北千住居酒屋ツアー

 先週、実家に帰省していたおり、東京在住のS氏と、北千住にて居酒屋ツアーを決行しました。

 なぜ北千住か。実はこの街は、斯界の強者をうならせる名店が軒を連ねていることで有名なのです。
学生時代に北千住に寄る機会は幾度もありましたが、なぜか暖簾をくぐることはないまま、私は北に去ってしまいました。しかし、
いろいろと情報をあさるにつけ、この街で飲みたいという欲望がむくむくと。そこで、私のたっての願いを入れてもらい、
3か月の南米旅行から帰ってきたばかりのS氏をまきこんでのツアーと相成った次第。

 夕方4時にJR北千住駅に集合。お互いの近況について交わしながら最初の店を目指します。

 目指すと言っても、丸井のある西口ロータリーを渡ってすぐの路地に入ればすぐにその店があります。そのお店、「千住の永見」
は3時半開店。すでに1階のほとんどのテーブルはおじさんで一杯でした。

 奧に空いていたテーブルに通され、すぐに瓶ビールを頼みます。出てきたサッポロラガーをコップに注いで、乾杯!

「カ~ッ、うまい!」

 日中暑かったこともあり、のどを潤すべく、すぐに2杯目に進みます。

 このお店のことは、「酔わせて下町」という斯界では著名なサイトを通して知りました。そこで”名物”と称されている千寿揚げ
(ニンニク入り)を頼みます。それに、煮込みとガツ刺し、ポテサラなどを追加。

 千寿揚げはすぐに来ました。すり身をアツアツに揚げた中にニンニクの香ばしさがたちのぼり、これは美味しい。

「いい店ですねえ」「居心地がいいから、ここにずっといましょう」

 いえいえ、どうせですから、北千住と言えばここ、というお店にも行ってみましょう。後ろ髪ひかれる思いでお勘定をし、
そこへ向かいます。

 「大はし」は常磐線と平行に南北に延びる駅前商店街に構えた一軒屋。噂では4時半の開店を前に行列ができるということで、
最初の客が腰を上げるであろう6時前をねらって行ったのでした。

 引き戸を開けると、左手に鈎型に曲がったカウンター、右手にテーブルが6卓ほど。噂に違わず人で一杯の様子。カウンターに立つのは、
ご主人と、息子さんでしょうか。「いらっしゃい、そこに座って待ってて」と威勢のいい声をかけてくれました。
運良く1分ほどでカウンターに2人分が空き、そこに滑り込みます。

 滑り込むが早いか、ご主人がお通しの皿と箸をカウンターに並べます。

「なんにしましょ」「じゃあ、焼酎をボトルで」「あいよぅ」

 ここは俗に「キンミヤ」と呼ばれるものを出してくれます。なんでも、宮崎の方の蔵だそうですね。ボトルとともに、
アイスペールと炭酸、それにウメ割り用のシロップがかわいい瓶に入って出てきます。

「ではあらためて」「乾杯!」

 何はさておき、ここでは豆腐を食べねばなりません。カウンター奧の天上から下がった「牛にこみ」「肉とうふ」
の垂れ幕が食え食えと言わんばかりです。

 ご主人も、息子さんも、店のあちこちで挙がる手に威勢よく「あいよぅ」と応えて、注文をさばいています。
キビキビという言葉はこのお二人のためにあるのでは、と思うほど動きが素早い。それでいて、常に目が店全体に配られていますので、
ちょっと顔を向けて手を挙げればすぐに気付いてくれるのです。

 肉とうふに煮込みはもちろん、赤貝刺身とキモ、生桜エビなど思う存分いただきました。ボトルも空になり、ちょうどいい頃合い、
入り口に目をやると何人かが順番を待っています。ここも後ろ髪ひかれながらお勘定です。滞在は1時間半くらいでしたでしょうか。

 入るときにはまだ帰宅途中の高校生ばかりだった街も夜の顔になりつつあります。ここらでゆっくり腰を落ち着けて、
いろいろなお酒を飲みましょう。商店街からちょっと路地にそれると、なんでこんなところに、
というような場所にバーやら居酒屋やらが建っています。よさそうな所を物色していると、「マグロ脳天入りました」
という札を軒から下げた店が。「マグロ脳天」に引きつけられない人はいませんね。

 そのお店、「旬ダイニング庵
に先客は1人のみでした。カウンターに腰を下ろし、S氏とめいめい好きなお酒をやります。
もうこの頃になると何を食べたのか思い出せないのですが、脳天は確かに食べました。獣っぽさをもったトロ、とでも言いましょうか。

 さて私、10時に東京駅八重洲口から出る高速バスで帰宅しなければなりません。時刻は9時。ちょっとでも東京に近づいておくため、
上野に移動しました。

 と言っても駅を出てお店を探しにうろつく時間もありません。こんなとき、ちょうどいい所があります。
上野駅浅草口を出て目の前にあるアイリッシュ・パブ、「Stasiun」(スタシェーン)。駅のこの場所にできて、
もう5~6年は経つでしょうか。常磐線の最終までねばるのにだいぶお世話になりました。

 2人で飛び込み、ギネスのハーフをのどに流し込みます。ここでタイムリミット。

「ぼくはここでもうしばらくやっていきます」とS氏。再会を期して別れました。

 こういうツアーにつきあってもらえる友達がいるのは本当にありがたい。またやりましょう!

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