秋味、というのは鮭の別称である。しかし北海道では8月下旬ごろから鮭が出回り始めて、秋の味というにはちと早い気もする。
昨日堪能したのは鮭ではなく、秋の味。
日曜の道心シンポは認定心理士会の研修もかねていたらしく、講師料というのが出た。あぶく銭はさっさと使うに限る。そこでなじみの三徳六味に出かけた。
祝日の前日だけあって大盛況。辛うじて空いていた一席に陣取り、生ビールで喉を潤す。マスターも奥さんも忙しく立ち働いているので、手が空くまでじっくりとメニューを眺める。
メニューはすっかり秋めいている。とりあえず3品。かぼちゃ豆腐、翡翠銀杏、それに、おお、牡蠣だ。牡蠣が出始めたのだなあ。聞くと昆布森産とのこと。厚岸のそばだそうだ。身が貝殻いっぱいにつまっておいしそう。これを焼いてもらう。
かぼちゃ豆腐はねっとりと甘く、上に乗ったかぼちゃの種がアクセントになって楽しい。銀杏は、どこの居酒屋でもあると頼んでしまう一品。ビールにも酒にもあう。牡蠣の身はむっちりと、噛み切ると中から白い汁がほとばしる。海のミルクとはよくぞ言ったものだ。
ひととおり楽しみ、ここからが佳境。越乃景虎、それに〆張鶴をすする。どちらも新潟のお酒らしく、飲み口は水のごとく、しかし、口中から鼻にかけて華やかな香りが残る。景虎の方がどっしりとしているだろうか。
順番がむちゃくちゃだが、最後にお造りをもらう。愛媛であがったというもみじ鯛。空輸してきたのだとか。真鯛なのだが、夏の終わりから秋口にかけて、紅葉の季節に食べる鯛をもみじ鯛と特に呼ぶらしい。ちなみに、桜の季節に食べるのは桜鯛。
さて、おあいその前に、家で待ってる妻に、奥さんお手製のなめらかプリンと、栗の渋皮煮をおみやげでいただく。これをしないと恐ろしいことになる。
いずれにも紅葉の葉を散らし、目で楽しませ、そして舌で楽しませる。堪能しました。ごちそうさまでした!