たまには外で

「原書講読」という,外国語文献を読む授業が大学にはありまして,私はそれを担当しています。

今年はW. JamesのPrinciples of Psychologyを読んでいるのですが,現在読み進めている箇所は9章で,思考を川の流れになぞらえている部分です。

その日の札幌は好天に恵まれ,爽やかな陽気。建物の中でエアコンつけてる場合じゃないなと,大学への出勤途中にとあることを思いつきました。

その足で生協へ向かい,地面に敷くピクニックシートを購入。

北大には正門を入ってしばらく歩いたところに「中央ローン」と呼ばれている空き地がありまして,そこには「サクシュコトニ川」という人工的な川が流れています(かつては本当の川が流れていたそうです)。その畔で,原書講読をやったらいいんじゃないか,ちょうど思考の流れについて読んでいるのだから川の流れを見ながらというのは理に適っているのではないか,と思いついたわけです。

受講生に話すと,やたら嬉しそうな人も,困惑している人もいましたが,そこはそれ,北大生といえばジンパ,構内でシートを広げて車座になることはお手の物です。

ということでぼくの方ではシートの他に,いちおう講義中だということを示す看板と虫除けスプレーを準備していざ開始。

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受講生にシートを渡して,「これで教室を作ってくれ」とお願いしたところ,ちょうどいい木の下を選んでくれました。

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そばを通る人が怪訝な顔で看板を眺めていくのが面白いですね。

いつもの原書講読では,議論のポイントをぼくの方で誘導することがあるのですが,今回は川の流れに身を任せるように話の流れに委ねてみました。最終的には,他人の脳を移植することはできるか?という面白い話題になったのでよかったと思います。

外に出て講義をすることは一度やりたかったので,ぼくはとても嬉しかったです。受講生の受けもそれなりによかったのではないかと。ただまあ毎回はできませんね。

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