ケテスタだって

 私の現在のサブテーマは、幼児期における音韻意識の発達過程に関する研究である。

 このテーマを扱った先行研究には、幼児に対して介入プログラムを実施するものが少なくない。そういうのを読むと、たまあに、
がちっと組んだ実験がしたくなるわけで、そのへんは母校の”意”伝子のなせるワザであろうか。

 そんなわけで、身近な子どもたちに協力してもらって、いま、ちょっとした実験を繰り返している。結果発表は9月になる予定だが、
うーん、思うような結果が出てこない。そういう悩みもまた楽しさなのであるが。

 で、今日も今日とて実験を終えて研究室に戻ったのだが、そのときにふと思い出したのが掲題のセリフ。ご存じ、『ドラえもん』
にてジャイアンがのたまわったものである。

 ドラえもんの出した秘密道具に「コエカタマリン」という薬がある。この薬を飲むと、出す声が大きな文字となって固まるというもの。
マンガのお約束である、いわゆる書き文字を「声が固まったもの」と見なすという、考えてみればむちゃくちゃな秘密道具である。

 小さくなれる潜水艦で金魚鉢の水の中にもぐったまま大きく戻れなくなったのび太とドラえもんが、コエカタマリンを飲んで叫んだ
「助けて」が、「タ」「ス」「ケ」「テ」という文字の塊となって水中を漂う。それを見た剛田先生が「ケテスタだって」と言う。

 大昔に読んだマンガなのに、なんか俺、いやに覚えてるなあ。

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