卒園式

 北大教育学部には附属施設として子ども発達臨床研究センターなるものがあります。
そこでは研究の一環として4~6歳児の保育がなされています。いわゆる「北大幼児園」です。で、今日はその年長さん組の卒園式でした。

 とある事情でぼくの研究に協力してくれた子が卒園生の中にいるので、個人的に感慨もひとしおです。

 2年前の入園直後のその子の様子を振り返ってみると、何をしたらいいのか分からず、ただ突っ立っているだけといったふうでした。
 

 2年経った今では、何事も先頭に立って他の子どもたちと一緒に活動するような、そんな子になりました。

 この変貌ぶりはひとえに保育を担当されている先生方や仲間の子どもたちの力というものが大きいわけですが、当の先生も
「あの子があんなことまで!」とびっくりされていたようです。

 そんな子どもの姿を見るにつけ、言葉の発達がどうとかこうとかなんて、
その子にとってはほんとにちっちゃな側面を切り取ったに過ぎないということが分かってきます。

 しかしまた裏を返せば、そうした大きな、言ってみれば人格的な変化に埋め込まれたものとして、子どもの言葉の発達を見る必要がある、
ということなのでしょう。

 壇上に立ち、先生方から卒園記念品を受け取ろうと待つ。その子の今の「突っ立ち」は、2年前の4月の、
部屋の真ん中での「突っ立ち」とは形式的には同じですが、その子にとっての意味は、おそらく違います。

 当たり前ですが、その子のその変化はもう二度とやってきません。かけがえのない2年間の、そうした貴重な変化のときを、
ほんの少し共有できたことを嬉しく思います。

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