『白痴』

 久々にDVDで映画を観る。

 黒澤明監督の『白痴』(1951年、松竹)。原作はドストエフスキーの同名の小説であり、舞台を札幌にうつした以外はほぼ原作通りのストーリーをなぞる。主演は原節子、森雅之、三船敏郎、久我美子。

 黒いコートに身を包み魔女のような立ち居振る舞いをする原節子と、終始おろおろしてばかりで何をしたいのかよくわからない三船敏郎が、新鮮であった。

 ストーリーや人物よりも、背景となる昭和20年代の札幌の町の姿の方がおもしろい。2月の雪深い札幌でのロケだったそうだ。

 冒頭にちらりと見える旧札幌駅舎。駅前にはまだ高いビルなどひとつもなく、市電はたくさん走っている。馬車もまだまだ元気だ。

 最近の札幌で暮らしていると、年長者の方から、雪が降っても「昔はこんなもんじゃなかった」という話をよく聞く。じゃあどんなもんだったんだろうと思っていたが、なんとなくわかった。なにしろ雪が屋根の高さまで積んであるし、つららは大根のように太い。除雪車もまだあるまいし、どうやって雪かきをしていたのだろうか。

 そんなところばかり気にしながら観ていた。

 

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