夕食を大学そばの中華料理屋でとった後、久しぶりに、「我ん坊」に行ってみました。中華を食べながらビールを飲んで、気が大きくなっていたのでしょう。ほんの1杯ひっかけて、すぐに研究室に戻るつもりです。
以前は行かない週はないくらいに足繁く通っていたものですが、このところとんとご無沙汰でした。いったん行かなくなると、ちょっと気まずくなって行きにくくなっていたんです。
引き戸を引くと、奥から「いらっしゃい」の声。「どうも」と言いながらカウンターへ。先客が2組いたので、ちょっと気が楽です。
「子ども生まれたんだよねえ、そのときに来て、それっきりじゃない」とマスター。
そう。ここのすぐそばの産院でアマネが産まれ、その日に祝杯をあげに来たのがこのお店でした。あれから2年半、1度も顔を見せずにいたんですねえ。それにしてもマスター、よく覚えてるなあ。しばらく見ない間にあごひげにだいぶ白いものが混じってきたような。
七夕をお湯割りで、それと、タラ肝甘辛煮をいただきます。
店内はあいかわらず、阪神タイガースのグッズが所狭しと並べられています。カウンターの上に置かれたテレビからは「愛のエプロン」。居酒屋のテレビっていうのは、一人客には間が持てて助かるんですよ。
「子どもかわいいでしょう」
「今がいちばんかわいいんだよ、って言われるよ」
「いつまでもかわいいもんだよ」
世間話をしながら飲む酒は久々です。このところ食事はずっと一人でしたから。
「じゃ、行きます。また来ますね」
2年半ぶりの「我ん坊」。なにより、マスターが覚えていてくれたのが嬉しかったなあ。