すすきのを歩く―「北海道の居酒屋の真髄を探る」第3/4回

一般教育演習「北海道の居酒屋の真髄を探る」第3回と第4回の2回にわたり,札幌ひいては北海道随一の繁華街「すすきの」の歴史と現在を調べました。

中洲やニューヨークと並ぶほどの勢いあった夜の街,すすきの。このきらびやかな街がいかにできあがったのか。そのヒントを現在のすすきのの街をながめて考えてみるワークをしてみました。

第4回演習には,専修大学の上平崇仁先生がゲストでお越し下さいました。ありがとうございました!

第3/4号通信

居酒屋のイメージとは?―「北海道の居酒屋の真髄を探る」第2回

なにごとにもイメージはあります。

イメージを作り上げるものとしてはメディアからの情報があります。

私たちは居酒屋についての情報を様々な媒体を通して日常的に取り入れています。

居酒屋のイメージはどのような情報で構成されているのでしょうか。

「北海道の居酒屋の真髄を探る」第2回は,受講生の考える居酒屋のイメージをはっきりと表している視覚的資料を持ってきてもらい,自分のもつイメージをプレゼンしてもらうことにしました。

この活動を通して,①自分のもつイメージを自覚する,②イメージに適合する情報を探索する,③イメージについて他者に説明する,という課題に取り組んでもらうこととなります。

10名のプレゼンをすべて聞いて思ったことは,若者の居酒屋イメージは「人」の要素が強いということでした。やはり居酒屋は「場」なのですね。

詳細をまとめた通信を作成しました。ご笑覧ください。

2号通信

一般教育演習「北海道の居酒屋の真髄を探る」が始まりました

私が担当する,1年生向け演習のタイトルが掲題のものです。半年をかけて,北海道内にある居酒屋について深く学んでいただきたいと考えています。

毎回の演習終了後に,振り返りをかねて「居酒屋の真髄通信」を作成する予定です。さっそく第一号通信を作成しました。

色物のように思われるかもしれませんが,とても真面目な狙いをもった演習です。半年間温かく見守っていただければ幸いです。

行き着く先の居酒屋

札幌を訪れた方を食事にお連れする際にはご案内できないものの、個人的にはいちばん落ちつく店というのがある。

このところ毎週訪れているのは、札幌の飲んべえならば誰もが知っている老舗「第三モッキリセンター」である。

早番で入っているおねえさんに、もう顔を覚えていただいた。それくらい通っている。

瓶ビールを一本、それに枝豆と何か(だいたい、サバ煮か串カツ)。それを空けたら燗酒に何か(だいたい、生揚げか身欠きニシン)。それでだいたい1500円前後である。

早い時間に行くと、常連とおぼしき年配男性やカップルがぽつぽつとそれぞれのスタイルで飲んでいる。それを眺めやり、聞くともなしに話を聞いていると十分に楽しい。

6時過ぎに入るとカウンターはぎっしりで(札幌には珍しい、コの字カウンターである)、4人掛けテーブルで相席もしばしばである。

何かうまい名物があるわけではない。ウインナーはシャウエッセン、餃子は紀文と堂々と品札に書いてある。ビールはアサヒとヱビス、酒は白鹿(正確にはもう少し種類がある)。昨今の銘酒居酒屋や料理自慢の飲み屋とはまったく一線を画している。

だが、この年になるまでいろんな飲み屋を経験した身からすると、もうここでいい、いや、ここがいい、と思わせるたたずまいがこの第三モッキリセンターにはあるのである。

良い店は住宅街にあり

居酒屋についてここに書くのは久しぶりです。

仕事場からの帰り道,ふと,気になるお店がありました。

場所は,繁華街からだいぶ離れた,住宅街にたたずむマンションの1階。店先には「凱陣」と書かれたコモに包まれた樽が置いてあり,麻ののれんのかかった入り口脇にとっくりとおちょこのかわいらしい絵の入った看板。

早い時間に入ると,口開けのようでした。

6席ほどのカウンターと小上がりの小さなお店。奥の棚には酒器がいろいろと置かれています。

板場には髪を短く刈った若いご主人がひとり。「こちらは居酒屋さん?」「そうです,どうぞ」

入り口から入って一番手前のカウンター席に。目の前には,本日のメニュー,飲み物,それに日本酒がそれぞれ書かれた紙が置かれています。

メニューを見ますと,どれもお手頃な価格。それでいて,創意あふれる料理名が並んでいます。どれもおいしそうでしたが,キャベツ生姜酢漬け,福井の鯖のへしこ,万願寺とうがらし焼き浸しをお願いしました。

まずは一口サイズのビールでのどをしめらせます。このサイズがあるということは,すぐに酒にうつってもらいたい,というねらいでしょう。望むところです。

お通しは揚げた穴子と茄子の煮浸し。夏らしさがいいですね。

すぐにキャベツが来ました。パリパリとした食感が残してあるところをみると浅漬けでしょうね。生姜酢がとてもおいしい。

鯖のへしこは少し炙って,短冊切りにされた大根といっしょに出てきました。へしこは糠漬けですね。一口食べて,うまみが口の中いっぱいに広がります。思わずご主人に「これはおいしい,本当においしい」と二回言ってしまいました。

ここで日本酒にきりかえます。カウンターが次第にお客さんで混み合い始めてきたのですが,ご主人一人で相手をしている状況なので,手を煩わせないようにしないと。ちょうど隣の方が悦凱陣を頼まれたので,同じのをこちらにも。

お酒は大きめのそばちょこのような器に入って出していただきました。

最後にとうがらしの焼き浸し。削り節とネギ,おろし生姜がのせられて出てきました。とうがらしにかけられた出し醤油がいい味です。

ここ最近はいかにも大衆酒場といったお店ばかりで楽しんでいましたが,久々に力の入った若い居酒屋に出会えました。自宅からは歩いて10分程度。帰り道なのでこれからも寄ることになるでしょう。堪能しました。

第2回PORO研

先週末,Kさんを中心に開催している研究会的集まりの,ちょっと遅めの新年会を開いた。研究会的集まりの方をSAP研,飲み会の方をPORO研という(命名はKさん)。PORO研は2回目。第1回は夏にサッポロファクトリーでジンギスカンだった。

第2回の会場は,大学を出てすぐ南にある「場末の和顔」。2階奥にある1室のみの個室に通してもらう。

参加したのは,Kさんをはじめとして9名。教育学院の院生さんはもちろん,文学研究科の院生さんも。一番若いのは23歳。その23歳にKさんがやたらと厳しく教育的指導を入れていた。

このお店は初めてだが,料理はそこそこいけるし,酒のそろえもそれなりによろしい。本醸造だけでなく純米も吟醸もなんでも燗つけてくれるというのも非常に好感度高し。

新年会らしく,ぎゃあぎゃあと馬鹿話やらここには書けない話やらをして3時間が過ぎた。いったんお開き。

飲み足りないので2次会に行く。店を出て歩いてすぐの「かんろ西店」。札幌駅北口合同庁舎前にある本店の支店である。去年の夏にオープンしたのを見かけてはいたのだが,なかなか行けずにいた。

2次会には全員が残った。すばらしいね。

暖簾をくぐると焼き台には本店でおなじみの「お兄ちゃん」の顔が。「お,しばらくです」とあいさつ。お兄ちゃんだけでなく,弟さんの姿も。予約してたわけではないものの,9人入れてもらえた(本店では金曜の夜に予約なしで9人いきなり行って座れるなんてことは,まずない)。

夜も更けてみなの酒量がアップ。お銚子が飛び交う。すばらしい。

終電がなくなる前にお開き。楽しい飲み会でした。結構飲んだのにもかかわらず,翌日にまったく引きずらなかったのもすばらしい。

新規開拓

のんべえというのはいろんなところで保守的なものだ。飲む酒の銘柄も、頼む「あて」も、だいたい決まっていて、それ以外に手を伸ばすのをためらう。それは身銭をはたいて飲む者ならでこそで、要は慣れたうまいもので精一杯楽しみたいのだ。

だから、好みの銘柄や料理が置いてあることがあらかじめ分かっている店に、どうしても足が向く。もちろん、ちょっと今日は気分を変えて、なんていう日もあるにはあるが、入ったことのない店の窓から中を眺めて「うん、客が入ってないからきっとまずいんだろう」とか、のれんの下の盛り塩を見て「なんだか値が張りそうだ」とか、なにくれと理由をつけて逡巡し、結局勝手知ったるいつもの店に落ち着いてしまう。

たらたらと書いてきたが、飲む店の新規開拓というのはのんべえであればあるほどしにくくなるのである。

そんな、めったにないのをしてきたのはこの間のこと。

ところは札幌駅北口、飲食店の何軒か入った小さなビルの1階でつましく開いている。前を通りかかって、何の気なしにのれんをくぐると、中はカウンターと奥に1卓のみ。

切り盛りしているのは、おかみさん、と言うよりはお母さんと呼びたい方。料理はすべてお母さんの手作りで、化学調味料などは自分が苦手だから一切使わないとのこと。

座ってビールを頼むと、小皿や小鉢に盛られたその料理がぞろぞろと出てくる。店にメニューはなく、その日その日で変わる料理をちょっとずつつまみながら酒を飲むというのがここのスタイル。食い物の好き嫌いが多いとつらいかもしれないが、こちとら何でも食べられるうえ、肝心の味にも外れがないので、メニュー片手に悩まずにいられる分、楽かもしれない。

値段については安心していい。飲めば飲むほど安くなるという不思議なシステムで、先日は、日本酒、焼酎それぞれ1杯ずつに生中とグラスビール、それに、小皿料理が6品ほど出てきて、2500円なり。

たまに保守の殻を破るとこういういいことがある。

飲みまくった1週間

 先週は外で飲みまくりました。講義などが終わって解放されたからでしょうか。

【月曜】

 家族で久々に円山の「三徳六味」へ。向こうに越されてからはどうも足が離れがちですが,忘れてませんよ。夫婦で一通りのコースをお願いして,子どもには適当に,おにぎりや卵焼きを作ってもらいました。

 料理は相変わらずのすばらしさ。豊平にあったときに比べて,盛りつけというか,見た目がとても洗練されてきたように見えました。

 ところで,ずっとこのお店はご夫婦で切り盛りされていて,サブに何人かつくという形なのですが,久々に来たら奥様がいない。もしやと思ってマスターに聞いてみると,なんと赤ちゃんが生まれたとのこと。マスターの顔のなんと嬉しそうなこと。

 食事を終えようかという頃,その奥様が赤ちゃんを連れて顔を出してくれました。かわいい女の子。6月に生まれたばかりだそうで,生まれたてほやほやです。出産に際してはいろいろと大変だったそうですが,皆さん幸せそうでなにより!

【火曜】

 すでに書きましたが,Mさんといっしょにすすきのへ。

【水曜】

 木曜の打ち合わせ(?)に,いきつけの沖縄居酒屋「ゴーヤちゃんぷる」へ。ビール2杯で引き上げて,家でまた飲みました。

【木曜】

 で,その「ゴーヤちゃんぷる」へ。8月が誕生月だと言ってあったのですが,この日に常連さん何人かで誕生会を開いてくれました。この年になると誕生日はどうでもいいのですが,いざご参集いただけると本当に嬉しいもの。

 花かごにケーキまで用意されていて,あとはおばあの沖縄家庭料理と,新入りのヒロくんが繰り出す餃子やらティラミスやらでもう大満足。ボトルキープはしない主義だったのですが,ついに泡盛をボトルで入れてしまいました。

【金曜】

 Kさん,Tさんとともに,突発的に飲みに行きましょうという話になり,すすきのへ。Tさんが予約をしてくれたのは「平澤精肉店」。と言っても肉屋ではなく,モツをメインにした昭和風居酒屋でした。ホッピーに炒めたモツをあわせるともう最高ですな。

 もちろんこの1軒だけでは終わらず,2軒目にいつもの「夜光虫」へ。ところがこの日は冷房が壊れていたらしく,しかも外は今夏一番の暑さとあって蒸し風呂のような室内で,涼しげな酒を飲みました。

【土曜】

 日中は初めて,手稲区にあるていねプールへ。大きな流れるプールにボートを浮かべて家族できゃっきゃと遊びました。でもここは廃止の予定らしいですね。残念。

 夕方,近所の公園で開かれた納涼夏祭りにアマネと一緒に出かけました。しかし,子どもたちを相手にしたビンゴ大会が始まったとたん,じょうろから水をばらまいているかのような大雨。傘を差しながらもビンゴ大会は終了,こちらは1列もそろわず,さんざんな目に。

「ゴーヤちゃんぷる」で,「請福」という泡盛を飲む会があるらしく,お誘いを受けていたのですが,この雨でびしょぬれになり気持ちもおれて家に帰ろうかとしました。しかしアマネが「ゴーヤチャンポン行きたい」と言うのでやむなく(?)今週3度目の出撃。

 しかしやはりクーラーにあたっているとぞくぞくするので,家内に迎えに来てもらってビール1杯で退散しました。

 これだけ飲んで遊んでいて,肝心の原稿がほとんど進んでいないのが恐ろしいところです。

ふらの・Bossa

 Mさんより仕事の依頼があり,その前払いというか,副賞というか,まあともかくそれを口実としていっしょにすすきので飲むことに。Mさんにはいつも割のいい仕事を回していただいているので感謝です。

 18時半に南北線すすきの駅で待ち合わせ,地上に出て向かった先は,新京極通りの「ふらの」。名刺にまで「富良野出身」と書いているご主人の料理はなかなか繊細でした。茶碗蒸しのような自家製とうふ,さつま揚げ,ししゃも焼き,刺身盛りをつまみに,ビールとお酒をくいくいと。

 開け放たれた引き戸からサラリーマンとおぼしき御仁が「生3つね」と顔を出してすぐまた表の通りに戻っていきます。なんだろうと思っていると,どうも外の通りにここのご主人がテーブルを出していて,外で飲んでいる方たちがいる様子。

 ではもう一軒とMさんに連れられて向かった先は,すすきの交差点からちょっと北上したビルの2階にあるジャズカフェ「Bossa」。中に入ると壁一面のレコード。通りに面した窓には堂々としたJBLのスピーカ。

 それぞれジントニック,シャンディガフで乾杯。2杯目はハイボールを。つまみでとったフライドポテトを流し込みました。

 終電もなくなったので,帰ることに。近いうちにまた「居酒屋研究会」をやりましょうと誓って別れたのでした。

吉田類講演会

 日曜日に共済ホールで開かれた、吉田類講演会「酒場詩人のススメ」に行ってきました。

 吉田類氏をご存じない方も多いと思いますが、酒飲み業界(?)では著名な方で、BSでは居酒屋を飲み歩く番組を持っているほどです。

 吉田類の酒場放浪記

 好きこのんで飲んべえの話を聞きに行く物好きも多くなかろうとたかをくくって開演ぎりぎりにホールに入ると、600人ちょっと収容するスペースはもうすでにいっぱいでした。札幌にはどれほどの酒飲みがいるのでしょうか。

 暗転してBSの番組のテーマ曲が流れると会場が歓声に包まれます。黒のハンチングを斜めにかぶり、首には黒のストールと全身真っ黒ないつもの出で立ちで吉田氏が登場。拍手に応えて手を振ると、会場からは黄色い声があがりました。

 開口一番、「ロック歌手になったようですね」。これでのったかのらずか、昨夜深酒したにもかかわらず早朝から円山に登ってきた話を始め、「実はいま脱水状態なんです」とのこと。

 太田和彦氏も山をやるそうですが、いい感じに酒を飲む人は、酒を飲んでいないときにしていることが実にさわやかで健康的ですね。ぼくのように運動不足の上でストレス解消で飲むのが一番あぶない。

 氏の講演の内容は、結局のところ、健康的に飲むということは、酒や食材を含めて、美しい自然を満喫するということだったと理解しました。

 ここで第1部終了。整理券の若い方から、ロビーにて日本酒と焼酎とホッピーが振る舞われるそうです。狭いロビーはごった返していました。

 第2部は、吉田類氏を囲んでのトークセッション。出演者は、ホッピーミーナことホッピービバレッジ社長石渡美奈氏、ムック「古典酒場」編集長倉嶋紀和子氏、エッセイスト坂崎重盛氏。

 そこになぜか、会場から、吉田氏の酒友のDJスサキ氏、野毛で立ち飲み屋を経営するホッピー仙人が乱入。壇上はいきなり賑やかになりました。

 なにしろスピーカーの目の前にはすでに焼酎とホッピーが置かれており、各自飲みながらの話はあちこちに乱れ飛び、筋を追うことはすでにして困難でありました。

 このようにして第2部は終了。振る舞い酒第2回に当たっていたので、ぼくは焼酎をいただくことに。吉田氏が名付けたという「夢音」なる芋。割るものが何もないので生で味見しました。

 第3部は公開句会。ということでしたが即興でひねるわけではなく、さきほどの登壇者の方々が俳句について語り合うといった内容。

 そのまま「お楽しみ抽選会」。ホッピーお試しセットや日本酒や「古典酒場」や焼酎やいろいろ用意されていましたが、残念ながら当たらず。

 吉田氏の酒飲みネットワークはとても広いそうです。人脈を広げられたコツは、他人を受け入れること。初対面の人とでも、カンパーイとやってしまえばそれで垣根はなくなるそうです。それは自然に身をゆだねるという山登りにも通じるものだそうです。見習いたいものです。