学術出版の行方

 しばらく前から、たけくまメモがそのエントリーのいくつかを費やして、マンガをめぐる出版システムの将来を構想していました。たとえば、最新の話は電子出版をめぐってのものでした。

「輸出産業」などともてはやされるマンガも大変なようですが、ながらく「輸入産業」などと揶揄されてきた人文社会系研究の学術出版は、さてどうなんでしょう。

 個人的な体験ですが、生協書籍部をふらふらしていて、何気なく「月刊言語」を手に取りました。言語学の一般向け雑誌としてはメジャーかつ老舗であるこの雑誌ですが、最近は背表紙のタイトルを見て買うかどうか決めていました。

 最新号は昨年の12月号。目次を読むとすべての連載が最終回を迎えており、特集もなんかしんみりしている。最終ページをめくると、「休刊」の2文字が。だいぶ前から報道はあったようですが、寡聞にして知りませんでした。残念なことです。

 版元である大修館も厳しいのでしょうが、そういう中でも「学びの認知科学事典」といった好企画も生まれている。

 一般的に言って、ナイスな企画を実現させるには、相当のノウハウ、人脈、そして知識と知恵もつ編集者という基盤が必要でしょう。学術出版社の社会的な役目にはそういう人材を育てることもあるのではと思います。このような基盤は大切な財産ですから、絶対にしっかりと残していただきたいし、私もおよばずながらそのお手伝いをしたいと思っています。(だから、「事典」は買いますよ)

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