 研究室には冷房完備。こういうときには札幌を恨めしく思う。9月に開かれる学会での発表の打ち合わせ、来年の学会での発表担当決め、それに実験の確認。言いたいことを言うためのデータを手に入れるには?難しい。

 ぼちぼちと切り上げて、Mさんのご令嬢を保育園に迎えに行く。5月にも会っているが、そのときにはハイハイだった子が、掌を天に突きあげて1歩、また1歩と両の足で大地を踏みしめている!

 ご令嬢を含めて4人で向かった先は、今回のぽち研(発達・(ぽち)理論研究会の表向きの愛称)が開かれる宿のある名古屋港。暑いとはいえ、海へ吹く風が心地よい。

 宿で残りの参加者と合流。Kさん、OTさん、OSさん、Fさん。みなさん忙しそう。

 まずは親交を深めるべく、名古屋港へ来たら毎回行く居酒屋「風来坊」へ。名物手羽先をもりもりと食べる。Mさんご令嬢はスプーンを器用に使ってポテサラ、フライドポテト、トマト、おにぎりを召し上がっていた。たくさんの相対的に若い人たちに囲まれて、終始ごきげんのご様子でなにより。

 宿へ戻って近況を語り合い、また研究会の方針についても語り合った…はずであるが、飛行機に乗るのに朝5時に起きた反動がきてすぐにダウン。夢うつつでみなさんの話を聞いていた。

 明けて研究会の開始。今回は3月に引き続き、アレント「人間の条件」。

 自分の担当する4章は「仕事」。人間は変化に耐える道具を作り出してしまえた-そういう性質をもつ人間を彼女は〈工作人〉と呼んだのだが-がゆえに起きたもの"として"人間の歴史を眺める。

 5章を担当する人がまだ到着していなかったりなんだりするので、とばして6章。の前に昼食。

 名古屋港水族館そばの喫茶店にて。はじめて「あんかけスパ」なるものを食す。ちょっとモダンにおいしくした給食のようだ。

 さて6章。アレントは「現代」をどう理解するのか。彼女にとって現代とは、個人があらゆる社会的出来事の根拠となる時代である。そのときの個人とは、内的水準において世界を観察し、仮説を立てていく存在であり、同時に、至高の目的である生命を「所有する」と目される存在である。と、このように理解した。

 2時になってNさんが途中参加。しかしぼくは飛行機に乗るため3時に宿を発たねばならない。ここでお別れ。

 中部国際空港は夏休みの帰省客やら旅行客やらでごったがえしていた。これまではそういう時期を意図的に避けていたので、「帰省のピーク」なるものを体験したことがなかったのだが、体験しなくてもいいものだということを知った。

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