江戸一、宜野座、ドンキホーテ

 東京へ行って披露宴だけではもったいないと、2日ほど滞在していた。新宿に宿を取ったので、昨年訪れてずいぶんとおもしろかった店を再訪することにした。

 披露宴前日にはM先生と大塚の「江戸一」へ。斯界では名の知れた店。店の前で5時に待ち合わせるも、まだ暖簾は出ておらず。

 と、すぐに若い男性が暖簾を出した。口開けである。「コ」の字カウンターの一番奥に座り、ビールでのどを潤す。

 肴にはカツオ、クジラ、蚕豆、ホヤ。酒は白鷹の樽酒を。よしなしごとを話す。

 2軒目は名も知らぬイタリアンに誘われるままに。常陸野ネストビールが全種類そろっている。珍しいのでアンバーエールを。よしなしごとを話す。

 大塚の駅で上野方面と新宿方面に別れる。

 新宿駅から歌舞伎町方面へ。もう少し入るかなと、やきとり「番番」をのぞいてみる。グループとグループの間に1席空いていたのですべりこみ、生をもらう。煮奴、うど、串焼き。壱岐焼酎山乃守をお湯割りで。

 店を出てふらふらと。5丁目のホテルそばにある沖縄居酒屋「宜野座」。一度入ったことがある。飲んでいるそばで唐突に三線教室が始まって、勝手に混ぜてもらった楽しい思い出がある。

 靴を脱いであがる。テーブル席で足をのばしてのんびりとする。酒はもうさすがに入らず、うっちん茶をもらう。それに沖縄そばでシメ。

 ホテルに戻り、ベッドに倒れ込む。

 次の日、花園神社に参詣してその裏手を歩く。新宿ゴールデン街にはじめて足を踏み入れた。朝だから人通りはまったくないが、飲み屋の密集ぶりはものすごいものがある。この風景の写真を撮ってはいけないそうだ。商店街振興会の掲げた看板にそう書いてあった。

 午後からの展覧会、披露宴、2次会もつつがなく終わり、一人でタクシーでホテルへ。もう12時近かったが、ぜひもう一度行っておきたいバーが近所にあり、着替えて大急ぎでそこへ。

 バー「ドンキホーテ」。ながらく新宿で働いてこられたFさんが構える隠れた一軒。先客がいたが、入れ替わりで帰って行った。

 店に入って早々、「ああ、あんたは」と、去年、1度しか訪れていない私のことを覚えていてくださったふう。

 ここに来たらジンリッキーを飲まねばならない。すっきりしていて今夜にはちょうどいい。

 客足の絶えた深夜、Fさんと並んでたわいのない話を。松前のご出身だそうで、札幌に出てきてから、かの「やまざき」の山崎マスターのところで修行をされたのだそうだ。しばらくは札幌で雇われていたが、東京に来ないかとの誘いがあって、新宿にそのまま居着いてしまった。

「来た頃は駅の辺りは舗装もされていなくて、今みたいな賑やかさはなかったの。店のあるこのあたりは昔からの商店街でね、昔は駅から神社の脇を抜けてずうっとつながってたの。太い道ができてから分断されて、人の流れがすっかり変わっちゃった」

 店はずっと歌舞伎町にあったが、治安の悪さに嫌気がさして、現在の場所に居抜きで店を構えたのだそうだ。

 ホテルの門限に間に合うように辞した。とりあえず、気になっていた店は回ることができた。

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