(あえて)無題

 本日、ほぼ18:05より、きっかり30分間、日本全国津々浦々あわせて497,508人がいっせいに沈黙した。

 まったくの静寂につつまれながら、かれらの耳にはイヤホンがつけられ、その目は前に置かれた紙と中空を往復し、その手はせっせかと紙の上の円の列を黒く埋めていった。

 こういう状況が全国735の場所でいっせいに起こったのである。

 さて、ここで説明されているのはいったい何か。

 正解は、平成19年度大学入試センター試験第1日目英語リスニングテストである。

 今日明日とセンター試験が開催される。不肖私、昨年は試験本部を担当したのだが、今年は室内監督員となった。受験生の皆さんをびしばしと監督する役目である。監督員は初めての経験である。

 問題用紙と解答用紙を配り終えた後はさしたる仕事もないため、机間巡視をするか、窓の外を眺めるか、空想に耽るかしかない。あとは、受験生の持っている受験票を確認しながら、「お、昭和64年1月7日生まれ(昭和最後の日)」とか「お、○○○○(知り合いの名前)」とか、ささやかな発見をするくらいである。

 そんななか、本日、センター最大の山場、リスニングが実施された。なにしろ1件でもトラブルがあれば、再開テストの可能性がある。そうすると再び30分のテストを繰り返さなければならない。受験生にも監督員にもひどくスリリングなことである。

 天に祈りながら待つ30分は長かった。無事に終えて本部にて解散。また明日、である。

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