28日から30日まで、ぽっちり研究会が名古屋で開催された。
ぽっちり研究会とは、世の中のぽっちりしたものに関心を寄せる研究者が、北は北海道、西は香川から一堂に会し、2泊3日で議論を戦わせるというものである。かつてはM研と言った。もちろんマツケンの世を忍ぶ名である。
今回は、アメリカで最近とみにぽっちりしてきたという噂で持ちきりの、ダニエル・デネット『自由は進化する』について討議された。
彼は自由という概念とのつきあい方を、この分厚い本の中で懸命に説こうとしている。自由とは、ダーウィン的アルゴリズムの上で連綿と転がってきた負け犬的生命体が選んだひとつの生き残り解決策である。これは、自由という概念を至上の善という不可侵の価値と見なすつきあい方からすると、驚くべき考え方だろう。
デネットは本書最後の数章で、ヒトにおいて自由の生じたきっかけを、コミュニケーションと言語に置いた。ある一定のコミュニケーションパターンを選択するように進化したとすれば、現在のヒトのような種が生まれるはずだというロジックである。なるほど、確かにそうかもしれない。
読書は粛々と進み、3日で1冊を読み終えた。なお、夕食には2日とも手羽先を食べた。
この研究会では、このたび本を出すことが決まった。世の大学生の一部が泣いて喜ぶ企画である。そのための悪巧みもなされのだった。