言語科学会に行ってきた

 土日に調布の電気通信大学で開催されていた言語科学会に参加してきました。といっても発表してきたわけではなく、情報を収集してきたわけですが。

 言語科学会の初代会長が大津由紀雄先生だったことがあって、チョムスキアンのイメージがどうしても強く、なかなか足が向かずにおりましたが、自分の研究を対外的に発表する場を広げるためにどんなもんか確かめに来たのです(なんだか偉そうですが)。

 自分の関心に近い発表ばかり目に入ったせいなのかもしれませんが、言語獲得研究の中でもインプットの性質についてナチュラリスティックに調査した研究が目立ったように思います。

 たとえば複数の言語を話す子どもが家庭などでどのようにコードスイッチングしているのか、あるいは逆に、そのような家庭で親が子どもに対してどのように話しかけているのか。

 ナチュラリスティックな調査の宿命ではありますが、どうしても少ないケースしか相手にすることができない。で、そうしたデータをもってどのように説得力を持たせるかが鍵となります。このあたり自分も自戒を込めているわけですけれども、やはり理論が背景にある必要があります。

 もちろん言語獲得はものすごく複雑な現象ですから、理論化にはまだ早く、現状は博物学的に現象のリストアップをし続けなければならない段階なのかもしれません。

 このような状況を見るに、大津先生がかつて、インプットのナチュラリスティックな調査には理論がないと批判したことを思い出します。そして、言語学が科学であるためには理論が必要だと強調していました。

 かつての自分はそれに対しててやんでえと思っていましたが、最近ではそうかもねと納得するようになってきました。

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