缶詰会議室

 学部ではうんちゃら委員会というものに入っている。そのうんちゃら委員会が取り仕切る、学部編入試験がようやく終わった。今日などは朝8時半から夕方6時半までほぼ半日小さな会議室に缶詰になっていた。

 思うに、編入学とはチャレンジする学生にとってはとてもリスキーなものであろう。

 1年次から本学に入った者にとっては、この大学を生きていく上での勘所のようなものに慣れる期間が十分に与えられる。そのようにして慣れた頃、彼らは学部の専門課程に突入するのである。2年間の恋愛を経ての結婚のようなものである。お互いの良さ悪さを知悉した上で本格的な勉学へ向けた契約を交わし、ゼミに輿入れするわけだ。

 しかし編入学生はいきなり学部専門課程から始まる。したがって、この大学のサバイバルスキルと専門的思考法の両方を同時に習得しなければならない。もちろん、編入する前に在籍していた大学で暮らす上での知恵が活きてくるところもあろうが、限定的なものだろう。ある日お見合いをして、そのまま結婚生活に入るようなものである。これまでにつきあった異性からある程度予想はつくとはいえ、相手は固有の存在なのだ。つきあってみなければ分からないことはいくらでもある。それに我慢できるかどうかだ。

 もちろん、どちらの場合でもうまく行く場合もあればそうでない場合もある。ただ、1年次からの入学の場合、そうでない場合の修正期間に余裕があるものの、他方ではそのような余裕がない点で大きく異なる。

 したがって、編入学生を受け入れる教員には、かれらの現状を速やかに判断し、何か問題があれば素早く対応するだけの教育的力量が求められる。必ずしもすべての教員がそのような力量を保有しているわけではないので、学部うんちゃら委員に対してもある程度の介入権が与えられている。

 それがこの試験である。

 詳しくは申し上げられないが、合格した方々とは短い間でも円満な関係を築きたい。

 そうそう、円満な関係と言えば、土曜は横浜へ、中学からの友人Oの結婚披露宴に参加してきた。もちろん二人は十分にお互いを知った上での結婚である。おめでとう、つらいことがあっても二人なら乗り越えていけると思うよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA