行き着く先の居酒屋

札幌を訪れた方を食事にお連れする際にはご案内できないものの、個人的にはいちばん落ちつく店というのがある。

このところ毎週訪れているのは、札幌の飲んべえならば誰もが知っている老舗「第三モッキリセンター」である。

早番で入っているおねえさんに、もう顔を覚えていただいた。それくらい通っている。

瓶ビールを一本、それに枝豆と何か(だいたい、サバ煮か串カツ)。それを空けたら燗酒に何か(だいたい、生揚げか身欠きニシン)。それでだいたい1500円前後である。

早い時間に行くと、常連とおぼしき年配男性やカップルがぽつぽつとそれぞれのスタイルで飲んでいる。それを眺めやり、聞くともなしに話を聞いていると十分に楽しい。

6時過ぎに入るとカウンターはぎっしりで(札幌には珍しい、コの字カウンターである)、4人掛けテーブルで相席もしばしばである。

何かうまい名物があるわけではない。ウインナーはシャウエッセン、餃子は紀文と堂々と品札に書いてある。ビールはアサヒとヱビス、酒は白鹿(正確にはもう少し種類がある)。昨今の銘酒居酒屋や料理自慢の飲み屋とはまったく一線を画している。

だが、この年になるまでいろんな飲み屋を経験した身からすると、もうここでいい、いや、ここがいい、と思わせるたたずまいがこの第三モッキリセンターにはあるのである。

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