他の人の本に誤植が多いなどと文句をつけているヒマがあったら自分の書いた本を見直せとおしかりを受けそうだ。
先日出版された「発達心理学・再入門」の自分の担当章に誤訳があった。それも相当影響が大きな部分。人名である。
私が担当したのは,Peter Eimasらによる,乳児の音声弁別研究に関する章である。
私はEimasの名を「エイマス」と日本語に置き換えた。
これは,なんとなく「エイマス」という表記をどこかで見た記憶があったためで,疑うことなくそのまま文字にした。
出版された後から,ある人から「“アイマス”じゃないの?」とご指摘があり,驚いて調べてみると,「アイマス」と表記する文献を見つけた。
すでにそのような表記が定着している以上,私の訳は混乱をもたらすだけである。なんらかの対応をとらねばなるまい。
外国人名については悩ましく,正直に申し上げれば,自分の担当章にあらわれる人名のうち,表記に自信のないものがいくつかある。これらももう一度確認する必要があるかもしれない。
ギョオテとは俺のことかとなんとやらとは言うものの,人に売るものがそんな調子ではよろしくない。
そういうわけで,ご購入された方には,心よりお詫び申し上げます。言うまでもなく,私が担当する箇所の誤りの責はすべて私にあります。