液晶越しのご対面

 夕方5時頃に鳴ったケータイの電話は妻からのものだった。

「今からSTV出るから!テレビ見て!」

 はあ?研究室にいるんだから、テレビはないよ。

「ケータイのワンセグでいいでしょ、じゃ!」

 ああ、そうか。

 STVの夕方情報番組「どさんこワイド」には、絵に描いたものが何かを当てれば数万円もらえるというコーナーがある。
参加者は札幌駅南口をうろうろしている人で、当てるのは電話の向こうの知り合いである。

 一度見たことがあって、そのときの絵のお題は「土(つち)」だった。同じくこのコーナーを見たことのある院生に話を聞いたところ、
そのときのテーマは「虫さされ」だったという。この手のコーナーにしては難しい。

 先ほどのケータイは、そのコーナーに妻が参加者の一人として出るという連絡だったのである。

 この日集まったのは妻含め14人。絵を描くのはこのうち抽選で選ばれた1人のみである。そして選ばれたのは妻だった。
ケータイの画面の遠くから見た顔が2つ(もう一つはアマネである)のしのしと歩いてくるのを見たときは笑ってしまった。
絵を当てるのはぼくの知らない方。ママ友のさらにママ友らしい。

 制限時間は1分間。できたのは謎の一幅の絵。なんだろう?ケータイの画面を見ながら真剣に考えてしまった。

 答えは「きもだめし」だった。

 残念ながら賞金はもらえず。参加賞はまもなく関東に引っ越すというママ友の一人に差し上げたそうである。

 アマネの顔がテレビに写っただけでよしとしよう(親バカ三太郎である)。

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