大教室で講義をするために(1)

履修登録者200人を超える講義を,半期のさらに半分だけ担当しました。その際にいくつか工夫をしたので,何をしたかメモしておきます。

1. 出欠確認

私のつとめている大学では,1年生は通常,学生証を兼ねるICカードを各教室に設置されたカードリーダに読ませることで出欠確認を行います(各学部に分属された2年生以降は,その学部の入っている建物次第で,教室にリーダがあったりなかったりします)。

私が担当した講義でもICカードによる出欠確認をおこなったのですが,それと並行して,今回新しく導入したのが,私が個人で借りているサーバ上で動くウェブ調査用のシステムであるQCAS(Questionnaire Construction and Administration System)を援用した出欠確認法でした。


QCASは現在中部大学におられる水野りか先生が作成されたシステムです。本来の使い方としては,質問項目に対してリッカート尺度で回答させるような質問紙調査をウェブ上で行うことが想定されています。

便利なことに,このシステムは自由記述による回答も可能な仕様であったため,多くの講義で採用されているようなコメントカードとしても使えるのです。

論より証拠,実際に作ってみたのがこちらです。学生番号,氏名,感想があればそれを回答できるようにしてあります。

受講者は自前のスマホやケータイを使ってこのシステムを利用し,出席した旨を報告します。ちなみに,感想は書いても書かなくてもよいこととしました。書かなくてもよいとしたのですが,半分以上の受講者が感想を書いてくれていたのがとても嬉しかったです。

スマホやケータイでこのシステムにアクセスする際に,講義の回ごとに変えているURLをベタ打ちしてもらうのも大変なので,毎回レジュメに当該のURLへ誘導するためのQRコードを掲載しておきました。受講者にとっては「QRコードで出欠をとる」というのが新鮮だったようです。

講義終了後,サーバから結果のデータをダウンロードします。単純なcsv形式のデータなので,テキストエディタでもエクセルでも読むことができます。データのサンプルは図1のような感じです。

sample14021401.jpg

図1 QCASを用いて作成された出席および感想のデータ(黒塗りの部分は学生番号,氏名が書かれている)

データの左から,回答端末の種類,回答日時,学生番号と氏名,感想の順です。1行で1名のデータなので,受講者の人数分,このリストが続きます。

ここからは,出欠確認を私がどのようにしていたかの裏側です。

まず,データをエクセルで読み込みます。csv形式なので,上記の項目ごとに列で区切られたシートができあがります。

次に,学生番号と氏名の列を基準として並べ替えをします。こうすることで,大学の教務システムの履修者リストとつきあわせることができます(履修者リストも当然学生番号順に並んでいるので)。

たったこれだけで,出欠確認をおこなうことができます。紙の出席確認カードであれば相当時間がかかる作業なのですが,このデータに基づいてエクセルのソート機能を使えば一瞬です。

また,今回,私はすべての感想ひとつひとつにコメントを返すことを心がけました。多くの講義では,前時に出た感想に対して本時において教員がコメントを返すことをしていると思います。私も時間が許せばそうしましたが,今回の講義では映像を見せるという時間帯を確保しなければならない関係で,感想や質問に対して講義中に返答できない可能性がありました。

そこで,「サポートサイト」を設置し,そこに受講者からの感想や質問とともに私からのコメントをすべて掲載することにしました。このサイトには講義中に配布したレジュメや資料も置くこととしました(その代わり,資料の再配布はしないので,各自ダウンロードするようにと伝えました)。受講者には講義のオリエンテーション時にこれらのことを伝えるとともに,感想や質問をネットに公開されたくない場合は,その旨もあわせて回答してほしいと伝えておきました。今回は,そういう方は2名だけでした。

サポートサイトに掲載する手順ですが,まず,感想や質問を文字の長さ順に並べ直します。これもエクセルを使えば一発です。

次に,感想の列の隣にコメントの列を作り,私の方で記入していきます。この,コメントを書くことがとても時間がかかりました。

最後に,それをすべてサポートサイトにアップします。

QCASは以前から手に入れていて,何かに使えないかと思っていました。今回出欠確認用に使ってみましたが,思ったよりも便利なものだと感じました。水野先生に感謝申し上げます。

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