謹賀新年

 新年あけましておめでとうございます。  ただいま実家に来ています。ここ、茨城は穏やかな晴天です。北海道や日本海側では雪で荒れているようで、大変そうです。帰ったら車を掘り出さねば。

 紅白も何も見ずに、持ってきた仕事にひたすらかかっておりますよ。と言っても、アマネと遊ばねばならないし。本日はこれから妹夫婦と子どもたち2人がやってくるので、そちらとも遊ばねば。

 それではみなさま、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 伊藤 崇

第2回学習と発達研究会詳細

 昨年に引き続き、学習と発達研究会を開催します。

 期日: 8月7日 10時~18時
 場所: 北海道大学人文・社会科学総合教育研究棟 W508

 検討する本は以下のものです。

 Sawchuk, P. H., Duarte, N., & Elhammoumi, M. 2006 Critical perspectives on activity: explorations across education, work, and everyday life. New York : Cambridge University Press.

 報告する章およびレポーターは以下のように予定されています。そのほか、追加で報告される章もあるかもしれません。

  • 2 Is there a Marxist psychology? / Mohamed Elhammoumi (保坂 北大教育学院)
  • 3 The cultural-historical activity theory : some aspects of development / Joachim Lompscher(杉山 北大教育学院)
  • 5 The importance of play in pre-school education : naturalisation versus a Marxist analysis / Alessandra Arce (川俣 北大教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター)
  • 7 “Our working conditions are our students’ learning conditions” : a CHAT analysis of College Teachers / Helena Worthen and Joe Berry(佐藤 北大教育学院)
  • 10  Values, rubbish and workplace learning / Yrjo Engestrom(伊藤 北大教育学研究院)
  • 11 Education as mediation between the individual’s everyday life and the historical construction of society and culture by humankind / Newton Duarte(伊藤 北大教育学研究院)

 オブザーバーも歓迎です。ふるってご参加ください。なお、終了後、懇親会を開催する予定です。こちらもよろしくお願いします。

【案内】ヴァルシナー教授講演会のお知らせ

 北海学園大学の小島康次先生より、掲題の講演会のご案内をいただきましたので、ここでもお知らせいたします。以下、そのご案内からの引用です。

講師:イアン・ヴァルシナー(米国クラーク大学教授)
演題:「精神世界と物質世界における聖具―文化の”可視的な面”と”不可視な面”」
(通訳はつきませんが、所々で内容の要約をします)
場所:北海学園大学 7号館 D31番教室
日時:平成19年8月21日(火) 
  講演   14時~15時30分
  休憩   15時30分~16時
  セミナー 16時~17時30分
参加費:無料

懇親会 18時30分~(サッポロビール園:屋外炭火焼ビヤガーデン)
 会 費 4,500円

 イアン・ヴァルシナー先生は文化心理学を専門とする碩学で、心理学史についても造詣の深い研究者として知られています。理論的な研究発表の場として評価されている専門雑誌Culture and Psychologyの編集責任者でもあり、今般、帯広畜産大学で開催される日本性格心理学会に招待講演者として来日されるのを機に、札幌でも講演、セミナーをしていただくことになりました。文化心理学のもつ今日的意義、また、その応用可能性について、最新の研究成果を紹介していただく予定です。

*なお、セミナーは、参加者に5~10分程度のプレゼンテーションをしてもらい、ヴァルシナー教授からコメントをもらう形式です。発表希望者は北海学園大学、小島(kojima [at] elsa.hokkai-s-u.ac.jp)までご連絡ください。(引用者注: メールアドレスの[at]を@に直して送信してください。)
*懇親会に参加ご希望の方は、小島(上記連絡先)まで事前にお申し出ください。参加費(4,500円)は会場にて申し受けます。

 引用は以上です。なお、プレゼンテーションをする方(特に大学院生!)を広く募集しているとのことです。

速報:第2回発達と学習研究会開催のお知らせ

 さあさあ皆の衆。唐突ではございますが、読書会を開くことにしましたですよ。

 読むのは以下の本でございますよぉ。

 Sawchuk, P. H., Duarte, N., & Elhammoumi, M. 2006 Critical perspectives on activity: explorations across education, work, and everyday life. New York : Cambridge University Press.

Critical Perspectives on Activity: Explorations Across Education, Work, and Everyday Life
Cambridge University Press
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 んでもって、目次は以下のようになっておりますよぉ。

Introduction : exploring activity across education, work and everyday life / Peter H. Sawchuk, Newton Duarte & Mohamed Elhammoumi
1  Is there a Marxist psychology? / Mohamed Elhammoumi
2  The cultural-historical activity theory : some aspects of development / Joachim Lompscher
3  Epistemological scepticism, complacent irony : investigations concerning the neo-pragmatism of Richard Rorty / Maria Celia Marcondes de Moraes
4  The importance of play in pre-school education : naturalisation versus a Marxist analysis / Alessandra Arce
5  Estranged labor learning / Ray McDermott and Jean Lave
6 “Our working conditions are our students’ learning conditions” : a CHAT analysis of College Teachers / Helena Worthen and Joe Berry
7  Contradictory class relations in work and learning : some resources for hope / D.W. Livingstone
8  From labor process to activity theory / Paul S. Adler
9  Values, rubbish and workplace learning / Yrjo Engestrom
10 Education as mediation between the individual’s everyday life and the historical construction of society and culture by humankind / Newton Duarte
11 Activity & power : everyday life and development of working-class groups / Peter H. Sawchuk

 勝負の日は8月7日!火曜日!まだまだ脳みその起ききっていない朝っぱらから、そろそろのども渇くであろう夕刻まで、楽しい仲間たちと楽しい御本を読む予定でおりますよぉ。

 ビシッ、ビシッ、とナイスなコメントを飛ばし合う、談論風発、喧々囂々、諸行無常な集まりになるといいなあと企画者一同(2名)意気込んでおりますので、どうぞ皆の衆、今からカレンダーの8月7日の所に大きく赤で丸をビシッと書きこんでおいてくださいねぇ。

 そうそう、忘れるところでありました。あわせてレポーター募集でございます。

「ちょうど読みたかったんだ、こんな本」

 おお、いい反応ですねえ。

「この本買ってはいたんだけどねえ。本棚の肥やしになるところだったよ」

 あ!ぼくもそんな本たくさんもってます。同志、と呼ばせてください。

「一回読んだけど、また読んでみてもいいかな」

 私はあなたのような方が大好きです。

 まだ誰がどこを読むか、まったく未定であります。なにしろ「速報」でありますからねぇ。基本的に、「早い者勝ち」であります。レポーターご希望の方は、お名前と読みたい章を企画者(伊藤)まで、ビシッとお知らせくださいませねぇ。

 それでは。

【案内】 発達と学習研究会のお知らせ

発達と学習研究会(愛称 ハガ研)のお知らせ

第1回 言語と実践共同体論

 学習科学に関連したさまざまな文献を検討し、研究の底力を鍛えるための集まりを開きます。
 つきましては、第1回会合を以下の通り開催いたします。関心のある方の多数のご参加をお待ちしております。なお、レポーターも随時募集しております。

 ◇期日 8月9日(水) 10:00~17:00
 ◇場所 教育学研究科附属子ども発達臨床研究センター C302

 ◇検討する文献
 Barton, D. and Tusting, K. (2005) Beyond Communities of Practice: language, power and social context. New York: Cambridge University Press.

 Contents
 1 Barton, D. & Hamilton, M. Literacy, reification and the dynamics of social interaction.
 2 Tusting , K. Language and power in communities of practice.
 3 Creese, A. Mediation allegations of racism in a multiethnic London school: what speech commnities and communities of practice can tell us about discourse and power.
 4 Rock, F. “I’ve picked up some up from a colleague”: language, sharing and communities of practice in an institutional setting.
 5 Kreating, M. C. The person in the doing: negotiating the experience of self.
 6 Martin, D. Communities of practice and learning communities: do bilingual co-workers learn in community?
 7 Harris, S. R. & Shelswell, N. Moving beyond communities of practice in adult basic education.
 8 Lea, M. R. ‘Communities of Practice’ in higher education: useful heuristic or educational model?
 9 Myers, G. Communities of practice, risk and Sellafield.
 10 Gee, J. P. Semiotic social spaces and affinity spaces: from The Age of Mythology to today’s schools.

 参加希望の方、レポート志願の方は下記連絡先まで。
伊藤 崇(tito at  edu.hokudai.ac.jp  または 内線3293)

【案内】 運動と発達 勉強会のお知らせ

 7月31~8月2日に開講予定の佐々木正人先生の集中講義に先立ち、 生態心理学についての学習会を以下の予定で開催いたします。

日程 第1回 7月20日(木)17時~20時
    第2回 7月27日(木)13時~18時

場所 教育学研究科附属子ども発達臨床センター C302

 

 当日、集中講義のテクストである「ダーウィン的方法」をお配りします。(代金もいただきます。) それを補足するために以下の文献を読みたいと思います。

・ギブソン、J. J. 1992 山上暁(訳) アフォーダンスについての覚書 安西祐一郎・石崎俊・大津由紀雄・波多野誼世夫・溝口文雄(編) 認知科学ハンドブック 共立出版. pp.629-639.)
・リード、E. S. 2000 アフォーダンスの心理学 新曜社 pp.1-140
・ギブソン、E. J. 2000 知覚の発達のための生態心理学者のプロレゴメナ:機能的アプローチ 現代思想、28(5), 128-141.
・佐々木正人 2005 地面や空気から「心」について考えることもできる:早わかりアフォーダンス 岩波科学ライブラリー105 ブックガイド〈心の科学〉を読む pp.115-126.

 参加を希望される方は、下記連絡先まで。また、事前に文献を入手したい方もご連絡ください。

伊藤 崇(tito at edu.hokudai.ac.jp)

開闢二日前

 世に自然科学者と呼ばれる者が魅力を感じるフィクションのベスト10というものがあるとするならば、おそらく、Lewis CarrollのAliceと、JoyceのFWはどこかにランクインするだろう。

 自然科学者がアリスに惹かれる理由は、Carroll = Dodgsonが数学者だったから、ではない。Carrollは徹底して子どもに向けて書くことに努めた。数学者としてではなく、子どもを楽しませるおじさんとして書いた。ということは、子どもが惹かれる世界とは、結局のところ、科学者が惹かれる世界でもある、ということだ。

 たとえば、鏡である。左右は反転するのに、なぜ上下は反転して見えないのかという問いは、いまだに第一級の謎である。そしてまた、あべこべとは子どもがゲラゲラ笑い転げる第一級のジョークである。

 FWはどうか。

 FWが自然科学者好みだというのは、別に、Murray Gell-Mannが物質の極小構成要素にquarkと名付けたからではない。Gell-Mannは、名付けを与える前からFWを読んでいた。そして、それとは別に、構成要素に「クォーク」という発音を与えていた。だから彼は、FWにquarkという綴りを「発見」したのである。

 発見、それこそが、FWを読むという作業と、自然科学という作業の似ているところであり、科学者を惹きつける所以であろう。自然と同様、FWというテクストも、われわれの眼前に、ポンと投げ出されている。そしてどちらも、それ自身の構造を持つ。

 自然科学者は、目の前にありながら(そして自身、その帰結でありながら)いまだ判明していない自然の構造とその運動を探り、少しずつ何かを発見する。

 FWも似ている。FWはあいまいである。一義性からほど遠いからこそ、複数の解釈が同時に潜在することができる。ひとつの解釈を見出すと、そこから連想される別の事象へのリンクが発見される。そのリンクは潜在的にはすでにテクストに書き込まれていたはずだ。発見とは潜在性をひとつの現実態にするはたらきのことである。

 PCを生活や仕事の一部として、もう何年経つだろう。ブラウザを立ち上げた回数も数え切れない。それだけインターネットが生活にくいこんでいる、ということだ。

 しかしそれだけなじみがあるはずのものでも、日常的なネットサーフィンだけでは到達できない彼方がある。それはわたしからは見えなかっただけで、潜在していたことは確かだ。そしてわたしはそうした彼方を発見するだろう。FWの読解という作業を通して。

開闢七日前

物事は唐突に始まる、かのように見えるものだ。しかし実際には、見えぬところで準備的な振動は起きている。

地震だってそうだ。大地の微細な運動がつもりつもって起こる。決して超越的な鯰の意志が介在しているわけではない。

自身のウェブサイトに生活の記録を取り始めて4年になる。2001年の年も押しつまったころに始めた。4年間、実に取るに足らない、些細な運動に表現を与えてきた。

その表現を、少し違うスタイルに移し替えることにした。突然そういう気になったのだ。しかし実際には、やはり自身気がつかぬところで、スタイルに変化を起こそうとしていたのだろうと思う。

作り始めると簡単にできた。FTPとは何だ、とか、CGIとは何だ、とか、手探りでやっていた4年前とはだいぶ勝手が違う。

書く内容は以前と変わらぬ。日々の運動、購入した本のこと、など。

これに、付け加えることにした。Joyceの手になるFinnegans Wakeの読み解き記録である。できれば毎日、1、2行ずつ、ともかく原文を読む。

これがどういう本であるかはまだ詳しく書かない。次第に明らかになってくるだろうから。ただこうは言っておく。

かつてこの本を日本語に訳した柳瀬尚紀は、確かこう言った。Finnegans Wakeを読んでいると、当のテクストの外に広がるさまざまな事象に回路が開かれる、と。回路が開かれる?

外に回路を開いていくのは、WWWの得意とするところだ。そのために設計されたのだから。

私という輪転機を経て開かれていく回路を余すことなくここに書きつけていこう。そういう読みを許す本、否、そうしなければ読めない本なのである。

では。7日後にオープンする。

敬白