Nスペ

 現在NHKに対する視聴者の風当たりが強まっているようだが、ぼくはいくつかの理由で、なんとかNHKにはがんばっていただきたいと思っている。

 理由のひとつが、タイトルに挙げたNHKスペシャルをはじめとするドキュメンタリーを見たいからである。受信料を投げ銭と考えたら、払うに値する、良質なものを観ることができると思う。

 先日放送された、免疫学者の多田富雄さんの現在を取材したNスペもよかった。脳梗塞で倒れてから右半身不随に。喉の辺りの麻痺も残ったようで、言葉も出ないし、食べ物を飲み込むのも難しいようだ。よだれをたらした姿はお世辞にも格好いいとは言えなかった。

 それでも多田先生は(謦咳に接したことなどあるはずもないが、あえて先生とお呼びしたい)倒れるまでは使わなかったというパソコンを覚え、それから6冊も本を書き、新作能も(この方は能もするのだ)数本書いた。

 5年越しの原稿がどうだとか言ってる場合じゃない。俺はこんなことでいいのか。泣けてくるよまったく。

 そのあとで観たNHKアーカイブスの宮沢賢治もよかった。1992年の放送だそうだが、賢治の教え子さんが矍鑠としておられ、農学校時代に賢治が作って学生と歌ったオペレッタを再現してくださっていた。『星めぐりの歌』など、賢治は歌もいいのである。

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