家族とはどのような社会集団であろうか。
それは、一般的には、構成員が徐々に増加した歴史を持つ集団である。核家族を例に取ろう。はじめに、一組のカップルが成立したところから家族の歴史が始まる。この時点での家族の構成員は二人である。時間をおいて、カップルの間に子どもが誕生すると、構成員は三人に増える。以降、子どもが生まれるごとに構成員は増えていく。
無論、双子で誕生した子どもや、ステップファミリーなど、上記のモデルに当てはまらない家族は現実に多くある。しかしそうした多様性はここでは重要ではない。ここでは、時間の経過とともに人数が増加する集団という観点で考えてみたい。これは、多様性を越えた、家族の歴史の一般的特徴といっていいだろう。
時間の経過とともに人数が増加する集団においては、構成員の間で「一緒に過ごした時間」が異なるという事実がある。
家族においては、カップルは、第一子よりも、長い時間をともに過ごしている。第一子は、第二子よりも長い時間を家族三人で過ごす。言い方を変えると、二人で過ごした時間の上に三人で過ごす時間が重なり、三人で過ごした時間の上に四人で過ごす時間が重なっていく。このように、家族の場合は、一緒に過ごした時間が単に異なるのではなく、人数の増加とともにずれながら積み重ねられていくのが特徴である。